結社「舞」第六回研修会(記念句会)実施
横浜球場前の公園(今日の会場となる「横浜情報文化センター」に近い)
句会風景
平成28年10月2日(日)横浜情報文化センターで結社「舞」の研究会及び記念句会を実施した。 結社としての研究会は、今年で第六回目になる。会場は、横浜球場から5分、市営地下鉄「みなとみらい線」から3分という便利な所にあるが、当日はこの秋最後となる猛暑日であった。
13時に開会、最初に今年の「舞賞」の授賞式があり、第二回目となる今年は、中堅の「影山恵氏」が授賞した。続いて主宰による「岡井省二の明野(句集名)」について講演があった。岡井省二(1925年11月26日~2001年9月23日)は、内科医のかたわら句作をはじめ、加藤楸邨や森澄雄に師事し、1968年に「寒雷」入会、1970年に「杉」創刊に参加している。俳人としては、比較的遅い出発であったと言える。1991年に「槐」を創刊し、主宰となっている。門下に児玉輝代、菅原鬨也、小山森生、山西雅子、加藤かな文等がいる。句集「明野」は、岡井省二の第一句集で1976年に上梓されたものである。
岡井省二の作風は、人間探求、生死、身、感覚等、平常態かつ三人称的表出に主眼を置き、はるかなものの声を聞きとめ、言い止めようとしているようである(山西主宰の講話から)。句集「明野」は、1968年から1976年位までの作品が中心となっている。印象に残っている句を二三紹介すると、
曼珠沙華松の林を笑い出て
安楽死乞はれ篷野踏みしめをり
冬構しかと残して父死せり
身心に太き首のる芋の秋
等、岡井らしさが読み取れる句が多い。また、鳰、こゑ、光を主題 にした句も多い。
山西主宰の講演後に、事前投句した2句(当季雑詠及び兼題「虫」)投句一覧表について事前選句した40句について、各自選句趣旨の説明や主宰からの講評があり、主宰特選2句の発表があった。本日の特選句は、
柩板切りたる真夜のちちろかな (兼題句) 写俳亭みの
えごの実のひとつをつまみ処暑の池 (当季雑詠句) 花田由子
最高得点句(3句)
鈴虫や土間に置かるる薪の束 (兼題句) 笹原孝子
邯鄲や夜更けて覗く母の部屋 (兼題句) 関波対子
先生の先生がゐて水澄めり (当季雑詠) 関波対子
主宰選秀逸句(9句)
鈴虫の玄関に靴脱ぎっぱなし (兼題句) 矢嶋なほ子
ちちろ鳴く半球夜へ入るところ (兼題句) 影山恵
すず虫やコンビナートの灯の清ら (兼題句) 藤田かをる
特攻の機影の消えて草雲雀 (兼題句) 吉澤美楯
先生の先生のゐて水澄めり (当季雑詠句) 関波対子
終戦日二人の母のその日聴く (当季雑詠句) 戸部さおり
街中が這いつくばりて野分中 (当季雑詠句) 小西澄子
十念の日毎薄るる法師蝉 (当季雑詠句) 前田和男(呑舞)
浮塵子来て鴨長明の浮世かな (当季雑詠句) 吉澤美楯
主宰選の秀逸句には残ることが出来たが、得点は2点であった。あまり良い成績を残すことが出来ない句会だった。主宰の講演中から句会終了までと、中間で集合写真の撮影作業等の雑用を任され、忙しい句会であった。句会は、やはりゆったりした気持ちで参加したいと言うのが感想である。
(平成28年10月11日記)
追記:呑舞は、岡井省二の孫弟子に当たるのかな?
10月12日:早々に「舞誌」29年新年特別号用の投句(10句)を主宰宛送信した。今月から一部メール投句に変更された。