ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第95回」

2009-09-18 |   ビタペクト配布活動
 9月11日にビタペクト2と「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第95回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクト2を10個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2は合計1636個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1340部となりました。
  
 今回で通算105回目のビタペクト2の配布となりました。
 のべ人数になりますが、現時点で1636人分のビタペクト2、そして1340家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクト2を開発、製造、販売しているベルラド研究所のサイトはこちらです。)

http://www.belrad.nsys.by



 今回は2家族がSOS子ども村に来て保養滞在していました。それぞれお話を伺いました。


(家族A)

 ミンスク市(チェルノブイリ原発から約350キロ)から来た家族。家庭タイプ型孤児院の家族です。
 現在ミンスクには家庭タイプ孤児院を集めた「子どもの町」があり、この家族もふだんは子どもの町で暮らしています。。「子どもの町」という制度について詳しくはチロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第80回」でご紹介しています。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/604dd06fec1c739a5e65f5b7939830f8


この家族には6個のビタペクト2を渡しました。このうち2人の子どもは2回目の配布となります。
それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。1回目の測定結果の次に矢印で今回の測定結果を表示しています。○印の子どもにビタペクト2を渡しました。

母親(事故発生時31歳) 12ベクレル
女子(15歳) 0ベクレル
女子 (9歳)20ベクレル ○
男子 (8歳)31ベクレル ○
女子 (8歳)30ベクレル ○ → 33ベクレル ○
男子 (7歳)23ベクレル ○
女子 (6歳)31ベクレル ○ → 37ベクレル ○
男子 (6歳)37ベクレル ○

 このうち 8歳と6歳の女児は姉妹で、2008年11月に1回目の測定をしました。詳しくは「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第82回」(家族D)をご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/9e8fc5e93ae9711827f521fddcc6ea37


 このお母さんはすでに5年間も子どもの町で暮らしており、7人子どもを育てていました。しかしそのうち2人が15歳になり、卒業。日本で言うところの高校生に当たる年齢の子どもは国の施設に移ります。
 このお母さんはもうすぐ新しく2人を受け入れる予定で、また7人の子どもを育てることになります。
 2回目の滞在となる8歳と6歳の姉妹は、このお母さんの子どもではなく、別の子どもの町の家庭の子どもです。

 7歳の男の子は結核にかかり、結核診療所学校に通っていました。もうすぐ普通の学校に入学するそうです。
 結核診療所学校についてはこちらをご覧ください。

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/ksg/index.html


 とにかく子どもの町で多くの里子を育てているお母さんたちには頭が下がります。
 子どもたちの精神面でも家庭タイプ型孤児院のほうがいいでしょうし、行政から見ても孤児施設を運営するより、予算が少なくてすむそうなので、将来ベラルーシではこのような子どもの町が各地にたくさん作られるかもしれません。
 しかし、孤児なんて全くいなくなるほうがいいですよね・・・。


(家族B)
 ミンスク州カシニ村から来た家族。ミンスクからは15キロほどの距離にある村だそうです。
 この家族には4個のビタペクト2を渡しました。
 それぞれの体内放射能測定結果はこのとおりです。

母親(事故発生時5歳)21ベクレル ○
長男(12歳)42ベクレル ○
次男 (8歳)43ベクレル ○
長女 (5歳)37ベクレル ○
三男 (1歳)48ベクレル

 1歳3ヶ月の三男は年齢制限のため、ビタペクト2は渡しませんでした。
 8歳の次男は生まれつき心臓に異常があるそうです。日本なら生後間もない時期でもすぐ手術できるようになりましたが、ベラルーシでは技術的にまだできない状況です。この男の子もある程度の年齢に達するまで手術はできず、毎年検査するのみにとどまっています。
 食品や保養などの援助をsos子ども村から今回受けましたが、お母さんは苦労されているような印象を受けました。
 
 2家族ともミンスク市、あるいはミンスクのすぐそばの村に住んでいるのに、高い値の測定結果が出て驚きました。
 チェルノブイリ原発事故が発生して20年以上が経ち、また危険地域ではないとされている首都とその周辺ですら、このような現状です。どれだけ多くのベラルーシ人が知らないだけで、実はたくさんの放射能性物質を抱えて暮らしているのかと考えると、怖い気持ちになります。

 画像は記念撮影のようすです。とてもいいお天気でした。Tの両親も写っています。子どもの村のお母さんは
「同年齢の子どもをまとめて里子にするほうが、しつけの面などかえってやりやすい。」
と話していましたが、カメラをのぞいたときに、家族と言うより、学校のクラスの集合写真みたいだと思いました。

 最後になりましたが、ビタペクト2の購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や文房具など子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、またSOS子ども村への交通費を捻出してくださったVesna!社ほか、ご協力くださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。

 今回子どもたちに渡した10個のビタペクト2を購入するために、CD「月と日」の売上金10枚分を充てました。
 ベラルーシ語で歌う日本の歌が収録されたCD「月と日」を1枚購入すると、その売上金の一部がビタペクト2を1個の購入する費用としてチロ基金に還元されます。
 CD1枚の売り上げが、ビタペクト1個分、つまりべラルーシのチェルノブイリ原発事故の被災児1人に無料で渡すというこの活動につながっています。
 CD「月と日」について詳しくはこちらです。(HP「ベラルーシの部屋」内)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/songs/index.html


 京都にあるヨーロッパ輸入雑貨店「Vesna!」店頭やそのネットショッピングで購入できます。購入ご希望の方、詳しくはこちらをご覧ください。

http://vesna-ltd.com/shop/b_music.html

 どうか皆様のご協力をお願いいたします。

 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。