ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

自殺率世界一の国はベラルーシ!

2010-02-13 | ベラルーシ文化
 ベラルーシの人口のことを投稿したとたん、このような記事を読んでしまいました。
 世界で一番自殺率が高い国はベラルーシだそうです。

【コラム】 世界的にも最悪レベル! 日本の自殺率はなぜ高い?(R25) - goo ニュース

 で、この↑記事ですが、時間が経つとリンク切れとなってしまうので、元になったサイトのほうの記事のリンクを貼っておきます。↓ こっちのほうが詳しい内容です。


http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20100204-00001286-r25&vos=nr25gn0000001


 これによると・・・

「警察庁の発表によると、09年の自殺者数は3万2753人と12年連続で年間3万人を超えたという。たしかに、日本は自殺者数が多いと聞くが、この数字は国際的に見てどのくらい多いのだろう?

WHOによると、人口10万人ごとの自殺率の上位10カ国にベラルーシ、ロシア連邦、ハンガリー、ウクライナなどの旧ソビエト連邦諸国や旧ソ衛星国が名を連ねている中、6番目に日本の名前が挙がっている。日本の自殺率が高い背景について、自殺問題に詳しい作家の江上剛氏はこう語る。

「日本の自殺は、他国に比べて中高年男性が多いんです。うつ病を発症しやすい年齢でもあるし、リーマンブラザーズ破たん以降の不安定な経済による事業の失敗や業務への喪失感に加え、責任を1人で抱え込んでしまうからかもしれません」

それでは、ランキング上位を旧ソ連諸国が占めているのはなぜなのか? 防衛医学研究センター行動科学研究部門の高橋祥友教授に伺った。

「日本より上位の国々は、社会変動が自殺率に直接影響しています。91年のソ連の崩壊によって独立した国々、特にバルト3国は独立当初、未来に対する希望が生まれ自殺率が低下しました。しかし、期待していたような変化はなく、夢が絶望へと変わったことで、自殺率が一転して上昇してしまったのです。またアフリカやアジアの場合は、WHOに自殺に関するデータを提出していない国も多い。特に飢餓や感染症などで多くの人たちが死亡する国では、自殺にまで関心を払う余裕がないんです。 ほかにも、中東の国々では、イスラム教の経典コーランに自殺の禁止を明記した項目があるため、自殺率が低いともいわれています」

先進国の中でいえば、アメリカやフランスは日本の半分弱。イタリアやイギリスは4分の1程度の自殺率だという。やはり、お国柄が違うとはいえ、日本の自殺率は群を抜いて高いと言わざるを得ないようです。
(古瀬絵理/フリーアナウンサー)」

 ・・・とあり、WHOの調査による世界各国の自殺率(人口10万人あたり。2009年度調査)によると1位はベラルーシで、35.1人。
 こんことで世界一になっても、ちっともうれしくないよー!!!
 
 2位はリトアニアの30.4人。(ベラルーシとの差が約5人とは、大きい・・・。ベラルーシ、ダントツ1位ですよ。)

 3位はロシアの30.1人。
 4位はカザフスタンで26.9人。
 5位はハンガリーで26.0人。
 6位は日本で24.4人。(これで、日本は自殺者が多い、問題だと騒いでいるんですが、じゃあ、ベラルーシはどうなのよ、と思った。)
 7位はガイアナで22.6人。
 8位はウクライナで21.9人。
 9位は韓国とスリランカで21.6人。

 旧ソ連の国が半分の5カ国を占めています。(もっとも、自殺者の数を統計的に発表していない国もたくさんあるらしいですが・・。)

 この記事では
「91年のソ連の崩壊によって独立した国々、特にバルト3国は独立当初、未来に対する希望が生まれ自殺率が低下しました。しかし、期待していたような変化はなく、夢が絶望へと変わったことで、自殺率が一転して上昇してしまったのです。」
と解説していますが、バルト3国でこのワースト10に入っているのはリトアニアだけですよ。
 ベラルーシはどうして1番なの?

 ちなみにこれは率の話で、数の話ではないです。人口の話があったので、ざっと計算すると、ベラルーシの2009年度自殺者数は約3330人で、日本の10分の1です。
 しかし総人口自体が日本の10分の1以下だからなー。
 率で言うと、日本も抜いて世界一なんですね。
 
 ついでに殺人による被害者(死亡者)の数は日本が約1500人で、ベラルーシが1000人弱。率に換算すると、ベラルーシは殺人事件が日本より多く発生していることになります。
 だから人口が減少しているんですよー。

 ベラルーシで自殺する人がなぜ多いのかについては、私個人の予想ですが、いくつか理由があります。
 その1。ソ連が崩壊し、独立国家になったものの、経済状況が好転せず、貧困な状態を悲観。
 また急激な社会体制の転換、思想の転換についていけず、精神的に悩み、新しい社会に順応できないことから、希望を見い出せず、悲観。

 その2。医療水準が低いことから、重い病気にかかると、治る可能性が低く、悲観。

 その3。冬が長いため、日照時間が短く、暗い冬の間にかかりやすい季節性うつ病になる人が増えてしまう。最近は増えてきたが、ベラルーシにはまだ精神科医や気軽に相談できる心理カウンセラーなどの数が不足しており、心の病気を抱えた人が重症化してしまう。

 その4。本来ベラルーシは自殺を戒めているがキリスト教の国だが、ソ連時代は信仰が禁じられていたため、国民の間に宗教心が薄れ、「自殺は大罪である。地獄に落ちる。」という意識がなくなってしまった。
 宗教が自殺に歯止めをかける、ということがこの国には乏しい状態。
 
 その5。統計上の問題。これは何かというと、実際には自殺じゃないのに、自殺として片付けられるケースがベラルーシにはけっこうある、ということです。

 例えば、本当は殺人事件なのに、自殺とされるケース。
 高校生とか大学生が数人、誰かの家に集まって、飲酒や喫煙をする。そのうち仲間内で喧嘩が起こり、1人が他の1人を突き飛ばしたら、窓が開いていて落下して死亡。
 警察が来ても、その場に居合わせた仲間は殺人事件になるとやばいので、「あいつは自ら飛び降りた。」「自殺だった。」と一斉に主張。彼らの他に目撃者がいるわけでもなし・・・。
 警察側も若い人たちの将来を損なうのもなあ、と考えつっこんだ捜査はせず(だって本当に他の目撃証言者もいないし。)「自殺」と報告する。

 ・・・といったケースがあり、自殺者の数が実際より多く数えられている可能性があります。
 しかし一方で、自殺を決意した人が、(遺書は残さず)車道に飛び出す。車にはねられ死亡。これを「交通事故」や「前方不注意による不慮の事故」死亡者の体内からアルコールなど検出されれば
「酔っ払いが意識朦朧状態で、車道に出てしまった。」と報告されてしまう。
 線路に飛び降りたら「転落事故」扱いにされる。
 つまり、自殺ではなく事故による死者の数が増えてしまう・・・というケースもあります。

 もちろん真相は不明のままなので、実際こういった、間違って分類されてしまう数がどれぐらいになるのか全く分かりません。
 でも、殺人事件が増えるよりは、自殺を増やし、自殺が増えるよりは、事故死の数を増やす傾向があると思います。

 だから本当にベラルーシが自殺率世界一の国なのかどうか、はっきりしたことは分からないです。
 でもそれを差し引いて考えても、自殺率高いですね・・・。

 一方で日本に多い「心中」や「責任を取るため、死をもってお詫びします。」という切腹系の自殺はベラルーシにはないです。
 それと日本にある「あの人のお父さん、自殺したんだってー。」と後ろ指をさすような変な差別みたいなのもありません。
 当然、家族が自殺した遺族の会、といったものもありません。(今のところ・・・。)

 方法としては首をつる人が多く、次に高いところからの飛び降り、列車や地下鉄に飛び込む。
 睡眠薬は日本と比べると手に入りやすい国だったのですが、最近は法律が厳しくなったのか、薬局で見かけません。(店の奥に置いているのかも?)
 ガス自殺はガスではなく電気の家庭が多いので、ベラルーシではあまり聞かないですね。
 手首を切るといった刃物を使った自殺は少ないです。
 冬だと1人で森の奥へ歩いていくだけで凍死できます。しかし、これの場合「自殺」ではなく、「迷子のうえ、凍死」扱いとなり、自殺の数に入らないんだろうな・・・。遺書を残しておいた場合は別ですが。

 ああ。だんだん気分が暗くなってきました。
 とにかく、ベラルーシの経済状況が好転すれば、自殺者減少にも歯止めがかかると思います。
 (前の投稿と同じ締めくくりだ・・・。)

 もうこんな記事を書くのはやめよっと。
 それより明日はバレンタインデーだし、しかも今年はマースレニッツァ(バター祭週間)の最終日にも当たっているから、チョコとブリン(クレープのこと。)を食べなくっちゃ。あははは♪ 
 ・・・とまあ、こういう思考の人はけっして自殺なんかしないのであった。(^^;)
 ベラルーシ人も日本人ももっと楽しみを人生の中に見つけよう。(^^)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 2017年の記事「自殺率世界一ではなくなったベラルーシ」もご覧ください。

ベラルーシの人口(2009年度)

2010-02-13 | ベラルーシ文化
 2009年、ベラルーシで人口調査が行われ、その結果が今年になってから発表されました。こういう数字が気になる日本人の方もいるかと思いますので、このブログで公開します。

 まず総人口数は約948万9000人。

 男女別に見ると
男性は442万3000人。
女性は506万6000人。

 やはり女性のほうが多いですね。平均寿命も女性のほうが長いです。

 年齢別の人口は分かりませんが、未成年(子ども)で言うと、女の子10人に対して男の子9人、だそうです。
 この理由もよく分かりません。が、おそらく、医療水準が日本より低く、乳幼児死亡率が日本より高いのと、乳幼児の男の子が病気になりやすい、またかかると死亡する割合が女の子より高いため、と思われます。
 またそれより少し高い年齢になると、男の子は危険な遊びをすることが多く、(例:工事現場で遊んでいて深い穴に落ち、3人の男の子が死亡。氷が張った川を渡ろうとしたら、氷が割れ、2人の男の子が溺死。夏、湖や川で泳いでいて溺れる。学校にプールがなく、体育としての水泳教育が非常に少なく、日本人と比べると泳ぎが下手なベラルーシ人が多い。男の子は他にも、喧嘩や事故に遭うことが多い。)その結果、男の子が成人するまでに死亡する率が高いと思われます。
 その結果、婚活(^^;)という意味では、
「男の数のほうが少ないから、俺、結婚できるぜ。」
と安心しきっている20代男性は多いです。
 かと言って、ベラルーシ女性のほうが
「女の数は多いから、私、あぶれるかも。」
とあせっているかというと、そういう人は皆無に等しいです。(^^;)

 話は人口に戻ります。
 首都、ミンスクの人口は182万8000人。
 ミンスクをのぞくミンスク州の人口は142万2000人。
 ビテプスク州は123万1000人。
 モギリョフ州は109万5000人。
 ゴメリ州は144万人。
 グロドノ州は107万2000人。
 ブレスト州は140万1000人。

 農村地域の人口は全体の26%、都市地域の人口は74%です。

 さて、この人口の調査ですが、前回は1999年に行われました。10年おきに調査している、と言ってもいいでしょう。次の調査は2019年ですね。そのころはどうなっているやら・・・。

 そして、この10年間にどのような変化があったのかというと、まず総人口は55万6000人減少。
 つまり1999年には人口が1千万人以上だったのが、ついにその数を切ってしまった、ということですね。 
 ビテプスク州、モギリョフ州、グロドノ州では10%の人口減です。
 ただ、各州都では人口が増加しています。

 ミンスクも人口が14万8000人増加。建築ラッシュが続いています。
 (と言うか、ミンスクの場合は、戦争中に町中が破壊されたため、戦後すぐから現在に至るまでずっと建築ラッシュの状態。)
 
 10年前の農村地域の人口は全体の31%、都市地域の人口は69%だったので、人口がどんどん都市に流入している、ということです。
 農村地域ではここ10年の間、毎年約4万3000人ずつ人口が減少。(都市部への移住のほか、死亡者数が出生人口より多いため。)
 過疎化が進んでいますが、次の10年の間に農村部の人口を1.5倍に増やす政策を打ち出すということです。
 ちなみにベラルーシでは出生率が微増しています。
 
 しかしちょっと生まれる子どもの数が増えただけでは、人口の減少は止まらないでしょう。
 このペースで人口減少が進めば、10年後には800万人台に、30年後には700万人台になってしまいます。
 どうしてベラルーシの人口は減っているのか。
 理由はいろいろ考えられます。医療水準が日本と比べると低いため、助かっていたはずの命が助けられない。(子ども人口がその分少なくなる。高齢者も早く死亡するので、高齢者人口も少ない。)

 経済状況が慢性的によくないため、少子化傾向がずっと続いている。(ちなみにベラルーシで一番出生率が下がったのは、パンを買うのに行列を作っていたペレストロイカのころ。1980年代後半生まれの世代。)

 同じく経済状態がよくないため、職を求めて外国へ出稼ぎに行ったベラルーシ人が、帰国しないケース。外国の教育機関に留学し、そこで就職するケース。外国人との国際結婚による移住。特にロシア人とは言葉の壁がないので、ロシアにベラルーシ人が移住するケースが多い。

 ソ連時代、都市部の人口の意外と多くを占めていたユダヤ系住民が、独立後、イスラエルやアメリカに大量に移住。ロシア系住民もベラルーシ国籍の取得よりロシア国籍の取得を望み、ロシアへ帰国したり、移住したりした。

 政治的、経済的亡命。現政権に不満を持つベラルーシ人がポーランドなどに逃げている。そうすると、今度はなかなかベラルーシへの入国許可が下りなくなるため、帰国できない。
 ベラルーシの貧しい家庭の青年が国外へ行ったときに、経済的亡命を訴えたら、ヨーロッパ各地の難民収容センターをたらい回しにされたケースもあります。最終的に難民と認められたらしいですが、その子どもの家庭、極貧というわけではないです。
 
 やはり経済的な状況がよくないため、出稼ぎのためベラルーシへやってくる外国人も少ない。
 つまり逆にベラルーシへ、仕事を求めてやってくる外国人がいない。他のヨーロッパの国の学術機関と比べると、留学生も大変少ない。ベラルーシ人と国際結婚後、ベラルーシに住もうという家族も少ない。
 石油も金も採れないので、このようなビジネス目的でやってくる人も企業もない。
 要するに定住しそうな人が外から来ないのです。

 殺人事件の被害者数も多い。自殺する人も増えている。
 チェルノブイリ原発事故の放射能汚染のせいで、健康な人の割合が少なく、病気を抱えている人の割合が高い。(つまり、短命であったり、子孫を残せる可能性が少なかったりする。)
 アルコール中毒患者の数が非常に多い。中毒そして依存症の人も合わせると、ベラルーシ人の10%を占める、と言われている。
 当然、そういう人たちは肝臓病に罹る確率が高く、平均寿命が短い。
 
 ついでに言うと食生活も脂肪分、塩分が多く、冬は特に保存食を多く摂りがちで、さらにアルコール摂取量も増えるため、健康によくない。
 ほとんど海がないため、ヨード摂取量も少なく、風土病と言っていいほどベラルーシ人の多くがヨード不足状態。

 ああ。だんだん気分が暗くなってきました。
 とにかく、ベラルーシの経済状況が好転すれば、人口減少にもだいぶ歯止めがかかると思います。
 日本もそうですが、ベラルーシも人口が減るのはやはり問題です。
 もっとも、若い世代が支えないといけない高齢者人口がベラルーシの場合、少ないので、若い人への負担は日本と比べるとずいぶん軽いと思いますが・・・。日本のほうが若年人口の減少は、ずっと大きい問題です。