ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

要注意! ミンスクの交通(バス・トロリーバス・路面電車)その4

2010-10-04 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 今回の経験を通じ私から、日本人旅行者の皆様にアドバイスできることは以下のとおりです。

① 無賃乗車はいけないことです。たったの700ルーブル。(日本円にして約20円。)ちゃんと払いましょう。
 しかし、ちゃんと運賃を支払っているのに、さらにそれに上乗せして、罰金、7000ルーブルを払う必要は全くありません! 違法に罰金を請求するのは検札係のほうの規則違反です。罰金とは言え日本円にして200円と安いからいいや、と妥協して払ってはいけません! この罰金がこの非法な検札係の給料やボーナスに化けるのですよ。いやではありませんか?
 規則違反な罰金の徴収をしている職員がその上司にほめられるのです。そしてこのような経験から、この検札係は味を占め、同じ事を繰り返します。つまり外国人を見れば「いいカモがきた。」と同じことをします。
 ベラルーシに住んでいる、あるいは旅行滞在している他の外国人のためにも、自分自身のためにも、毅然とした態度を取りましょう! 乗客も検札係も法令を等しく守り、敬わなくてはいけません。平気でそれを違反している検札係の言うことを乗客はきかなくていいのです。

② ちゃんと運賃を払って乗車しているときに、検札係があなたの切符を調べに来たとします。そのとき、その検札係の胸に「苗字・名前・ミドルネーム」の三つがのった名札がついていない場合、あなたの切符や定期券を、検札係に見せる必要はありません。
 名札があったとしても、身分証明書を提示し、本物の検札係であることを証明しないような人物に、あなたの切符や定期券を見せる必要は全くありません。
 相手が威圧的な態度を取ろうが、大声でどなろうが、見せなくていいのです。乗客のほうに、検札係に対し身分を証明するよう求める権利があるのです。

③ 乗客のあなたが、法律を守っているにもかかわらず、検札係のほうに法律違反な態度や言動が見られる場合、ミンスク交通局に訴える権利があなたにあります。
 ただ、ロシア語(あるいはベラルーシ語)しか通じません。訴えたとしても、私のケースのように無視される可能性が高いです。しかし、訴える権利はあるのですから、言葉ができなくとも、ベラルーシ人の友人などいれば、助けてもらって、訴えてください。
 ちなみにミンスク交通局の電話・ホットラインの番号は 246-97-47 です。
 ミンスク交通局の連絡先は
220007, г. Минск, пер. Кооперативный, 12 (土日休み)
電話: 219-86-01
FAX: 222-94-84
е-mail: info@minsktrans.by

 ミンスク交通局のサイト、そして掲示板はこちらです。

http://minsktrans.by/


http://minsktrans.by/forum


いよいよとなるとミンスク交通局長本人に訴えることもできます。要予約で、受付の電話番号は 219-86-01 です。
 訴えるときはできるだけ検札係の氏名を明らかにしてください。そのほうが対応が早くなります。 
しかしそうは言っても言葉の問題があって、うまくできない、という人は、動画やビデオに検札係の顔や名札、言動などを録画してしまいましょう。
 そのほうが証拠としてずっといいと思います。いくらロシア語が上手な人が一生懸命状況を主張しても
「そういうあんたの言っていることが、正しいかどうか分からん。」
と言われる可能性もありますから。

 日本人の皆さんが遠くベラルーシまでやって来て、このような規則違反をしてまで、自分の給料を上げようと、外国人差別をする検札係に運悪く出会わないようお祈りします。

 何よりも毅然とした態度で対応しましょう。勢いに押されてお金を渡してしまうことはベラルーシ社会にとってもベラルーシに来る外国人全てにとっても、悪い影響を与えることになるのですから。

 それから、ついでにお知らせです。
 これは滅多にないと思うのですが、「偽コントロリョール」が出没することがあります。
 つまり、コントロリョールそっくりの制服や身分証明書を作り、バスなどに乗って乗客から罰金を吸い取ろうとする詐欺師がいるということです。
 市内を走るバスだけではなく、ミンスクから近郊へ向かう電車の中でも車掌そっくりの格好をして、いちゃもんをつけては、罰金を取っているそうです。
 バスなどの車内にミンスク交通局からのお知らせの紙が貼ってあることがあります。そこには
「偽コントロリョールに注意! 本物の制服はこうなっています。」
とカラーで、制服の写真が載っており、本物の見分け方などが説明してあります。

 正直言って、私たち外国人からすると、「何を信じたらいいのか・・・。」というレベルの話です。
 しかし私からアドバイスできるのは、検札係は必ず、2人か3人のペアで働いています。ですから、もし1人だけで、乗り込んでくる検札係がいたら、要注意です。偽者である可能性が高いです。
 1人で働いている検札係には、切符を見せる必要はありません。逆にミンスク交通局に通報してあげましょう。


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 2014年4月1日追記です。
 ミンスクの公共交通のうち、バス、トロリーバス、トラム(路面電車)の料金の支払い方法が変わりました。
 と言っても、チケットに穴をあける方式だったのが、乗車日と時間、乗っているバスなどの車体番号が刻印される方式に変わっただけです。
 しかし、これで少しは「ちゃんと料金を支払いましたよ。」という乗客の言い分が証明されやすくなりました。
 外国人に変な言いがかりをつけてくるコントロリョールにはっきり、時間すら刻印されているのだから、それを証拠にこちらの主張ができますし、トラブルが起きたときの証拠品にもなりますね。

 このほか定期券は刻印はせずに、バス内の読み取り機械にタッチする方式に変わりましたが、短期滞在の旅行者にとっては、あまりお得ではないと思います。

要注意! ミンスクの交通(バス・トロリーバス・路面電車)その3 

2010-10-04 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 帰宅した私と夫はミンスク交通局のサイトを見つけ、陳情書を作成してメールで送信しましたが、どうせ何も言ってこないだろうと思いました。(実際に10月4日現在、ミンスク交通局からは全く音沙汰なしです。)
 さらにミンスク交通局のサイト内に掲示板があったので、そこにも投稿しました。消去されてしまうか、と思いましたが、10月4日現在、私の投稿は公開されています。しかし、やはり他の人からの投稿にはミンスク交通局側からレスがあるのに、私の投稿には何も返事がない状態です。

 でもまあ、この掲示板に来たベラルーシ人が読むのだから、いいとしましょう。
 さらに私は事の一切を文章にして、最後に「あの時偶然バスに乗り合わせていた他の乗客の皆さん、言葉で援護してくださり、ありがとうございました。」と感謝の言葉を追加したものを、あちらこちらのベラルーシの新聞社に送りました。

 その結果9月30日付けの新聞「旅行と休息」に、「ベラルーシは悪者検札係の国か?」という記事が掲載されました。
 どうして旅行の新聞に掲載されたかというと、この新聞はベラルーシに旅行にやってくる外国人のための情報も載せているからです。
 つまり、ベラルーシへ旅行に来て、バスに乗ったら、外国人だから、という理由だけで、罰金を無理やり請求される恐れがあるので、注意しましょう、という記事なのです。
 編集部の皆さん、どうもありがとう! おかげで気持ちが軽くなりましたよ。私以上に横で一部始終を目撃していた夫のほうが
「あのコントロリョール(白毛)、ベラルーシ人の恥!」
と3日ぐらい怒っていたので、新聞記事になったのを見て、少し安堵したようです。
 (私は「あーあ、またかあ。外国人差別はもうやめてくれい。」ぐらいにしか感じてなかったです。)

 現在この記事はネット上で読めるようになっています。リンク先はこちら。

http://www.tio.by/newspaper/2859


 ここにもあるように、トーダル君がコメントを載せています。
「外国へあちこち行きましたが、ベラルーシは国ではなく、どこかの国にある町だと思われています。つまりイメージが乏しい国なのです。それなのにベラルーシへ来る外国人に検札がこのような態度を取ると、『ベラルーシは悪者検札係の国』というイメージが作られてしまう。」
・・・ということをトーダル君は危惧しています。全く同感です。しかし、私は発言せずにはおられんですよ。

 さてこの新聞に掲載されたことが、これだけでは終わらなかったのです。この新聞を読んだインターファックス通信ミンスク支局が私に連絡を取ってきました。
 そして今回の事件を記事にして、ミンスク交通局にインターファックスから返答を求めることになったのです。私に尋ねてきたのは、私が事実を捏造してないかどうかの確認でした。
 そのとたん、インターファックスにつつかれてびっくりしたのか、10月5日になってあわててミンスク交通局は、掲示板の私の書き込みに対して、レスをつけました。
 それは現在ミンスク交通局のサイトで読むことができるのですが、ロシア語なので、それを翻訳・要約したものをここで公開します。( )内は私のコメントです。

「・・・この件に関して9月28日の会議で議題になりました。(←事件が起きたのも、掲示板に書き込みしたのも9月15日なのに、2週間後に取り上げたのか・・・。)
 該当する検札係の氏名は T. N. ゲルマノビッチです。(←白毛の本名です。こうして自分の名前を掲示板でさらされるわけです。)
 ゲルマノビッチの主張するところとあなたの主張するところには食い違う点があります。(←そりゃあ、時間も経っているし、白毛は自分が叱られたくないから、私の言っていることはちがうとか、間違いがあるとか言い訳するでしょう。)
 しかしながら、ゲルマノビッチは自分の名札を胸につけていなかった、そして身分証明書の提示を乗客から求められたのに応じなかった、(←このあたりは赤毛の証言や、私が白毛の氏名を知らないことから立証されたようです。)という規則違反を犯しましたので、9月のボーナスをカットしました。(←9月は基本給しかもらえない、ということです。)
 また今後、 ゲルマノビッチに対して他の乗客から陳情書が寄せられた場合、厳正に対処します。(←つまり、次回はクビになる、ということです。)
 会議では他の検札係にも乗客に対して、適切な対応を取るよう指導いたしました。」

 ミンスク交通局からの返答は以上です。
9月28日に会議をしたのなら、次の日ぐらいにはレスを掲示板に公開するなり、私にメールを送るなりすればいいのに、マスコミにつつかれたら、あわてて・・・というのがいやだなあ、と思いました。結局3週間もかかった・・・。
 新聞に載らなかったら、たぶん今でもほったらかしにされていたと思います。
 でも、白毛の本名も分かったし、給料も減らされた、というのを知って、ほっとしました。特に夫は喜んでいました。
 大体あんなひどい罰金の取り立てする自分が悪いんですよ。

 事件発端から結末までは、インターファックス通信が記事にしました。ここにちょうど穴あけパンチの画像もあるので、ぜひご覧ください。

http://www.interfax.by/article/71260


 インターファックスよ、本当にありがとう!!!
 この記事の中ではミンスク交通局のセルゲイ・クチンスキーという人が
「来年から検札係の数を2倍にする予定である。現在検札係は111人働いているが、来年は208人に増員する。」
と話しています。あーあ、そんな予算があるなら、もっと別な方法を考えればいいのに。毎月毎月この208人に払う給料のことを考えないのか・・・。

 さらに私の件については
「ゲルマノビッチの主張では、この乗客(私のこと)は無賃乗車していたので、罰金を要求した。」
と書いてあります。
 やれやれ。検札係が乗客の切符を奪って、バス停のゴミ箱に捨てようとしてですね、「無賃乗車しているぞ!」と叫んでいるんですよ。
 正義はどこにあるのか、と言いたいです。
 大体、そんなにこの白毛が正しくて、私が嘘つきなのであれば、どうして白毛は身分証明書の提示を拒否したのか? とききたいですよ。名札もわざと外していたのは何のため?
 こっちは本名はもちろん、顔写真まで新聞に掲載してるんですよ。これでも私がタダ乗りしてたと主張するのか、と言いたいです。

要注意! ミンスクの交通(バス・トロリーバス・路面電車)その2

2010-10-04 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 9月15日の午後、私と夫は自宅の近くに用事があり、そこへ徒歩で行きました。用事を済ませたその帰り、私一人だったら、バス停で一駅の距離だったので、おそらく歩いて帰っていたと思いますが、障害者の夫が足が痛いのか
「バスに乗って帰りたい。」
と言い出しました。2人で最寄りのバス停へ行きましたが、ちなみにその次のバス停が終点で、家はその終点の近くにあります。
 しばらくすると99番のバスと51番のバスがほとんどつながるようにやってきました。前の99番のバスは混んでいたのと、コントロリョール2人が乗っていて、いやーな雰囲気だったので、無賃乗車するつもりは全くなかったものの、次の51番のバスに乗りました。こっちのバスはすいていて、他の5、6人の乗客しかいませんでした。

 さて、私が51番のバスに乗ろうとするのを99番の窓から見ていたらしく、一人のコントロリョール(分かりやすくするため、この人のことを「白毛」と呼びます。)が、99番のドアが閉まる直前に飛び降り、51番のバスに飛び乗ってきました。私の後ろには夫が続いて乗車しようとしていたのですが、その夫をお尻で跳ね飛ばしそうな勢いでした。
 そして、他の乗客には一切目もくれず、私に突進し
「切符は?」
とどなりました。そのとき、私はすでにカバンの中に手を入れて、買っておいた切符を取り出そうとしていました。
 夫が自分の身体障害者手帳(障害者はバスなど無料ですが、切符の代わりに手帳を見せないといけない。)を取り出して、見せようとしましたが、白毛は無視。
 ずっと私の横に張り付いて、ありとあらゆる脅し文句(「早く切符を出せ。」とか「タダ乗りできると思ってんのか。」などなど。ちなみに白毛さんは女性で年齢は45歳ぐらいです。)を浴びせ続けました。
 他の乗客が見かねて「私の切符です。どうぞ見てください。」と差し出しても無視。明らかに
「へっへ。外人だわ。わなに落ちたな。さあ、罰金取ってやる。他の客は私の仕事の邪魔すんな。」
という態度でした。
 私が切符をカバンから取り出し、穴あけパンチで穴をあけようとしたところ、突然この白毛は私の手から切符をひったくりました。
 そして自ら穴をあけたうえで、私の切符を返すこともなく
「はい、罰金、7000ルーブル払え。」
と言い出したのです。
 私と夫が
「運賃を支払ったのに、どうして罰金まで払わないといけないんですか?」
と反論すると、白毛はバスの運転手のところへ行きました。すぐそばにいた夫が証言していますが、そのときに白毛と運転手の会話はこうです。
「こんちは。」
「ああ、こんちは。」
 以上です。その後白毛は私のほうに向き直り
「運転手が見たって言ってるわよ。あんたここから2つ前の停留所から乗車したでしょ! 一駅以上切符に穴をあけることなく、バスに乗っていたんだから、罰金払え!」
 どうして現実と違うことまででっち上げるのか?
 大体、私の後ろについてきて、このバスに乗り込んできたくせに、こんな嘘までつくのです。
 私が抗議すると、他の5、6人の乗客も我慢できなくなったらしく、口々に
「それは間違いだ!」「私、見ましたよ、この人はすぐそこのバス停で乗ったんです。」「私も見ていた!」「嘘つくな!」
と援護し始めました。
 バスの中は大騒ぎとなり、それが収まらないうちに次のバス停、つまり終点に到着しました。

 バスが止まってみんな降りたのですが、白毛は私の切符を握ったまま、返そうとせず、さらにバス停のゴミ箱に捨てようとしました。
 私が「私の切符でしょ! 返して! 何の権利があってゴミ箱に捨てるんですか!」と後を追いかけました。
 すると白毛は喧嘩をふっかけるかのように
「警察呼ぶわよ!」
とどなりました。こっちが警察を呼んで、この大馬鹿検札女を逮捕してほしいぐらいなのに、どうして私が警察の世話にならないといけないのか。
 しかし夫が怒って
「返せー!」
とわめいたところ、ようやく白毛は私の切符を返してくれました。
 このように切符を捨てようとしたのは、つまり私がバスの運賃を支払った唯一の証拠品をもみ消そうと思ったからです。
 
 そのときには51番の前を走っていた99番のバスも終点で止まっており、そこから99番のバスの乗客を調べていた、もう1人のコントロリョールもバス停にいました。分かりやすく説明するためにこの白毛とペアで働いていたこの人のことは赤毛と呼びます。

 私と夫は白毛の人権無視の態度をミンスク交通局に訴えるため、白毛に
「あなた、名前は何て言うんですか?」
とききました。普通はコントロリョールは青い制服を着ていて、さらに左胸に名札をつけているものなのです。しかし白毛はその名札をつけていませんでした。(これがすでに規則違反です。)
 しかし白毛は自分の名前を言うのを拒否。それで夫は身分証明者の提示を求めました。
 これも普通は、「この人は本物の検札係です。」と証明するミンスク交通局が発行している公印の押された身分証明書を常に携帯しているはずなのです。
 しかし証明書をポケットから取り出すのも白毛は拒否し、挙句に
「裁判に訴えてやる!」
とわめきました。これに対し私は
「こっちが裁判に訴えるから! 自分がそんなに正しいのなら、どうして身分証明書を見せないのか?」
と抗議しました。
 (どうしてこんなに脅されないといけないのか。私、無賃乗車したわけでもないし、何も悪いことしてないのに、こっちが被害者ですよ・・・。)

 さて、この様子を白毛とペアで働くはずの赤毛さんはすぐ横で眺めていました。
 ちなみに検札係は2人、あるいは3人のペアで働いています。91番のバスと51番のバスと、1人ずつに分かれて検札するのも、規則違反なのです。
 
 白毛が自分の身分を明かさないので、私は赤毛さんなら知っているだろうと思い、赤毛さんに尋ねました。
「あなたとペアを組んでいるこの人(白毛)の名前を教えてください。」
 しかし赤毛は同僚をかばおうと思ったのか、
「私は関係ない!」
と教えてくれません。しかし規則どおり赤毛さんの胸にはちゃんと名札がついていました。そこの苗字欄には「ドゥブロフスカヤ」とありました。しかし赤毛のドゥブロフスカヤさんはびっくりして、名札を手で隠し
「何で私の名前を読むんですか! この人(白毛)との問題でしょ! 私は関係ない!」
「白毛の名前をあなたが教えてくれないからでしょ。」
と再度、赤毛に白毛の名前を言うよう頼みましたが、ドゥブロフスカヤさんは教えてくれませんでした。

・・・というわけで、正義よりも同僚との人間関係を良好に保つほうを選んだドゥブロフスカヤさんは、自分の名前をこのようにブログに書かれ、かえって恥をさらすことになったのです。気の毒だが仕方ありません。ちなみにドゥブロフスカヤという苗字はベラルーシではよくある苗字です。

 私が赤毛と押し問答をしている間もずっと白毛は「警察呼ぶぞ。裁判に訴える。」というフレーズを繰り返していました。そして白毛と赤毛は小走りに終点のバス停にある運転手詰所のある建物のほうへ去っていきました。

 しかしまあ、どうしてこんなにコントロリョールは外国人乗客にむしゃぶりつくのか?
 その理由は簡単です。外国人は言葉が分からない、と思い込んでいる。さらに運賃の払い方も分かっていない、規則も分かってない、だから罰金を吸い上げるのが楽なのです。
 これが相手がベラルーシ人だと、喧嘩が発生します。ああ、今まで何回見てきたとか・・・
「タダ乗りか! 罰金払え!」「嫌だ! 今失業中なんだ!」「金がないなら乗るな!」「たったの一駅だろー。」「だったら歩いて行け!」「急ぐんだ、やだね。」ギャー、ギャー、ギャー、ギャー・・・どちらも負けじと延々怒鳴りあっています。
 こうしてまともに料金を払っている他の乗客の気分も悪くなっていきます。
 朝のすがすがしい天気も台無しです。夕方の家路でこういう怒鳴りあいを道中ずっと聞いていると、仕事の疲れが増していきます。
 自分が無賃乗車をしていなくても、本当に不愉快です!

 さらによくない、と思うのはコントロリョールは不公平、ということです。罰金を取りやすそうな弱い者にむしゃぶりつきます。外国人も明らかに弱者のほうに分類されています。
 以前、こういうことがありました。3人のコントロリョールが前のドア、後ろのドア、中央のドアから、いっせいに乗り込んできました。
 乗客のうち、2人の男性が大男でマッチョ、そしてスキンヘッドでした。いかにもガラが悪い感じでした。その2人組みに検札の1人(女性。おばさん。)が「切符は?」とききました。男のほうは「ない。」とだけ答えました。それで終わり。一切お咎めなしです。
 同じ乗客で赤ちゃんを抱っこした痩せた若い女の人がいました。この人も無賃乗車をしていました。
 バス停でみんな降ろされましたが、3人の太ったおばさんコントロリョールは若いお母さんをぐるっと取り囲み、口々にタダ乗りしたこと、罰金すらすぐに払えないほど財布にお金がなかったことを、罵っていました。そのすぐ横を同じくタダ乗りしたマッチョの2人は、何事もなかったのように通り過ぎていきました。3人のおばさんコントロリョールは男2人組のほうは見ようともしませんでした。

 同じ無賃乗車なのに、片方は全くとがめられず、片方は1対3で小突かれるのか?
 不公平です。それに
「無賃乗車は規則違反だ! だから罰金を払え!」
と叫ぶ検札自身が規則違反を犯している。こういうところが一番おかしいと私は思います。 

 そしてどうして、コントロリョールはこんなに口汚く、強引なのか。それは給料の支払い方が間違っているからです。コントロリョールの給料は歩合制です。つまり最低限の給料はもらえますが、その額はしょぼい。たくさん収入がほしい、と思ったら、タダ乗り客をたくさん捕まえろ! と上からハッパをかけられているのです。そして「今日はこんなにたくさんタダ乗り客から罰金を取りました!」
と報告すれば「よろしい!」とほめられ、検挙数かけるいくら、の賃金が基本給に上乗せした形で、給料になるのです。
 だから、コントロリョールはガツガツしている。そして効率よく収入を上げる手段として、同じタダ乗り客でも「ああ言えばこう言う」ベラルーシ人を相手にするよりも、言葉が分からなくて戸惑っている外国人相手のほうが楽チンです。
 「あ、あれ? 700ルーブルのはずだけど、追加で払わないといけないのかな? それとも桁を勘違いしてたのかな?」
と、向こうからいいように解釈してくれるかもしれません。7000ルーブルぐらい外国人からすれば安いもんだろう、だからそれぐらいさっさと払ってくれるわい、とコントロリョールは思っています。
 はっきり言って、外国人のことを馬鹿にしています。

 ついでなので付け加えて言うなら、人件費の無駄です。こんなコントロリョール1人1人に毎月毎月給料を払うことを考えると、運賃を100ルーブルに抑えて、代わりに運賃箱を運転台の横に設置するほうが、よっぽど安上がりです。現在7割がたいそうな無賃乗車客もいなくなるし。・・・と日本人の私は毎度考えます。 
 とにかくたった700ルーブルとは言え、このうちの何パーセントだかが、コントロリョールの給料に充てられているのか、と考えるだけで、腹が立ってくるので、私は現在ほとんどバスやトロリーバスは利用していません。
 
 さて、今回の事件の余波はまだ続きます。その3をぜひご覧ください。

要注意! ミンスクの交通(バス・トロリーバス・路面電車) その1

2010-10-04 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 ミンスクへ旅行や留学などで滞在する予定の日本人の皆さんへ。
 ミンスクの公共交通機関のうち、地下鉄・乗り合いタクシー以外の、バス・トロリーバス・路面電車に乗るときに要注意。運賃を払っているのに、外国人だからという理由で不当に罰金を請求される可能性があります。
 
 2010年10月現在、ミンスク市内を走る公共交通機関の運賃は、距離に関係なく、一律700ベラルーシ・ルーブルです。(ミンスク郊外へ行く長距離バスの場合は、運賃が変わってきます。)

 もし無賃乗車をした場合、その罰金は10倍の7000ルーブルです。(この罰金の額は将来変更される可能性が多いので注意してください。)

 さて、ここからが問題です。バス・トロリーバス・路面電車の運賃の支払い方が、非常に問題なのです。それは自己宣告制で、しかも無賃乗車かどうかを調べる方法も、行き当たりばったりなのが、問題の源なのです。

 日本人の皆様、ベラルーシでバス・トロリーバス・路面電車の乗る予定の方は、料金の支払い方法をよく覚えておいてください。
 まずバス停によくあるキオスクなどで、あらかじめ切符を買っておきます。
 バス・トロリーバス・路面電車に乗ったら、中に穴あけパンチのような器械がいくつか手すりのところについていますので、そこに切符を挟んで穴をあけます。これで運賃を支払ったことになります。穴をあけるのは乗った停留所から次の停留所に到着するまでにしておかないといけません。
 乗車中にコントロリョールという、青い制服を着た人が乗ってきたら、穴をあけた切符を見せます。
 このコントロリョールというのが、要するにタダ乗りの乗客を捕まえて、罰金を請求する交通局の職員、検札係です。
 切符を持っていても、穴があいてないとタダ乗りしたことになるので注意。

 切符を前もって買えなかった場合は運転手から買うことができますが、750ルーブルと割高になります。(運転手から買えるのは停車中だけです。それから切符が売り切れていたり、お釣りがない、ということもときどきあります。)

 また赤・黄・青の3色の制服を着た人がバスなどにずっと乗っている場合があります。この人(コンドゥクトル。車掌。)もタダ乗りしていないか、「切符を拝見。」と乗客に聞いてきますが、700ルーブルで切符を売っていますので、前もって買っていなかった場合はその場でその職員から買って、すぐに穴をあけましょう。
 そうしないと、やはり罰金を請求されます。

 また切符ではなく、定期券を買うこともできます。キオスクで買えますが、種類が細かく分かれていて、ロシア語ができない人や、短時間の滞在の旅行者には不向きです。
 定期券は穴をあける必要はありません。コントロリョールやコンドゥクトルに言われたら見せるだけです。

  と、このような方法で運賃を払っています。しかしはっきり言って、この方法ではタダ乗りをする人がいっぱい出てきます。長年ここで暮らす私の感覚では、実際にはベラルーシ人乗客の7割ぐらいがタダ乗りしていると思います。
 乗車中に運賃を支払ったのか必ず調べられるとも限りません。抜き打ち検査ですから。
 しかし、無賃乗車は違法ですので、日本人の方もちゃんとお金を払いましょう。
「支払い方法を外国人だから、分からなかった。」
というような言い訳は、全く聞いてもらえません。

 ・・・というわけなのですが、問題はここから。私がここで声を大にして言いたいのは、ちゃんとお金を払っているのに、「外国人だから。」という理由で、さらに上乗せして「罰金を払え。」と強要する、悪徳コントロリョールがいることです。みんながみんなそうとは限りませんが、残念なことに
「外国人は金持ち。そして言葉が分からないから、だましてもいい。」
と考えるコントロリョールがたくさんいます。

 長年ここで暮らしていると、そういう職権乱用コントロリョールに「さあ、罰金払えーーー!!!」と揺さぶられることが何度もありまして。こっちはちゃんと穴の開いた切符を見せているにも関わらずです。
 幸いはこっちは昨日ベラルーシに来たばっかりで、ロシア語もよく分からない、という日本人ではないので、はっきりとロシア語で
「ちゃんと払ってますが、どうして罰金まで払わないといけないんですか?」
と言い返します。
 しかし嘘の事実を捏造してまで、金を外国人から吸い取ろうとするコントロリョールもいます。
 
 詳しい事例をこの記事の続き(その2)でご紹介します。これからベラルーシへ行く予定の方は必ず読んで勉強しておいてください。