ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チェルノブイリ原発事故から32年

2018-04-26 | 放射能関連情報
 今日でチェルノブイリ原発事故から32年となりました。
 
 1年前はこんな記事を書いていましたね。

 そのときは、セシウム137の半減期がようやく過ぎたもものの、内部被曝量は減っていない・・・と書いていましたが、最近になって、ベルラド研究所が、
「平均すればベラルーシ人の内部被曝量は減少傾向に向かっている。」
と話してくれました。
 ベルラド研究所はもちろんベラルーシ人全員の内部被曝量を測定しているわけではなく、どちらかと言うとかつて汚染地域と言われていた場所の住民の追跡測定を行っています。
 半減期が過ぎてそのデータが集まってきたそうですが、その結果、全体として被曝量が減ってきており、その理由はセシウム137の半減期が過ぎたからだそうです。

 喜ばしいニュースですね。

 しかし、一方、別の見方も持たなくてはいけません。
 まず、ベルラド研究所で内部被曝を測定しているのはセシウム137とカリウム40だけです。
 (日本では半減期が2年のセシウム134も測定する方がいいです。)

 事故直後のように内部被曝量が体重1キロ当たり1000ベクレルといったようなベラルーシ人はもういないので、平均値を取ると、当然ベラルーシ人の内部被曝量が減ったように見える。
 食品からによる生体濃縮は続くので、目立つ数値の内部被曝はないものの、低被曝者はまだまだ大勢いるという予測です。

 長期間にわたる低い量の内部被曝が、どれだけ人体に悪影響を及ぼすのか、明確ではない。
 どうして明確でないかと言うと因果関係をはっきり証明できないからです。(「ガンになってしまった。それは被曝したから。」と断言できない。他の要因も考えられるため。)研究している人も少ないです。

 ベラルーシではチェルノブイリ原発事故後、子どもの1型糖尿病が増えましたが、被曝との因果関係を研究している人がいないので、「関係しているかどうか分からない。はっきりしない。だから断言できない。」という状況がずっと続いています。

 ともかくチロ基金としてはベルラド研究所とSOS子ども村の定める基準、子どもの場合、体重1キロ当たり20ベクレル以上の内部被曝はリスクがあると考え、支援活動を可能な限り続けていこうと考えています。