先日、ロールキャベツを作るのに使ったひき肉。日本では挽き肉という。文字からするとすりつぶすという意味か。
中国では絞肉と書く。機械に入れて絞り出すから。
モンゴル語では何というか知らないけど、作り方は包丁、ナイフでひたすら叩く。いわば「みじん切り肉」。店にひき肉は置いていないので、家で肉を頑張って刻む。だからひき肉料理は手間がかかる。
今はスーパーマーケットがあると思うけど、留学したころの中国も、食材を買うなら市場だった。何でもかんでも量り売り。野菜などざる一杯でいくらとかいうものもあったかと思うが、基本は1両(50g)いくらとか、1斤(500g)いくらとか書いてあって、欲しいだけとって秤に乗せる。
ここで中国人がすごいのは、客が外国人と見てとると、数字をごまかす人がいること。それも、秤がグラム式ではないので読めないと思ってか、まず重さをごまかす。それから重さと値段を計算して価格をちょっと高く言う。初めのころはここで計算が追い付かなくて、後で考えたら多く取られていたということがあった。それからはこちらも訓練を積んだので、市場での生鮮食料品の計算だけは速くなった。そして極めつけはお釣りを少なく出す。「足りないよ」というと、すぐに出してくれるけど。
中国は人口がすごく多いので、競争が激しいのだろう、隙を見せればすぐに突いてくる。もちろん外国人でなくても、うっかりするとお釣りをごまかされていた。日常のちょっとした買い物でも重さ、計算、お釣りと抜けるところは全部抜いてくる。これにはいたく感心した。
肉屋さんの場合は、2kg~5kgくらいの肉の塊が並んでいるので、これをこのくらいくださいと手で示す。お店の人は包丁を使って、この大きさだねと切る場所を確認する。そして包丁を振り上げ、必ず大きく切る。お願いした大きさより二割がた大きく切ってくれる。ま、いいんだけど。
そういえば、モンゴルの市場でも、肉をこのくらい切ってと頼むと、やや大きく切ってくれたっけ。中国よりは控えめに一割増しくらい。
ある日本人に聞いた話。
日本に来たモンゴル人がスーパーへ行って「肉がなかった」と言ったらしい。肉売り場が見つからなかったというのだ。
んなわけないだろと一緒に行って、肉ならここに並んでいるじゃないのとパック詰めのひき肉やスライスされた肉が並んでいるところを見せると、かのモンゴル人は呆然としていたそうな。まさか、これが肉だなんて・・・
中国でもモンゴルでも市場の肉売り場は肉塊の嵐。薄く切ったものはもちろん、小さな塊もない。全部ホールケーキくらいの大きさはある。
いや、モンゴルの場合はさながら屠殺場。牛や羊が肋骨のついたまま、もも肉は蹄のついたまま売られていたりするし。市場の肉売り場は血の匂いがするんですのよ、本当に。あれと比べたら、日本で食べる肉は肉じゃないね。