山折哲雄『空海の企て 密教儀礼と国のかたち』(角川選書、2008年11月10日、1500円+税)
さまざまな宗教家や宗教の本を読みながら、最近は、空海と密教関連の本を読むことが増えています。そのなかで、山折哲雄の著書にもひかれています。
とくに、山折哲雄『愛欲の精神史2 密教的エロス』(角川文庫、2010年3月25日、819円+税)には圧倒されました。空海の密教とエロスは、絶妙のバランスにささえられてきた、あるいは、より顕教的傾きで存続をはかってきたといえるのかもしれません。インドでそうであったように、エロスに傾いた密教は滅びざるをえない。しかし、東大寺で大仏を前にして今も読まれる理趣経の内容は、ふかく考えさせられます。
ところで、この『空海の企て』は、朝廷の奥深く浸透して平安京大内裏のほぼ中央に真言院を設置し、国家と密教をむすびつけた空海が、いかにこの国のかたちに影響を及ぼしたのかを解明しています。重層的な日本文化が立体的にみえてきます。
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