レポート 新しい不登校対策「COCOLOプラン」の批判的検討 No7
7.不登校対策の背景 その2 (中教審・経団連の不登校認識)
日本の教育の基本方針を審議する中教審や国の諸政策に影響力を持ち、多くの提言を行っている資本家団体・経団連は、不登校に対してどのような認識を持ち、どのような提言をしているかを、それぞれが公表している資料から見てみる。
中教審=「令和の日本型学校教育」の構築を目指して(2022年1月26日答申)
経団連=「優先的に取り組むべき教育政策の施策」(2022年)
中教審は日本型学校教育を、
「学校が学習指導のみならず、生徒指導の面でも主要な役割を担い、児童生徒の状況
を総合的に把握して教師が指導を行うことで、子供たちの知・徳・体を一体で育む
『日本型学校教育』は、諸外国から高い評価」を受けているとし、日本の学校教育の優秀さを自負している。その上で、日本型学校の直面する課題として、
「子供たちの多様化」(特別支援教育を受ける児童生徒や外国人児童生徒等の増加、貧困、いじめの重大事態や不登校児童生徒数の増加等)
など7つの課題を列挙している。
経団連は、文科省の第4期「教育振興基本計画」策定に向けた提言において「優先的に取り組むべき教育政策の施策」として、
5.子どもの才能を伸ばす多様な教育機会の提供
特定分野に特異な才能を持つ子どもに限らず、幅広い子どもの個性・才能を伸ばす教育を学校外で実践していく必要がある。特に学校になじめず、不登校傾向にある子どもが増加傾向にある中で、不登校の子どもたちの学びを保障することは喫緊の課題である。地方自治体は、学びを保障する観点から不登校児童生徒など学校教育になじめない子どもたちがオルタナティブ教育を受けられる環境を整備すべきである。国も質の高いオルタナティブ教育への支援を検討する必要がある。
と述べている。
2022年、不登校の数は30万人を数えた。実に小学生の31人に1人、中学生の16人に1人が不登校である。この状態を、中教審は「子供たちの多様化」、経団連は「学校教育になじめない子どもたち」という。
そして、必要な対策は「学びの多様化学校」であり、オルタナティブ教育だという。
「学びの多様化学校」とは、「通常学校」や「特別支援学校」ではない不登校に特化した学校であり、「オルタナティブ教育」とは学校に替わる教育のことをいう。
つまり、学校になじめない子どもたちは、勉強したくなったら、学校以外の自分に合ったところで勉強すればいい、ということである。諸外国から高い評価を受けている優れた日本の学校教育になじめずに不登校となった子どもは、学校以外で勉強すれば良い、と言いているのである。
これが、この国の教育に責任のある立場にある中教審や影響力のある経団連の不登校に対する認識である。
そうした考えを背景に、新しい不登校対策「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」が作られていることを、私たちは知っておかなければならない。