気になる不登校対策 /「校内フリースクール」
最近行われたいくつかの首長選挙における選挙公約に「校内フリースクール」を掲げる候補者がいた。
また、茨城県つくば市 愛知県岡崎市 兵庫県川西市 岡山県倉敷市などは「校内フリースクール」の設置に積極的である。
「校内フリースクール」とは何か。
「校内フリースクール」とは「別室登校」のことである。登校できても教室に入れない子どもたちの為に、学校によっては、保健室や相談室、あるいは空き教室を「居場所」としてしてきた。いわゆる「別室登校」である。
子どもたちは教室に馴染めない時、「しんどさ」を訴え保健室に行く場合が多々あった。保健室に多くの子が来て、保健室では見切れなくて、空き教室を居場所として開放する学校もあった。教室と違って担任の先生は居ず、授業の空きの先生が交代で見回ることもあった。そうこうする中で、教室に馴染めない子どものための「教室」が設けられた。ここに通うことを「別室登校」と呼ぶようになった。先の「不登校に関する調査研究協力者会議」には別室を「○○スペース」や「○○○」と名付けた取組が好事例として、いくつか報告された。それを受け文科省は「校内フリースクール」を推奨するようになった。
「校内フリースクール」というが、それは名称を変えただけであって「フリースクール」ではない。ちなみに、デンマークでは「フリースコーレ」といって民間教育運動の中で生まれてきたもので、自主・自立を尊重された上に、公立学校の同様の資金的な補助が行われている。
一方、日本でいうところのフリースクールは、不登校の子どもらの居場所として始まったものが多く、学習塾がフリースクールを名乗っているところもある。
昨今、フリースクールを巡る様々な動きがあった。数年前、現石川県知事の馳氏を中心にした超党派の議員連盟がいわゆる「フリースクール法」の成立を目指したこと。馳氏が文科大臣に就任し、フリースクール支援を目指す「フリースクール検討会議」という有識者会議が設置された。さらに、当時の総理大臣がフリースクールを見学し、施政方針演説で言及した。しかし、「不登校を助長する」「学校教育の信頼を失墜させる」と保守派からの反発があり、「フリースクール法案」は頓挫した。(昨年、物議を醸した「フリースクールは国の根幹を崩す」と言った東近江市長発言も、この延長線上にあると言える)
文科省は、「学校外の学習の場」に固執し、教育支援センター(適応指導教室)や「不登校特例校」の増設に躍起になってきたが遅々として進まなかった。そして、今度は、「校内教育支援センター」「校内フリースクール」の設置を進めることに重点を置き始めたのである。
「学校外の学習の場」を学校内に設置するらしい。
「もう、手の打ちようがない。」「お手上げ状態」を自ら証明したようなものである。
ならば、子どもたちの声を聞けば良いではないか。さすればきっと道は開けるだろう。素直さがあればの話だが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます