★馴染みの星での新発見――ミラに尾を発見
SPEEDING BULLET STAR LEAVES ENORMOUS STREAK ACROSS SKY
http://www.galex.caltech.edu/MEDIA/2007-04/
4世紀以上前から知られていた変光星ミラに、これまで知られていなかった尾のような構造が初めて発見されました。
長さ13光年にわたってのびている尾が、NASAの宇宙望遠鏡GALEXによる紫外線観測で発見されました。
ミラは秒速130kmの速さで星間空間を移動しており、過去3万年間にわたって繰り返し星から放出された物質が流されてこのような尾を作っていると考えられます。
またミラの前方には、星から出た粒子と星間空間を流れる粒子が衝突してできる、バウ・ショックと呼ばれるアーチ状の構造がみられます。
★ホット・ジュピターへと進化しつつある惑星
ホット・ジュピターに進化しつつある系外惑星を発見
http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/ida/tmp/HD17156.htm
すばる望遠鏡とケック望遠鏡を使った観測で、カシオペア座にあるHD 17156という恒星の周りを回る惑星HD 17156 bが発見されました。
これまでホット・ジュピターと呼ばれる恒星のすぐ近くを回る巨大ガス惑星が数多く発見されてきましたが、HD 17156 bはホット・ジュピターへと進化する途中の惑星だということがわかりました。
すばる望遠鏡での10日間連続観測(左側の図の赤点)によって、惑星の軌道を求めることに成功しました。
その結果、惑星の質量は木星の3.08倍であり、木星のような巨大ガス惑星でした。
ところが軌道は、軌道長半径0.15 AU(1AUは約1億5000万km)、軌道離心率 0.67という細長い楕円であることがわかりました(中央の図)。
このように恒星のすぐ近くの楕円軌道を回る惑星は、潮汐力の影響を受けて次第に軌道を変え、やがてはより内側の円軌道を回るようになると考えられています(右側の図の点線)。
★謎の多いダークマターの振る舞い
Abell 520: Dark Matter Mystery Deepens in Cosmic "Train Wreck"
http://chandra.harvard.edu/photo/2007/a520/
Abell 520は2つの銀河団が衝突して合体しつつあるところです。
上のAbell 520の画像は、チャンドラ観測衛星がX線で撮影した熱いガスの画像(赤)と、カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡とすばる望遠鏡による観測で得られた銀河の可視光線画像(黄、橙)、そして銀河団周辺の質量分布(青)を重ね合わせたものです。
質量分布の画像は、近くにある質量の大きな天体(この場合Abell 520)の重力によってより遠方の天体からの光が歪められる重力レンズ効果を利用して得られたものです。
宇宙全体の質量のうち、星や銀河など観測できるものはほんの一部で、残りのほとんどはダークマターと呼ばれる光では観測できないものが占めています(つまり青い部分はほぼダークマターの分布を示しています)。
これまでは銀河団の衝突の際も、ダークマターは常に銀河と一緒に動くと考えられてきました。
ところがこの画像からAbell 520では銀河の集団から離れたところにもダークマターが分布しています。
このような現象がどうして起こるのか、まだ解明されていません。
★すばる望遠鏡で、惑星の軌道の傾きを測定
すばる望遠鏡、太陽系外惑星の公転軸傾斜角の測定に成功
http://subarutelescope.org/Pressrelease/2007/08/23/j_index.html
太陽系外惑星TrES-1bは、地球からみるとちょうど主星(惑星系の中心にある恒星)の前を通るような軌道をもっています(トランジット惑星といいます)。
そのため恒星の前をTrES-1bが通り過ぎるとき、恒星の明るさがわずかに暗くなる(一番下のグラフ)食現象が起こります。
恒星のスペクトルを観測すると、視線速度(どのくらいの速度で近づいてくるのかまたは遠ざかっているのか)を測定できます。
しかし実際の恒星は自転しているので、地球から見て近づいてくる部分と遠ざかる部分があり、両方を合わせた視線速度が観測されます。
するとその恒星の前を惑星が通ったときに、自転している恒星の近づいてくる部分が惑星によって隠されると、あたかも恒星が遠ざかっているかのように見えます。
恒星の遠ざかる部分が隠される場合はその逆です。
これをロシター効果といいます。
この現象を利用した観測がすばる望遠鏡を使って行われました。
主星の自転軸が計算され、主星の自転軸と惑星の公転軸のなす角度が30±21度であることがわかりました。
★直径10億光年!宇宙最大の「穴」発見
Astronomers Find Enormous Hole in the Universe
http://www.nrao.edu/pr/2007/coldspot/
全天の電波銀河を観測したNVSSプロジェクトの結果、エリダヌス座の方向に銀河がほとんど存在しない領域があることがわかりました(右側の画像)。
実は、NASAのWMAP衛星がビッグバンの残光である宇宙背景放射を観測したところ、この領域が他よりもわずかに低温であることが2004年に発見されました(左側の画像)。
遠方からやってくる宇宙背景放射の光は、地球までやってくる途中で物質やダークエネルギーと相互作用してわずかに温められます。
この領域で低温だということは、つまりその方向に物質があまり存在しないことを示しています。
これまでにも、宇宙空間には物質があまり存在しないボイドと呼ばれる領域がたくさんあることが知られていました。
ところが今回発見された「穴」は大きさなんと10億光年で桁違いの大きさです。
★真横から見る天王星
Going, Going, Gone: Hubble Captures Uranus's Rings on Edge
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2007/32/
Edge-On!
http://www.eso.org/public/outreach/press-rel/pr-2007/pr-37-07.html
42年ぶりに地球から見て天王星が真横を向いています。
42年前には天王星のリングが発見されていなかったので、地球から天王星のリングを真横から観測できるのは今回が初めてです。
普段は見えなかった暗く淡いリングが観測できるチャンスです。
左側はNASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像で、内側の明るいリングと外側の暗いリングが写っています。
右側はESOのVLT望遠鏡で撮影された画像で、4つの衛星も写っています。
★中性子星の周りの時空の歪みを検出
XMM-Newton and Suzaku help pioneer method for probing exotic matter
http://www.esa.int/esaSC/SEMPJXE1P5F_index_0.html
極限まで圧縮された物質の状態を調べる新しい方法を開拓
http://www.astro.isas.jaxa.jp/suzaku/flash/2007/0828/
へび座X-1は、中性子星(非常に高密度で強い重力をもつ天体)と恒星の連星系で、恒星から放出されたガスが中性子星に引き寄せられ、中性子星の周りに降着円盤ができています。
降着円盤のガスは超高温のため、鉄原子からX線が放出されています。
ESAのXMMニュートン衛星でこのX線スペクトルを測定したところその分布は左右非対称であり(上のグラフ)、これは重力赤方偏移という現象を捉えたものです。
重力赤方偏移は非常に強い重力によって時空が歪められて起こる現象で、アインシュタインの一般相対性理論によって説明されます。
ブラックホールでは確認されていましたが、中性子星で確認されたのは今回が初めてであり、さらに日本の「すざく」衛星によって他の中性子星連星系GX 349+2、4U1820-30でも検出されました。
★惑星が生まれる場所で水蒸気を検出
Water Vapor Seen 'Raining Down' on Young Star System
http://www.spitzer.caltech.edu/Media/releases/ssc2007-14/release.shtml
若い恒星の周りにはガスやちりでできた円盤があり、それを原料にして惑星が誕生し、成長します。
NGC 1333-IRAS 4Bもそのような若い恒星ですが、スピッツァー宇宙望遠鏡で赤外線観測したところ(上の画像)、水蒸気が存在することがわかりました。
上のグラフはNGC 1333-IRAS 4Bのスペクトルですが、下側の水蒸気のスペクトルによく一致しています。
外側を包む雲の中の氷の粒子が内側の円盤内に落ち込んできて、円盤内のちりなどと衝突して温められ、水蒸気が発生していると考えられます。
水蒸気の量は地球の海の5倍以上もあると見積もられています。
さらにこの水蒸気のスペクトルを分析したところ、円盤の密度は10億個水素原子/cm3以上、半径は60億km以上、温度は-100℃であることがわかりました。
SPEEDING BULLET STAR LEAVES ENORMOUS STREAK ACROSS SKY
http://www.galex.caltech.edu/MEDIA/2007-04/
4世紀以上前から知られていた変光星ミラに、これまで知られていなかった尾のような構造が初めて発見されました。
長さ13光年にわたってのびている尾が、NASAの宇宙望遠鏡GALEXによる紫外線観測で発見されました。
ミラは秒速130kmの速さで星間空間を移動しており、過去3万年間にわたって繰り返し星から放出された物質が流されてこのような尾を作っていると考えられます。
またミラの前方には、星から出た粒子と星間空間を流れる粒子が衝突してできる、バウ・ショックと呼ばれるアーチ状の構造がみられます。
★ホット・ジュピターへと進化しつつある惑星
ホット・ジュピターに進化しつつある系外惑星を発見
http://www.geo.titech.ac.jp/lab/ida/ida/tmp/HD17156.htm
すばる望遠鏡とケック望遠鏡を使った観測で、カシオペア座にあるHD 17156という恒星の周りを回る惑星HD 17156 bが発見されました。
これまでホット・ジュピターと呼ばれる恒星のすぐ近くを回る巨大ガス惑星が数多く発見されてきましたが、HD 17156 bはホット・ジュピターへと進化する途中の惑星だということがわかりました。
すばる望遠鏡での10日間連続観測(左側の図の赤点)によって、惑星の軌道を求めることに成功しました。
その結果、惑星の質量は木星の3.08倍であり、木星のような巨大ガス惑星でした。
ところが軌道は、軌道長半径0.15 AU(1AUは約1億5000万km)、軌道離心率 0.67という細長い楕円であることがわかりました(中央の図)。
このように恒星のすぐ近くの楕円軌道を回る惑星は、潮汐力の影響を受けて次第に軌道を変え、やがてはより内側の円軌道を回るようになると考えられています(右側の図の点線)。
★謎の多いダークマターの振る舞い
Abell 520: Dark Matter Mystery Deepens in Cosmic "Train Wreck"
http://chandra.harvard.edu/photo/2007/a520/
Abell 520は2つの銀河団が衝突して合体しつつあるところです。
上のAbell 520の画像は、チャンドラ観測衛星がX線で撮影した熱いガスの画像(赤)と、カナダ-フランス-ハワイ望遠鏡とすばる望遠鏡による観測で得られた銀河の可視光線画像(黄、橙)、そして銀河団周辺の質量分布(青)を重ね合わせたものです。
質量分布の画像は、近くにある質量の大きな天体(この場合Abell 520)の重力によってより遠方の天体からの光が歪められる重力レンズ効果を利用して得られたものです。
宇宙全体の質量のうち、星や銀河など観測できるものはほんの一部で、残りのほとんどはダークマターと呼ばれる光では観測できないものが占めています(つまり青い部分はほぼダークマターの分布を示しています)。
これまでは銀河団の衝突の際も、ダークマターは常に銀河と一緒に動くと考えられてきました。
ところがこの画像からAbell 520では銀河の集団から離れたところにもダークマターが分布しています。
このような現象がどうして起こるのか、まだ解明されていません。
★すばる望遠鏡で、惑星の軌道の傾きを測定
すばる望遠鏡、太陽系外惑星の公転軸傾斜角の測定に成功
http://subarutelescope.org/Pressrelease/2007/08/23/j_index.html
太陽系外惑星TrES-1bは、地球からみるとちょうど主星(惑星系の中心にある恒星)の前を通るような軌道をもっています(トランジット惑星といいます)。
そのため恒星の前をTrES-1bが通り過ぎるとき、恒星の明るさがわずかに暗くなる(一番下のグラフ)食現象が起こります。
恒星のスペクトルを観測すると、視線速度(どのくらいの速度で近づいてくるのかまたは遠ざかっているのか)を測定できます。
しかし実際の恒星は自転しているので、地球から見て近づいてくる部分と遠ざかる部分があり、両方を合わせた視線速度が観測されます。
するとその恒星の前を惑星が通ったときに、自転している恒星の近づいてくる部分が惑星によって隠されると、あたかも恒星が遠ざかっているかのように見えます。
恒星の遠ざかる部分が隠される場合はその逆です。
これをロシター効果といいます。
この現象を利用した観測がすばる望遠鏡を使って行われました。
主星の自転軸が計算され、主星の自転軸と惑星の公転軸のなす角度が30±21度であることがわかりました。
★直径10億光年!宇宙最大の「穴」発見
Astronomers Find Enormous Hole in the Universe
http://www.nrao.edu/pr/2007/coldspot/
全天の電波銀河を観測したNVSSプロジェクトの結果、エリダヌス座の方向に銀河がほとんど存在しない領域があることがわかりました(右側の画像)。
実は、NASAのWMAP衛星がビッグバンの残光である宇宙背景放射を観測したところ、この領域が他よりもわずかに低温であることが2004年に発見されました(左側の画像)。
遠方からやってくる宇宙背景放射の光は、地球までやってくる途中で物質やダークエネルギーと相互作用してわずかに温められます。
この領域で低温だということは、つまりその方向に物質があまり存在しないことを示しています。
これまでにも、宇宙空間には物質があまり存在しないボイドと呼ばれる領域がたくさんあることが知られていました。
ところが今回発見された「穴」は大きさなんと10億光年で桁違いの大きさです。
★真横から見る天王星
Going, Going, Gone: Hubble Captures Uranus's Rings on Edge
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2007/32/
Edge-On!
http://www.eso.org/public/outreach/press-rel/pr-2007/pr-37-07.html
42年ぶりに地球から見て天王星が真横を向いています。
42年前には天王星のリングが発見されていなかったので、地球から天王星のリングを真横から観測できるのは今回が初めてです。
普段は見えなかった暗く淡いリングが観測できるチャンスです。
左側はNASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮影した画像で、内側の明るいリングと外側の暗いリングが写っています。
右側はESOのVLT望遠鏡で撮影された画像で、4つの衛星も写っています。
★中性子星の周りの時空の歪みを検出
XMM-Newton and Suzaku help pioneer method for probing exotic matter
http://www.esa.int/esaSC/SEMPJXE1P5F_index_0.html
極限まで圧縮された物質の状態を調べる新しい方法を開拓
http://www.astro.isas.jaxa.jp/suzaku/flash/2007/0828/
へび座X-1は、中性子星(非常に高密度で強い重力をもつ天体)と恒星の連星系で、恒星から放出されたガスが中性子星に引き寄せられ、中性子星の周りに降着円盤ができています。
降着円盤のガスは超高温のため、鉄原子からX線が放出されています。
ESAのXMMニュートン衛星でこのX線スペクトルを測定したところその分布は左右非対称であり(上のグラフ)、これは重力赤方偏移という現象を捉えたものです。
重力赤方偏移は非常に強い重力によって時空が歪められて起こる現象で、アインシュタインの一般相対性理論によって説明されます。
ブラックホールでは確認されていましたが、中性子星で確認されたのは今回が初めてであり、さらに日本の「すざく」衛星によって他の中性子星連星系GX 349+2、4U1820-30でも検出されました。
★惑星が生まれる場所で水蒸気を検出
Water Vapor Seen 'Raining Down' on Young Star System
http://www.spitzer.caltech.edu/Media/releases/ssc2007-14/release.shtml
若い恒星の周りにはガスやちりでできた円盤があり、それを原料にして惑星が誕生し、成長します。
NGC 1333-IRAS 4Bもそのような若い恒星ですが、スピッツァー宇宙望遠鏡で赤外線観測したところ(上の画像)、水蒸気が存在することがわかりました。
上のグラフはNGC 1333-IRAS 4Bのスペクトルですが、下側の水蒸気のスペクトルによく一致しています。
外側を包む雲の中の氷の粒子が内側の円盤内に落ち込んできて、円盤内のちりなどと衝突して温められ、水蒸気が発生していると考えられます。
水蒸気の量は地球の海の5倍以上もあると見積もられています。
さらにこの水蒸気のスペクトルを分析したところ、円盤の密度は10億個水素原子/cm3以上、半径は60億km以上、温度は-100℃であることがわかりました。
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