しばらくぶりです。
3月後半の宇宙関連ニュースです。
今回は地球外生命の可能性を考える上でヒントになりそうなニュースが多く、その中から特に注目されるニュースを3つ選んでみました。
それではいつものようにまずはトップ3から
トップニュースは…
タイタンの地下に液体のマントルが存在
Cassini Spacecraft Finds Ocean May Exist Beneath Titan's Crust
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-048
NASAの土星探査機カッシーニのレーダーは、分厚い大気に閉ざされた土星の衛星タイタンの地表を精密に観測することができます。
2005年10月以来繰り返しタイタンの地表が観測されてきましたが、それらのデータを解析したところ、指標となる地形がタイタンの自転運動から予想される本来の位置から最大で30kmも移動していることが分かりました。
このことはタイタンの地殻が核と分離されていて、独立に動いているためと推定され、地殻と核の間には水とアンモニアの液体が大量に存在すると考えられます。
今後のレーダー観測によって、このようなタイタンの内部構造がより詳しく解明されるとともに、大気の流れの影響を受ける地殻の運動が季節によって変動する様子が捉えられるかもしれません。
続く第2位もカッシーニ関連です!
カッシーニ、エンセラダスのジェットの中を通過
Cassini Tastes Organic Material at Saturn's Geyser Moon
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-050
Cassini Flies Through Watery Plumes of Saturn Moon
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-044

NASAの土星探査機カッシーニが、3月12日に土星の衛星エンセラダスに50kmの距離まで接近しました。
その際カッシーニは、エンセラダス南極地域から約400m/sで噴出す氷のジェットの中を、15km/sの速さで通り抜けました。
いくつかの観測機器が、ジェットに含まれる成分を直接検出し、分析することに成功しました。
上のグラフはカッシーニとエンセラダス及びジェットの距離を示しています。

上の図は、2007年10月24日にオリオン座ζ星がジェットの背景を通過するのをカッシーニの紫外線撮像分光計が観測した結果を示しています。
オリオン座ζ星は4回にわたって減光し、以前カッシーニの観測で明らかになった8本の主要なジェットの位置に対応しているのが分かります(下側の図)。

それらのジェットの位置を、今回合成赤外線分光計が捉えたエンセラダス南極地域の温度分布と重ね合わせたものです。
大きな4つの溝に一致して温度が高く、ジェットが噴出す位置もそれに一致しています。
ホットスポットの温度は-93度以上で、周囲の地表より115度も高温です。

イオン・中性粒子質量分光計が捉えた水蒸気の量を示したグラフで、ジェットを通過した際に2つのピークがみられます。

イオン・中性粒子質量分光計はさらに、ジェットの中を通過した際にその成分を分析することに成功しました。
その結果、水蒸気90%や一酸化炭素3%、二酸化炭素2%の他に、メタン1%やその他の単純な有機物2%、複雑な有機物0.1%などが含まれており、その組成は彗星(右側のグラフの白いバー)によく似ていることが分かりました。
ジェットはエンセラダス内部の物質が噴出しているものであり、その成分はエンセラダス内部の成分を示していると考えられ、エンセラダスの起源と彗星との関連が注目されます。
第3位は所変わって太陽系外…
初めて太陽系外惑星の大気中に有機物を確認
Hubble Finds First Organic Molecule on an Exoplanet
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2008/11/

NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、恒星の前を惑星が通過(トランジット)するときに恒星の光の一部が惑星の大気の層を通過することを利用し、太陽系外惑星HD 189733bの大気の成分を分析しました。
HD 189733bはいわゆるホットジュピターで、巨大ガス惑星でありながら、恒星のすぐ近くを回るために非常に高温です。
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡がHD 189733bの大気中に発見した水分子の存在を再確認するとともに、メタンを含んでいることを発見しました。
理論的に考えられていた量よりも多くのメタンが含まれていることがわかりました。
それではその他のニュースです!
★地球の生命誕生の謎と、エンセラダスの生命の可能性
A Perspective on Life on Enceladus: A World of Possibilities
http://www.jpl.nasa.gov/news/features.cfm?feature=1645
NASAの土星探査機カッシーニは、土星の衛星エンセラダスの地下に大量の液体の水が存在するらしいことを突き止めました。
エンセラダスの地下と同じような環境の下でも生存できる微生物が地球にも存在することから、エンセラダスにも生物が存在する可能性が考えられます。
しかし、エンセラダスのような環境で生物が「誕生」することができるのでしょうか。
そもそも地球でどのように「最初の」生物が誕生したのか、現在でも解明されていません。
地球上の生物誕生の理論が、エンセラダスにも応用できるかもしれません。
★125億光年彼方の生まれたての小さな銀河
-すばるで見つけ、ハッブルで極める-
http://cosmos.phys.sci.ehime-u.ac.jp/Cosmos/PressRelease/

すばる望遠鏡で発見した125億光年彼方にある80個の銀河を、ハッブル宇宙望遠鏡の高性能サーベイカメラで観測した結果、うち17個の銀河を検出することに成功しました(上の画像)。
いずれも直径4000光年程度の小さな銀河であり、検出できなかった銀河も非常に小さく暗いためだと考えられます。
このような小さな銀河同士が衝突・合体を繰り返して、現在のような大型の銀河が誕生したことを証明する結果です。
★日本の衛星や望遠鏡が、超新星爆発後の塵誕生の現場を捉える
大質量星の終焉と塵の誕生の現場
- 「あかり」衛星と「すばる」望遠鏡などによる観測と理論モデルが解き明かす超新星爆発の素性 -
http://supernova.astron.s.u-tokyo.ac.jp/%7Etominaga/sn2006jc/


2006年10月9日に板垣公一さんが発見した超新星2006jcを、日本の「すばる」「MAGNUM」「かなた」望遠鏡及び赤外線観測衛星「あかり」が観測しました。
その結果、可視光では爆発後急激に暗くなったのに対して、その時期から超新星の塵からの熱放射と考えられる赤外線が捉えられるようになりました。
爆発から半年後に各望遠鏡で測定された赤外線スペクトルが右側のグラフです。
約500℃の高温の炭素質の塵と、約50℃の低温の炭素質の塵との2つの成分からなることが分かります。
この結果から、理論計算によって次のようなシナリオが考えられました。
①太陽の40倍以上の質量をもつ大質量星があった。
②大質量星は大量の物質を放出し、最終的には太陽の約7倍程度の質量にまで小さくなった。放出された物質は塵となって星の周りに広がっていた。
③超新星爆発が起こり、放出された物質が急速に膨張したため急激に冷えて、凝集して高温の塵となった。それによって超新星は覆い隠されて急激に暗くなった。
④爆発から半年後には高温の塵は約500℃にまで冷えた。超新星の光が爆発前から星周囲に広がっていた塵を温め、温度が約50℃となった。
★光エコーから、過去の超新星を探る
Action Replay of Powerful Stellar Explosion
http://chandra.harvard.edu/press/08_releases/press_032008.html



超新星残骸SNR 0509-67.5は大マゼラン雲にあり、Ia型超新星と呼ばれる爆発の跡です。
爆発の光自体はずっと以前に地球に届いているため現在は直接観測できませんが、爆発の強い光が星間雲の中を進んでいく様子を現在も観測することができ、これを光エコーと呼びます。
上の中央の画像はジェミニ天文台が撮影した光エコーです。
一方、右側はチャンドラX線天文衛星が撮影した超新星残骸のX線画像です。
光エコーから推定される爆発のエネルギーは、チャンドラやXMMニュートン衛星による超新星残骸の観測から推定されるエネルギーとほぼ一致しており、また推定される爆発の時期も約400年前と一致しています。
Ia型超新星に関する理論に基づく推定が正確であることが確かめられました。
★火星の南半球に湖の跡
NASA Mission Finds New Clues to Guide Search for Life on Mars
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-047

上の画像はNASAの火星探査機マーズ・オデッセイが撮影したもので、白っぽく見えるのは火星表面に堆積した塩化物です。
塩化物を多く含む場所を約200箇所発見し、いずれも1~25平方キロメートルの大きさでした。
こうした塩化物の堆積は長期間にわたって水が存在したことを示しています。
また、これらはみな南半球の高地にある盆地にあり、盆地に流れ込む水が流れた跡もみられました。
このような湖は、火星がまだ温暖だった35~39億年前にあったものと推定され、当時の火星で生物が誕生していた可能性もあると考えられます。
★新たに発見された小惑星の衛星
今回新たに2つのカイパーベルト天体(2001 QQ322と2005 PR21)が衛星をもっていることが分かりました。
さらに、以前衛星が確認されている小惑星バラムに2つ目の衛星が存在することが分かりました。
3つの小惑星(小天体)と、(バラムの一つ目の衛星を含めて)4つの衛星のデータを示します。
(母天体のデータ) - - (3749)
2001 QQ322 2005 PR21 Balam
族 Cubewano Cubewano main belt
軌道長半径 44.1083020 AU 44.3364695 AU 2.2365639 AU
離心率 0.0491922 0.1061571 0.1094344
軌道傾斜角 3.95866° 1.33732° 5.3829°
昇交点黄経 76.38545° 339.12114° 295.91108°
平均近点角 294.90358° 39.40456° 37.6432°
公転周期 292.95 y 295.22 y 3.3449 y
直径 280 km 280 km 7.0 km
質量 ? ? (1.5±0.6)x1014 kg
絶対等級 6.0 6.0 13.4
アルベド 0.09 0.09 0.16
型 ? ? ?
(衛星のデータ)
軌道長半径 ? ? 310 ± 20 km ?
離心率 ? ? 0.15 ± 0.15 ?
公転周期 ? ? 110 ± 25 d ?
直径 ? ? 1.5 km ?
絶対等級(+母天体)? ? 3.3 ?
さらに2つの小惑星に衛星が存在する可能性があることが分かりました。
ロディーの衛星はB. Warner氏による光度曲線のデータから、ガヴリーリンの衛星はオンドレヨフ観測所での光度曲線のデータから、それぞれ存在が疑われました。
2つの小惑星(母天体)の簡単なデータのみ示します。
(3873) (7369)
Roddy Gavrilin
族 Mars Crosser Mars Crosser
軌道長半径 1.892 2.370
離心率 0.134 0.319
直径 10? 8?
★ALMAのアンテナの性能を確認
ALMA(アルマ)計画の進捗について
―組み上げ調整・試験においてアンテナの性能を確認―
http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/misc/080318.html

日米欧が協力して、チリにアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を建設しています。
昨年後半には日本が担当するACAアンテナ16台のうち3台が組み立てを完了し、そのうち一台に日本が担当する受信機を搭載して、波長2ミリメートルで初めて月の電波写真の撮影を行いました。
上は、可視光画像(明暗)と電波画像(色)を組み合わせたものです。
この波長は月の地下数十cmの温度分布に相当します。
観測結果は月の温度分布を的確に捉えています。
すべての装置が完成すると、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の約10倍の解像力を発揮します。本格観測は2012年に始まる予定です。
3月後半の宇宙関連ニュースです。
今回は地球外生命の可能性を考える上でヒントになりそうなニュースが多く、その中から特に注目されるニュースを3つ選んでみました。
それではいつものようにまずはトップ3から
トップニュースは…
タイタンの地下に液体のマントルが存在
Cassini Spacecraft Finds Ocean May Exist Beneath Titan's Crust
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-048
NASAの土星探査機カッシーニのレーダーは、分厚い大気に閉ざされた土星の衛星タイタンの地表を精密に観測することができます。
2005年10月以来繰り返しタイタンの地表が観測されてきましたが、それらのデータを解析したところ、指標となる地形がタイタンの自転運動から予想される本来の位置から最大で30kmも移動していることが分かりました。
このことはタイタンの地殻が核と分離されていて、独立に動いているためと推定され、地殻と核の間には水とアンモニアの液体が大量に存在すると考えられます。
今後のレーダー観測によって、このようなタイタンの内部構造がより詳しく解明されるとともに、大気の流れの影響を受ける地殻の運動が季節によって変動する様子が捉えられるかもしれません。
続く第2位もカッシーニ関連です!
カッシーニ、エンセラダスのジェットの中を通過
Cassini Tastes Organic Material at Saturn's Geyser Moon
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-050
Cassini Flies Through Watery Plumes of Saturn Moon
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-044

NASAの土星探査機カッシーニが、3月12日に土星の衛星エンセラダスに50kmの距離まで接近しました。
その際カッシーニは、エンセラダス南極地域から約400m/sで噴出す氷のジェットの中を、15km/sの速さで通り抜けました。
いくつかの観測機器が、ジェットに含まれる成分を直接検出し、分析することに成功しました。
上のグラフはカッシーニとエンセラダス及びジェットの距離を示しています。

上の図は、2007年10月24日にオリオン座ζ星がジェットの背景を通過するのをカッシーニの紫外線撮像分光計が観測した結果を示しています。
オリオン座ζ星は4回にわたって減光し、以前カッシーニの観測で明らかになった8本の主要なジェットの位置に対応しているのが分かります(下側の図)。

それらのジェットの位置を、今回合成赤外線分光計が捉えたエンセラダス南極地域の温度分布と重ね合わせたものです。
大きな4つの溝に一致して温度が高く、ジェットが噴出す位置もそれに一致しています。
ホットスポットの温度は-93度以上で、周囲の地表より115度も高温です。

イオン・中性粒子質量分光計が捉えた水蒸気の量を示したグラフで、ジェットを通過した際に2つのピークがみられます。

イオン・中性粒子質量分光計はさらに、ジェットの中を通過した際にその成分を分析することに成功しました。
その結果、水蒸気90%や一酸化炭素3%、二酸化炭素2%の他に、メタン1%やその他の単純な有機物2%、複雑な有機物0.1%などが含まれており、その組成は彗星(右側のグラフの白いバー)によく似ていることが分かりました。
ジェットはエンセラダス内部の物質が噴出しているものであり、その成分はエンセラダス内部の成分を示していると考えられ、エンセラダスの起源と彗星との関連が注目されます。
第3位は所変わって太陽系外…
初めて太陽系外惑星の大気中に有機物を確認
Hubble Finds First Organic Molecule on an Exoplanet
http://hubblesite.org/newscenter/archive/releases/2008/11/

NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、恒星の前を惑星が通過(トランジット)するときに恒星の光の一部が惑星の大気の層を通過することを利用し、太陽系外惑星HD 189733bの大気の成分を分析しました。
HD 189733bはいわゆるホットジュピターで、巨大ガス惑星でありながら、恒星のすぐ近くを回るために非常に高温です。
NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡がHD 189733bの大気中に発見した水分子の存在を再確認するとともに、メタンを含んでいることを発見しました。
理論的に考えられていた量よりも多くのメタンが含まれていることがわかりました。
それではその他のニュースです!
★地球の生命誕生の謎と、エンセラダスの生命の可能性
A Perspective on Life on Enceladus: A World of Possibilities
http://www.jpl.nasa.gov/news/features.cfm?feature=1645
NASAの土星探査機カッシーニは、土星の衛星エンセラダスの地下に大量の液体の水が存在するらしいことを突き止めました。
エンセラダスの地下と同じような環境の下でも生存できる微生物が地球にも存在することから、エンセラダスにも生物が存在する可能性が考えられます。
しかし、エンセラダスのような環境で生物が「誕生」することができるのでしょうか。
そもそも地球でどのように「最初の」生物が誕生したのか、現在でも解明されていません。
地球上の生物誕生の理論が、エンセラダスにも応用できるかもしれません。
★125億光年彼方の生まれたての小さな銀河
-すばるで見つけ、ハッブルで極める-
http://cosmos.phys.sci.ehime-u.ac.jp/Cosmos/PressRelease/

すばる望遠鏡で発見した125億光年彼方にある80個の銀河を、ハッブル宇宙望遠鏡の高性能サーベイカメラで観測した結果、うち17個の銀河を検出することに成功しました(上の画像)。
いずれも直径4000光年程度の小さな銀河であり、検出できなかった銀河も非常に小さく暗いためだと考えられます。
このような小さな銀河同士が衝突・合体を繰り返して、現在のような大型の銀河が誕生したことを証明する結果です。
★日本の衛星や望遠鏡が、超新星爆発後の塵誕生の現場を捉える
大質量星の終焉と塵の誕生の現場
- 「あかり」衛星と「すばる」望遠鏡などによる観測と理論モデルが解き明かす超新星爆発の素性 -
http://supernova.astron.s.u-tokyo.ac.jp/%7Etominaga/sn2006jc/


2006年10月9日に板垣公一さんが発見した超新星2006jcを、日本の「すばる」「MAGNUM」「かなた」望遠鏡及び赤外線観測衛星「あかり」が観測しました。
その結果、可視光では爆発後急激に暗くなったのに対して、その時期から超新星の塵からの熱放射と考えられる赤外線が捉えられるようになりました。
爆発から半年後に各望遠鏡で測定された赤外線スペクトルが右側のグラフです。
約500℃の高温の炭素質の塵と、約50℃の低温の炭素質の塵との2つの成分からなることが分かります。
この結果から、理論計算によって次のようなシナリオが考えられました。
①太陽の40倍以上の質量をもつ大質量星があった。
②大質量星は大量の物質を放出し、最終的には太陽の約7倍程度の質量にまで小さくなった。放出された物質は塵となって星の周りに広がっていた。
③超新星爆発が起こり、放出された物質が急速に膨張したため急激に冷えて、凝集して高温の塵となった。それによって超新星は覆い隠されて急激に暗くなった。
④爆発から半年後には高温の塵は約500℃にまで冷えた。超新星の光が爆発前から星周囲に広がっていた塵を温め、温度が約50℃となった。
★光エコーから、過去の超新星を探る
Action Replay of Powerful Stellar Explosion
http://chandra.harvard.edu/press/08_releases/press_032008.html



超新星残骸SNR 0509-67.5は大マゼラン雲にあり、Ia型超新星と呼ばれる爆発の跡です。
爆発の光自体はずっと以前に地球に届いているため現在は直接観測できませんが、爆発の強い光が星間雲の中を進んでいく様子を現在も観測することができ、これを光エコーと呼びます。
上の中央の画像はジェミニ天文台が撮影した光エコーです。
一方、右側はチャンドラX線天文衛星が撮影した超新星残骸のX線画像です。
光エコーから推定される爆発のエネルギーは、チャンドラやXMMニュートン衛星による超新星残骸の観測から推定されるエネルギーとほぼ一致しており、また推定される爆発の時期も約400年前と一致しています。
Ia型超新星に関する理論に基づく推定が正確であることが確かめられました。
★火星の南半球に湖の跡
NASA Mission Finds New Clues to Guide Search for Life on Mars
http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2008-047

上の画像はNASAの火星探査機マーズ・オデッセイが撮影したもので、白っぽく見えるのは火星表面に堆積した塩化物です。
塩化物を多く含む場所を約200箇所発見し、いずれも1~25平方キロメートルの大きさでした。
こうした塩化物の堆積は長期間にわたって水が存在したことを示しています。
また、これらはみな南半球の高地にある盆地にあり、盆地に流れ込む水が流れた跡もみられました。
このような湖は、火星がまだ温暖だった35~39億年前にあったものと推定され、当時の火星で生物が誕生していた可能性もあると考えられます。
★新たに発見された小惑星の衛星
今回新たに2つのカイパーベルト天体(2001 QQ322と2005 PR21)が衛星をもっていることが分かりました。
さらに、以前衛星が確認されている小惑星バラムに2つ目の衛星が存在することが分かりました。
3つの小惑星(小天体)と、(バラムの一つ目の衛星を含めて)4つの衛星のデータを示します。
(母天体のデータ) - - (3749)
2001 QQ322 2005 PR21 Balam
族 Cubewano Cubewano main belt
軌道長半径 44.1083020 AU 44.3364695 AU 2.2365639 AU
離心率 0.0491922 0.1061571 0.1094344
軌道傾斜角 3.95866° 1.33732° 5.3829°
昇交点黄経 76.38545° 339.12114° 295.91108°
平均近点角 294.90358° 39.40456° 37.6432°
公転周期 292.95 y 295.22 y 3.3449 y
直径 280 km 280 km 7.0 km
質量 ? ? (1.5±0.6)x1014 kg
絶対等級 6.0 6.0 13.4
アルベド 0.09 0.09 0.16
型 ? ? ?
(衛星のデータ)
軌道長半径 ? ? 310 ± 20 km ?
離心率 ? ? 0.15 ± 0.15 ?
公転周期 ? ? 110 ± 25 d ?
直径 ? ? 1.5 km ?
絶対等級(+母天体)? ? 3.3 ?
さらに2つの小惑星に衛星が存在する可能性があることが分かりました。
ロディーの衛星はB. Warner氏による光度曲線のデータから、ガヴリーリンの衛星はオンドレヨフ観測所での光度曲線のデータから、それぞれ存在が疑われました。
2つの小惑星(母天体)の簡単なデータのみ示します。
(3873) (7369)
Roddy Gavrilin
族 Mars Crosser Mars Crosser
軌道長半径 1.892 2.370
離心率 0.134 0.319
直径 10? 8?
★ALMAのアンテナの性能を確認
ALMA(アルマ)計画の進捗について
―組み上げ調整・試験においてアンテナの性能を確認―
http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/misc/080318.html

日米欧が協力して、チリにアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)を建設しています。
昨年後半には日本が担当するACAアンテナ16台のうち3台が組み立てを完了し、そのうち一台に日本が担当する受信機を搭載して、波長2ミリメートルで初めて月の電波写真の撮影を行いました。
上は、可視光画像(明暗)と電波画像(色)を組み合わせたものです。
この波長は月の地下数十cmの温度分布に相当します。
観測結果は月の温度分布を的確に捉えています。
すべての装置が完成すると、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の約10倍の解像力を発揮します。本格観測は2012年に始まる予定です。
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