時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

日帰り東京旅-01~東京都心の照葉樹林 明治神宮の森

2016-09-09 22:16:39 | 関東/日本
 予定していた東京での私用が当日になって取り消しとなり、手配済みであった新幹線の切符を、手数料だけ取られてキャンセルするのも馬鹿らしいので、東京へ向かう新幹線の車中どこへ行くか考えることにして、日帰りの駆け足旅をしてきました。

 まずは、東京でどこへ行こうか…と思案したところ、明治神宮の森が実は入念な100年計画の下、元々の荒れ地から100%「人工的に造成された自然の森」である、という内容のテレビ番組を見て感銘を受けたことを思い出し、この機に訪ねてみることにしました(実は、明治神宮へのお参りも初めてであったりします)。

 テレビ番組でも大いに感銘を受けてはいたのですが、この目で実際に見た鎮守の森は、そのイメージをもはるかに凌ぐ荘厳な佇まいを纏い、世界一の大都市・東京の都心で今日もしっかりと命脈を保ち続ける「永遠の森」の力強さを感じることができました。

 <明治神宮>(公式HP)
 <明治神宮>(NATIONAL GEOGRAPHIC)


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 日曜朝、京都駅にて。
 7時45分発の東京行「のぞみ108号」に乗車し、東京を目指します。

 カレンダーでは、既に9月となっていましたが、この日も、8時前にして既に、地上から湧き上がるような蒸し暑さ。
 ホームで立っているだけで、体中から汗が噴き出てきました;



 10時前頃には品川へ到着し、山手線に乗り換えて、原宿へ。
 お出掛けには良い時間帯、ホームドアで囲われた原宿駅のホームは、電車から降りて改札口へと向かう人達で、賑わっていました。

 停車している電車の向こうに見えている木立はもう、明治神宮の森。
 写っていませんが、画像左側には、原宿の街が広がっていて、駅を挟んでビルの建ち並ぶ賑やかな街と鬱蒼とした神宮の森とが隣り合わせの、対照的な景観を眺めることができる、原宿駅です。



 原宿駅から出てすぐ西へ曲がり、山手線の線路を跨いでいる、表参道の終端部である神宮橋を渡ります。

 毎年、初詣での参拝者が日本一を誇る明治神宮への参道だけあって、歩道となっている部分の広さが印象的な橋です。
 この日も、途切れることのない人波が続々と、明治神宮へと向かっていました。
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 神宮橋を渡ると、そこはもう神域。
 南参道の入口に、大きな鳥居が建ち、参拝者を迎えます。
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 とても、ここが東京のど真ん中とは信じ難い風景を目の前にして、思わず息を呑み込みました。



 多くの参拝者と同じ方向を目指して、参道を歩き始めます!
 外国人の多さにも、ビックリでした(^^;)

 この日の東京も京都に劣らず、とても蒸し暑く…電車の冷房で引いていた汗が、再び文字どおり噴出;;
 木立の下で、少しは涼しくなると思っていたのですが、この森は椎や樫等の常緑広葉樹が主体の照葉樹林。
 水を蓄える能力も高いせいか、湿度もかえって高いように感じられました。



 本当に、ここが東京都渋谷区(それも21世紀!)であるとは思えないような風景ですw
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 地名を伏せて「此処は何処でしょう?」と問うたら、恐らく正答率は高くないでしょうね;



 神宮の森に隣接している御苑へのせせらぎを、橋で跨ぎます。

 これまでも書いているように、非常に蒸し暑いですが、濃淡のバラエティ豊かな木々の緑が、心に安らぎを与えてくれます。



 参道に突如、ワイン樽が出現!
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 明治神宮の御祭神である明治天皇(明治神宮の御祭神は、明治天皇と皇后の昭憲皇太后です)がワインを殊の外お好みであったという縁もあって、有志の呼び掛けにより、フランス・ブルゴーニュ地方の醸造元より明治神宮へ献納されたものとのことです。

 明治神宮とワイン…不思議な取り合わせですが、考えてみれば、明治は「文明開化」の時代。
 西洋文化の一つの象徴として、ワインが納められるというのも、明治神宮には相応しいようにも思えますね。



 もちろん、日本酒の酒樽も、しっかりと献納されています!
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 参道を挟んで、ワイン樽と向き合うように配置されていて、様々な銘柄の樽がズラリと並ぶ様子は、壮観そのもの。
 ワイン樽が、明治になって新たに日本へと入っていた西洋文化の象徴とすれば、こちらは日本古来の伝統文化の象徴、といったところでしょうか。
 「文明開化」と共に、明治の国策であった、「殖産興業」でも振興を図った伝統産業のシンボルとして、ワイン樽と好対照を為す、粋な和洋の酒樽の配置ですね^^



 外国人の方々は、個人の他に団体でもひっきりなしに訪れていました!
 そして、ここ酒樽前でもツアー集団は必ずストップ。
 ガイドさんの説明に聞き入ってから、思い思いに、樽をバックに記念撮影等に興じていました。

 やはりというべきか、外人さんには、日本酒の酒樽の方が圧倒的人気を博し、樽の前には常に人だかりがw



 そうした参道での賑わいや喧騒も、少し離れた道端から森の奥を覗き込めば、唯々自然の摂理が支配する静けさの景色へは、至ることがありません。
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 木漏れ日、陽だまり、落ち葉の絨毯…「自然の森」としての息吹きに接していると、100年越しの歳月を掛けて元の荒野を変貌させた先人の偉大な叡智に、自然と頭が下がる思いを抱きます。
 人工林とはいえ、人の手によって為されたのは、最初の植樹のみ。
 植えてからは、人手による手入れを一切排して自然の為るままに任せ、「計画どおり」に、今日あるような立派な「自然林」となったとのことです。



 森を貫く参道を、本殿たる御社殿へと進んできました。

 まだまだ夏の、明るい日差しの下、御祭神に拝礼。

 少しでも涼を求めて、拝殿前の木陰には、自然と人が集まります。



 お参りを済ませて、御社殿前を西へ抜けます。

 鳥居の背後には、再び神宮の森のトンネルとなった参道が延びていました。
 お参りを済ませた多くの人は、歩いてきた東側の参道を引き返すのか、西側のこの参道は歩く人も少なく、静かな佇まい。



 参道の傍ら、木陰にひっそりと建っていた、プレハブ建築物。
 暑さ避けと、景観への配慮なのか、全面簾で覆われた外観が、目を引きました。

 見事な簾の覆いぶりに、思わず階段を上がりたくなりましたw



 参道を西へ歩み、御社殿の方向(東)を振り返ります。
 御社殿は、逆光の中に霞んで見えました。

 涼やかな木立の中の風景ですが、相変わらずの蒸し暑さ;;
 全身汗だくとなりながら、ゆっくりと参道を歩きます。



 森の中の十字路。
 ここで、元来たJR原宿駅へと至る道と、神域西側にある小田急参宮橋駅へと抜ける西参道とが分かれています。
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 しつこいですがw、何処かの山の中のような眺めですね(東京都渋谷区です)。
 画像奥の方向へと延びている、JR原宿方面への道を進みます。



 この道は、自動車も通行可能な、舗装された道路。
 お陰で、歩き易かったです♪
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 気分は森林浴、なのですが、とにかく湿気が身体に纏わりついてきて、足取りも軽やかに…とはいきません。



 人影も疎らな、緑に囲まれた風景…東京の都心では、貴重な空間ですね。
 (画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

 渋谷や新宿へも徒歩圏内の場所の眺めには、やはりみえませんね。
 こうした不思議な意外性というのも、東京の面白さ、奥の深さの一つに数えることができるように思えます。



 思わず目を見張るような巨木大木も、沿道のそこここで目にすることができる、明治神宮の森です。

 湿気を滲み出すようなギラつく日差しは、不思議な光の塩梅で、風景の情感を演出していました。
 緩やかな起伏もあり、結構変化に富んだ眺めを楽しむことができます。



 …やがて、最初にくぐった鳥居の近くで、御社殿への往路に歩いた南参道へと合流。
 やはり、正面に見えている鳥居の先で東(左)へと曲がるとすぐに原宿駅という南参道は、相変わらず大勢の人が歩いていますね。

 「本当に、ここが東京都渋谷区(それも21世紀!)であるとは思えないような風景ですw」のコメントを付けた画像に写っている道を歩いてきたということが、南参道へ合流後、振り返ってみて初めて分かりました。



 最初にくぐった鳥居の下へと、戻ってきました。

 できるだけゆっくり歩いてきたつもりでしたが、参拝の所要時間は、約40分弱といったところ。
 それでも、大汗かきながら、東京の真ん中で自然の息吹に触れることができた、不思議な体験を満喫することができました!

 思いの外、深い自然が息衝いていた、明治神宮の森。
 人の手を敢えて入れずに100年もの間保たれてきた「自然」は、学術的にも貴重な環境といいます。

 そんな、奇跡のような「東京都心の森」へは、歩くのに気持ちの良い季節に、改めて訪ねてみようと思います。

 <日帰り東京旅-02>>



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4 コメント

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Unknown (kiki)
2016-09-11 20:51:30
本当に緑豊か、東京都心とは思えませんね。
涼しい時期であれば森林浴を満喫できたのでしょうが、今年の夏は暑すぎますね・・・。
木が水分を蓄えているがら湿度が尚更高く感じてしまうのはそうなのかもしれませんね。
京都のお酒、英勲もちゃんとありますね。
最近英勲のお酒に嵌っているんです^^
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Unknown (タヌ子)
2016-09-12 06:43:57
東京は一番緑が多い首都であると聞いたことがあります。
確かに地図を見ると、皇居、代々木公園、新宿御苑など、緑の占める割合が多いですよね。
赤坂御用地がこんなに広いとは思っていませんでした。
私も風のない暑い日に森に散歩に行って汗だくになることがあります。
暑くても風があれば涼しさを感じるけれど、無風状態だと森は湿度を閉じ込めるので、普通の道よりも暑いですよね。
フランスだったら簾の代わりに森の写真の工事シートを張ると思います。
中には窓があるのだろうけれど、この城状態だと窓を開けても相当暑そうですよね。
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kikiさん。 (taろう)
2016-09-12 21:34:16
明治神宮の森が、こんなにも深く、壮大な「森林」であったとはつゆ知らず、実際訪れてみて驚きました!
本当に、参道を歩いているだけで、ここが東京の真ん中であることが、信じられませんでした。
絡み付いてくるような、濃厚な湿気からは、京都を脱出しても、結局捕まってしまった感じですw
確かに、見るからに保水力のありそうな大木がそこここに根付いて、この蒸し暑ささえなければ、さぞ潤いを感じながらの、心地良い森林浴を楽しむことができそうで、秋以降にまた東京を訪れた折には、再訪してみたいです♪
酒樽、よく見ると、日本中から献納されていますね。
水と米が命の日本酒、潤いの森を持つ、明治神宮には相応しいお供え物ですね!
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タヌ子さん。 (taろう)
2016-09-12 21:56:13
世界最大の人口を抱える都市圏を形成する大都市でありながら、東京は本当に緑が多いですよね。
それも、森というスケールの大きな緑地が複数存在する大都市というのも、とてもユニークな存在です。
この緑巡りということでも、中々面白い街歩きを楽しめそうですね^^
本当に、この日の東京は無風で、気付けばじっとりと腕の毛穴から噴き出た汗が、無数の水玉となっていました;
湿度の高い森は、正に熱帯雨林の「ジャングル」を思わせるようでした。
このプレハブ建築物の覆いは、景観保護か暑さ避けか、どちらが第一目的なのでしょうねw
壁面を一部の隙なく、見事に覆われた職人技?に、思わずコンデジを向けてしまいました。
あまりに目が密過ぎて、これでは風も通りにくそうですね;
とにかく、すべてが覆われていたので、ミステリアスな、謎のプレハブでした(^^;)
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