リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

さらば海

2006-04-05 18:17:30 | あなたをわすれない
 なにぶん、昔の話で詳しくは覚えていないのだが、初の潜水を終えて、最初に見たのもこんな風景だった。

 学生時代にお世話になった愛媛大学の臨海実験所が閉鎖された。既に、3月末でライフラインは停止しているのだが、ここでひとときを共有した者たちが集まってお別れ会をした。

 この海はボクが初めてSCUBAで潜った海だった。
初めての海
 もう潜ることはないだろう初めての海に行った。

 海中は春の盛りだった。
 海藻海草が繁茂して濃密なみそ汁状態の海は、視界も効かない。初めて潜った時は1月の終わりだったから視界はもっと良かったと思ったが。
それにしても、瀬戸内海の水温は低い。ドライスーツで潜ってみて、当時破れたウエットスーツで潜っていたことが信じがたく思えてきた。あの頃より、脂肪も蓄えて耐寒性は向上したと思うのだが、30分ほどで浜に戻った。

 多分、あの時もマスク越しにこんな風景を見たのだと思う。冷え切った身体は思考能力も低下していたが、ほっとして見上げたことと思う。

 宴を終え、船で島を後にした。


 松山行きの飛行機は、温泉郡中島町中島(現在は松山市)の上空で着陸に備えて旋回し高度を下げる。松山を離れてからも、飛行機で行くときには臨海実験所の姿を探していたものだ。
 松山行きの船が島を離れる時に最後にみえるのもまた、臨海実験所の姿だった。やがて取り壊されるというその姿を、多分もう間近に見ることはないだろうな。そんな想いから、みんな去りがたく、船のデッキから白い建家を眺めていた。

 瀬戸内の島々を見渡しながら、臨海実験所方向にカメラをパンしたときだ。

海面に黒っぽい姿が見えた。

 内湾に棲む小型のクジラスナメリ。丸い頭をした小さなクジラは、小さくジャンプをして、島の方向に消えていった。


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