大水には全開される長良川河口堰。上流の大水が河口に到着するまでの時間を利用して、河口堰の上流にヤマトシジミの幼生を遡上させることはできないだろうか。大水の時現れる「幻の干潟」をみての提案です。
年に二、三回、現れる干潟がある。大水が出ると、全てのゲートが開けられる長良川河口堰、その上流に幻の干潟がある。
河口堰は、大水に備えて河道を掘り下げるために造られた。掘り下げると、海水が上流に上りやすくなるが,それを防ぐのが河口堰建設の目的だ。川の中央部は河口堰の幅だけ、水深7mまで掘られているが、川の両岸にはかっての浅場が残っている。ゲートを開くと、川の水位が下がり、岸沿いには干潟が現れる。
干潟と言えば、同じ伊勢湾北部にあるラムサール条約登録地の藤前干潟が有名だが、長良川にも藤前に劣らない干潟あった。干潟のある河口域は生き物の宝庫、そして長良川の河口域は、ヤマトシジミの日本屈指の好漁場だった。
長良川のシジミ漁場は、河口から15キロ上流、木曽三川公園近くまで。満潮に塩水がそこまで遡上したからだが、ヤマトシジミは淡水で暮らせないわけでは無い。ヤマトシジミには雌雄がある。雌雄が成熟して産卵するには海水の五分の一くらいの塩分が必要だ。そして、受精後、三から十日の間、浮遊して生活する幼生の時にも塩分がいる。河床に着底したら塩分はなくても大丈夫。塩分が無い場所のヤマトシジミは明るい褐色に育つ。宮城の北上川では淡水域で育ったものを「ベッコウしじみ」といってブランドにしている。
上流で雨が降り、ゲートが開くまでの時間差を利用して、浮遊する幼生を堰の上流側に定着させることはできないか。流量が増える前にゲートを開ける。幼生は潮に乗って上流へ移動して着底。川の中央は流れが速いが、岸際の干潟では流れは緩やかだ。幼生は稚貝になり、二年後には漁獲できる大きさになる。河口堰上流の塩分は大水で下流に流す。
ヤマトシジミの繁殖期は7月中程から9月始め。今年この期間、ゲートは二回全開されている。チャンスはあったのでは。「幻の干潟」を見て考えたのだ。
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