リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

第65回 激流下り世界大会 世界ラフテイング選手権 日本吉野川 2017

2017-10-01 11:52:15 | ”川に生きる”中日/東京新聞掲載

ボクたちがやっとの思いで、ゴールしたダウンリバー(長距離競技)、しがみついているのがやっとのような激流を、加速して追い抜いていったのは南米チリのチームだった。競技人口の中心はヨーロッパや南米。それらの国々に伍して,日本から世界制覇をするチームが現れるとは、思いもよらなかった。二四年間のトルコでのこと。

 

 

見たこともない激流が渦巻いていた。「とにかく、振り落とされないで、ゴールまでたどり着こう」

一九九三年七月。私たちは、トルコで行われたレースラフティングの世界選手権、スタートの合図を待っていた。レースラフティングとはラフトというゴムボートで川を下りタイムを競う競技だ。トルコ北東部から黒海に注ぐチョルフ川は延長438キロ,木曽川の二倍の長さ。「トルコ最後のワイルドな川」は、赤褐色の巨岩の谷を、白く泡だった奔流となって流れていた。

前年の九二年、ブラジル、リオデジャネイロで開催された地球環境サミット。その場で長良川河口堰の問題を世界にアピールしたメンバー達が、当時の世界選手権運団体から大会への参加を勧められた。大会では、世界の川の問題を話し合うシンポジウムが開催されるという。急遽「チームながら」が結成された。

 目に前には恐怖が迫る。振り落とされ、流れに巻き込まれたらレースどころでは無い。漕いで、流れを選ばないと引きずり込まれる。大型のゴムボートが、激流に引き込まれると完全に水中に没するのだ。迫り来る激流に耐え、疲れ果て、頭の中をまっしろにし、私たちはゴールに流れ込んだ。

 一〇月三日から九日まで、四国吉野川。国内初となるラフティング世界選手権が開催される。主催は徳島県三好市と国際ラフティング連盟、二二ヶ国、約五二〇名の選手が参加する。年齢別に四カテゴリーに分かれが、年齢不問のオープンで優勝候補の一角は男女とも日本チームだ。地元吉野川を拠点とする女子「ザ リバーフェース」。世界戦では優勝1回準優勝3回、地元開催で意気も高い。男子は神奈川県平塚市を拠点とする「ラフティングチーム テイケイ」。我が国唯一のプロチームで、戦績は優勝2回、準優勝2回。六年ぶりの王者奪還を目指す。

大会の詳細は公式WEBサイト「ラフティング世界選手権二〇一七」

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