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忘れられない風景がある。
9月下旬、島は稲刈りの真っ盛りだった。黄金色に輝く田んぼ越しには日本海が、その彼方に本州の山並みが白くけぶっていた。
小佐渡とよばれる佐渡島の南側。その山並みの東斜面は棚田が広がっている。冬の季節風が当たらない積雪もさほどではない島の海沿いの棚田でトキは冬を過ごしたという。
2003年の10月10日、最後の日本のトキが佐渡トキ保護センターで死んだ。
トキは日本のどこでも見られる普通の鳥だった。美濃地方にも棲んでいて、何を食べていたのかという正確な記録も残されている。
そのどこにでもいた鳥が居なくなったのは、日本の田んぼが変わりだした頃だ。農薬の大量使用、水路のコンクリート化など、田んぼに生き物の姿が見られなくなりトキもまたその姿を消した。
兵庫県豊岡市で行われているコウノトリの自然放鳥と同じ試みがトキについても進められている。おそらく数年以内には、佐渡の空にも、由来は大陸産のトキが羽ばたく日がくることだろう。
トキは田んぼの鳥だった。日本の風景としての水田、生き物に満ちた「田んぼ」の姿がそこにあれば、トキはありふれた鳥となり、再び美濃の地に戻ってくる日が来るかもしれない。
日本の最後のトキ、キン(メス)は、仲間たちと棚田の水田で捕獲され、36年間飼育ケージの中で生活して死んだ。その日の早朝、キンは突然飛び立ちドアに衝突したという。
黄金に輝く田んぼ。その風景を見たかったのではないか。ボクはそう思っている。
まだ朱鷺が辛くも群として存在していたとき、
お金持ちのNHKはヘリで追跡撮影する愚挙を犯した。その後、群は居住区を移動したという。
琵琶湖、鷺色の朝をキンにささげましょう。