トルコ料理を教えるオスマンさんが、トルコの食材を扱う店を巡るショップツアーをやりたいと言っている、という話しを聞いたのは夏のはじめでした。外国の料理は未知の食材も多く、現地で市場や食材店に行っても、「楽しいけれど何が何だかわからずただ眺めるだけ」になりがちなので、知識のある人が同行していろいろと説明してくれるのはありがたいですよね。そんなわくわくツアーがいよいよ実施されるということで、オスマンさんに声をかけていただいたので行ってみました。
ツアーのスタートは、オスマンさんの提案でぜひイスラム文化を感じてほしいということで、代々木上原にあるモスクになりました。この「東京ジャーミイ」は井の頭通り沿いの異彩を放つ建物で、モスクを象徴するミナレット(尖塔)と礼拝堂のドーム屋根が目を引きます。
ご存知の方も多いと思いますが、「東京ジャーミイ」は日本を代表するモスクです。最初、ロシアに併合されたカザン地区からロシア革命の際に迫害を受けて亡命して来たトルコ人によって1938年に建設されました。その後、老朽化に伴い2000年に建て直されたのが、現在の建物です。オスマントルコ様式の建築で、礼拝堂の内部には美しい装飾がなされています。
ちなみに、「東京ジャーミイ」はトルコ大使館に所属していて、礼拝時間以外であれば普段も見学が可能です。ボランティアスタッフの方がいるときには、館内の説明もしてくれます。見学の際には、女性は髪を隠すスカーフが必要です。もし持参していない場合は、礼拝堂の入口でスカーフを借りることができます。また、見学だけであれば必須ではないようですが、礼拝堂は神聖な場所なので、信者に倣って手洗い場で手足を清めるウドゥーを行ったほうがいいと言われることもあります。日本の神社でお参りの前に手をすすぐのと同じことですね。
単独で見学に行く場合のため、念のためウドゥーの手順を書いておきましょう。
①まず、手を3回洗います。
②次に口を3回ゆすぎます。
③鼻の穴を洗います。右を3回。左を3回。
④顔も3回洗います。
⑤右腕の手首から肘まで3回洗い、左腕も同じように3回洗います。
⑥手を濡らして、額から頭部、首の後ろまでを撫でて清めます。これも3回。
⑦指を濡らして耳を清めます。これも右3回、左3回。⑧最後に足を洗います。右の足指から足首まで3回。左足も同様に3回。濡れた手足を拭くためのタオルか大きめのハンカチを用意しておくことをおすすめします。
<筆者 写真 とらお>