※注意:残虐描写が含まれます
私は、望月サナギ。
いろんなことを想像して遊ぶのが好きってだけで、他にはこれといって特徴のない中学生だ。
そう、私はただの中学生なんだ。なのに、なんでこんなことになったんだろう?
いつもの様に、布団の中であれこれ考えながら寝たはずだった。なのに目が覚めた時には、あの部屋にいた。
そして金髪のかっこいい男の子が、「今から殺し合いをやってもらいます」と言い出して……。
変な格好をしたおじいさんの首が、吹き飛んだ。
あまりにも非現実的な光景に、私は頭の中が真っ白になってしまった。
そして、気が付いたらこの煉瓦造りの建物の中にいた。
はっきりとは見えなかったけど、あそこにはフユちゃんとマナミさんもいたみたいだった。
二人とも、私の大切な友達だ。死なせたくない。
けど、どうすればいいんだろう。私は武術の心得とかないし、頭もよくない。本当に普通の中学生なんだ。
私なんかが頑張ったって、出来ることなんてほとんどない。本当に、どうすればいいの?
私が悩んでいると、足音が聞こえてきた。音の方向は、上から。誰かが、階段を降りて来るみたいだ。
どうしよう。殺されちゃう。逃げなきゃ。でも、怖くて足がすくんじゃって……。
「誰かいるのかい?」
声が聞こえるのと同時に、脚が見えてきた。すらっと長い脚だ。
脚に続いて、全身が見えるようになる。降りてきたのは、男の人だった。
顔つきを見ると、明らかに日本人じゃない。どこの国の人かまではわからないけど、とりあえず美形だった。
歳は、20歳くらいだろうか。でも見た目の若さの割には、風格というかそういうものがある気がする。
「これはずいぶんと可愛いお嬢さんだ」
私を見ると、男の人はそういった。
「かわいそうに、そんなに震えて。大丈夫、怖がることはない」
笑みを浮かべながら、男の人は私に近づいてくる。
「さあ、こっちに来なさい。私と一緒にいてくれるのなら、私は君に安心を与えてあげよう」
何だろう。この人の言葉に、すごく惹かれてしまう。まるで操られてるみたいに、フラフラと近づいていってしまう。
「そう、いい子だ……」
男の人の手が、私のほっぺたを撫でる。どうしよう、恥ずかしいのに何か抵抗できないよ……。
「さあ、一緒に行こうじゃないか。歓迎しよう、我が僕として」
ズブリ、と音がした。あれ、私の首……何か刺さってる……?
駄目だ、頭がボーっとする……。私から何かが抜けていくみたい……。
どうしたんだろう……私……。
◇ ◇ ◇
「おかしい……。なぜゾンビにならない」
ディオ・ブランドーは、不機嫌そうに呟く。その足下には、致死量の血を抜かれ息絶えたサナギが横たわっていた。
人間の体内から血を抜き取り、代わりに吸血鬼のエキスを注入する。それによって、死体は吸血鬼に従うゾンビとなるはず。
だがサナギの死体は、いっこうにゾンビになる気配を見せない。
(あのガキが、俺の体を弄ったか? 奴が本当に何でも出来るというのなら、そのくらいは造作もないだろうしな……。くそっ! 忌々しい!)
端整な顔立ちを悪鬼のように歪め、ディオは煉瓦の壁を叩く。
(まあいい……。たとえ僕がいなくとも、このディオに勝てる奴などそうはいまい。
頂点に君臨するのは、このディオ以外にあり得ない!)
一転し、笑みを浮かべるディオ。その顔には、自らが得た吸血鬼の力への自信が満ちている。
(俺を倒せる可能性がある奴など、ジョジョぐらいだが……。あいつとてわずかに可能性がある程度。
この吸血鬼の肉体と気化冷凍法があれば、ジョジョなどモンキーも同然!
そして俺は優勝して、じっくりと邪魔者のいない世界を制覇してくれる! あわよくば、魔神の力とやらも手に入れてやるわ!)
おのれのバラ色の未来を想像し、ディオは再び笑う。
(しかし気になるのは、名簿にあったジョセフ・ジョースターという名前だ……。いったい、こいつは何者だ?)
少なくない時間をジョースター家の養子として過ごしたディオだが、ジョースター家にジョセフという名の親戚がいるという話は聞いたことがない。
ならば、偶然姓が一致しているだけの無関係な人物か? だが「ジョースター」という姓は、そうありふれたものではない。
それにこのジョセフという名前は、自分とジョジョの間に記されているのだ。
名簿全体を見た限り、名前が一定の法則に基づいて並んでいる様子はない。
となると自分とジョジョの名前が近くに記されていることから、関係者同士が近くに書かれているものと推察される。
ならば自分が知らぬ名前である以上、ジョセフ・ジョースターは間違いなくジョジョの関係者であるはずなのだ。
(……まあいい。気にはなるが、知らないものをいくら考えたところでわかるはずがない。
ひょっとしたら、本人に会えるかもしれんしな)
考えるのをやめ、ディオは歩き出した。目指すのは更に下。そして、自分がいるこの塔の外。
今は夜、吸血鬼の時間だ。ここでじっとしているのはもったいない。一人でも殺しておけば、それだけ優勝が近づく。
(今が0時10分か……。ここからそう遠くには行かないことにして……。5時頃に戻ってくれば問題ないだろう。
しかし、こんなに小型の時計があるとはな……。やはりこれも、魔神の力とやらの産物か?)
腕時計を物珍しそうに見つめながら、ディオは塔の外へと繰り出す。
帝王、始動――。
【望月サナギ@サナギさん 死亡】
【残り48人】
【一日目・深夜 G-5 断崖の塔前】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式×2、不明支給品2~6
【思考】
基本:最後の一人となる。魔神の力が本物なら、それも手に入れる。
1:他の参加者を減らしていく。
2:5時には塔に戻る。
3:ジョセフ・ジョースターという名前が気になる。
※ウインドナイツ・ロッドの館で、ジョナサンたちと対峙する直前からの参戦です。
※ゾンビの製造は制限により封じられています。
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私は、望月サナギ。
いろんなことを想像して遊ぶのが好きってだけで、他にはこれといって特徴のない中学生だ。
そう、私はただの中学生なんだ。なのに、なんでこんなことになったんだろう?
いつもの様に、布団の中であれこれ考えながら寝たはずだった。なのに目が覚めた時には、あの部屋にいた。
そして金髪のかっこいい男の子が、「今から殺し合いをやってもらいます」と言い出して……。
変な格好をしたおじいさんの首が、吹き飛んだ。
あまりにも非現実的な光景に、私は頭の中が真っ白になってしまった。
そして、気が付いたらこの煉瓦造りの建物の中にいた。
はっきりとは見えなかったけど、あそこにはフユちゃんとマナミさんもいたみたいだった。
二人とも、私の大切な友達だ。死なせたくない。
けど、どうすればいいんだろう。私は武術の心得とかないし、頭もよくない。本当に普通の中学生なんだ。
私なんかが頑張ったって、出来ることなんてほとんどない。本当に、どうすればいいの?
私が悩んでいると、足音が聞こえてきた。音の方向は、上から。誰かが、階段を降りて来るみたいだ。
どうしよう。殺されちゃう。逃げなきゃ。でも、怖くて足がすくんじゃって……。
「誰かいるのかい?」
声が聞こえるのと同時に、脚が見えてきた。すらっと長い脚だ。
脚に続いて、全身が見えるようになる。降りてきたのは、男の人だった。
顔つきを見ると、明らかに日本人じゃない。どこの国の人かまではわからないけど、とりあえず美形だった。
歳は、20歳くらいだろうか。でも見た目の若さの割には、風格というかそういうものがある気がする。
「これはずいぶんと可愛いお嬢さんだ」
私を見ると、男の人はそういった。
「かわいそうに、そんなに震えて。大丈夫、怖がることはない」
笑みを浮かべながら、男の人は私に近づいてくる。
「さあ、こっちに来なさい。私と一緒にいてくれるのなら、私は君に安心を与えてあげよう」
何だろう。この人の言葉に、すごく惹かれてしまう。まるで操られてるみたいに、フラフラと近づいていってしまう。
「そう、いい子だ……」
男の人の手が、私のほっぺたを撫でる。どうしよう、恥ずかしいのに何か抵抗できないよ……。
「さあ、一緒に行こうじゃないか。歓迎しよう、我が僕として」
ズブリ、と音がした。あれ、私の首……何か刺さってる……?
駄目だ、頭がボーっとする……。私から何かが抜けていくみたい……。
どうしたんだろう……私……。
◇ ◇ ◇
「おかしい……。なぜゾンビにならない」
ディオ・ブランドーは、不機嫌そうに呟く。その足下には、致死量の血を抜かれ息絶えたサナギが横たわっていた。
人間の体内から血を抜き取り、代わりに吸血鬼のエキスを注入する。それによって、死体は吸血鬼に従うゾンビとなるはず。
だがサナギの死体は、いっこうにゾンビになる気配を見せない。
(あのガキが、俺の体を弄ったか? 奴が本当に何でも出来るというのなら、そのくらいは造作もないだろうしな……。くそっ! 忌々しい!)
端整な顔立ちを悪鬼のように歪め、ディオは煉瓦の壁を叩く。
(まあいい……。たとえ僕がいなくとも、このディオに勝てる奴などそうはいまい。
頂点に君臨するのは、このディオ以外にあり得ない!)
一転し、笑みを浮かべるディオ。その顔には、自らが得た吸血鬼の力への自信が満ちている。
(俺を倒せる可能性がある奴など、ジョジョぐらいだが……。あいつとてわずかに可能性がある程度。
この吸血鬼の肉体と気化冷凍法があれば、ジョジョなどモンキーも同然!
そして俺は優勝して、じっくりと邪魔者のいない世界を制覇してくれる! あわよくば、魔神の力とやらも手に入れてやるわ!)
おのれのバラ色の未来を想像し、ディオは再び笑う。
(しかし気になるのは、名簿にあったジョセフ・ジョースターという名前だ……。いったい、こいつは何者だ?)
少なくない時間をジョースター家の養子として過ごしたディオだが、ジョースター家にジョセフという名の親戚がいるという話は聞いたことがない。
ならば、偶然姓が一致しているだけの無関係な人物か? だが「ジョースター」という姓は、そうありふれたものではない。
それにこのジョセフという名前は、自分とジョジョの間に記されているのだ。
名簿全体を見た限り、名前が一定の法則に基づいて並んでいる様子はない。
となると自分とジョジョの名前が近くに記されていることから、関係者同士が近くに書かれているものと推察される。
ならば自分が知らぬ名前である以上、ジョセフ・ジョースターは間違いなくジョジョの関係者であるはずなのだ。
(……まあいい。気にはなるが、知らないものをいくら考えたところでわかるはずがない。
ひょっとしたら、本人に会えるかもしれんしな)
考えるのをやめ、ディオは歩き出した。目指すのは更に下。そして、自分がいるこの塔の外。
今は夜、吸血鬼の時間だ。ここでじっとしているのはもったいない。一人でも殺しておけば、それだけ優勝が近づく。
(今が0時10分か……。ここからそう遠くには行かないことにして……。5時頃に戻ってくれば問題ないだろう。
しかし、こんなに小型の時計があるとはな……。やはりこれも、魔神の力とやらの産物か?)
腕時計を物珍しそうに見つめながら、ディオは塔の外へと繰り出す。
帝王、始動――。
【望月サナギ@サナギさん 死亡】
【残り48人】
【一日目・深夜 G-5 断崖の塔前】
【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式×2、不明支給品2~6
【思考】
基本:最後の一人となる。魔神の力が本物なら、それも手に入れる。
1:他の参加者を減らしていく。
2:5時には塔に戻る。
3:ジョセフ・ジョースターという名前が気になる。
※ウインドナイツ・ロッドの館で、ジョナサンたちと対峙する直前からの参戦です。
※ゾンビの製造は制限により封じられています。
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