釧路市議会民生福祉常任委員会で本日(2023年9月14日)、教育長に対する総括質疑が行われ、私は「就学援助事業の拡充」というテーマで質問しました。🤓
就学援助については、今年北海道教育委員会より、対象者や対象費目を拡充して充実させてくださいという趣旨の通知が市教委にも届いています。
しかし釧路市では、その通知が十分に生かされていません。
その点について、教育長をただしました。
以下、質問の全文を掲載します。教育長の答弁は正確性を期すために、正式な議事録ができてからこのブログで紹介します。
テーマ 就学援助事業の充実
(Q1 保護者への周知)
本年3月17日付けで道教委教育長から、釧路市教育長宛に「就学援助事業の実施について」という表題の通知が届いていることと思います。この通知の趣旨は「就学援助を必要としている方に対して遺漏なく支給が行われるようお願いします」というもので、大きく5つの柱からなっている文書です。委員会審査の際、この通知に基づいて、釧路市の教育行政が行われているのか確認したのですが、いくつかの点においては課題が感じられました。そのため、本日教育長にご足労いただいた訳です。
そこで質問に入らせていただきます。この通知の1番目に「保護者等への周知は十分に行っていますか?」という項目があります。道教委は道内の全ての自治体に対して「保護者からの申請の有無にかかわらず、福祉担当部局や学校からの情報提供などにより対象者を把握しているか」というアンケートをしています。この設問の意図を改めて北海道教育庁学校教育局義務教育課に確認したところ、要保護のみならず準要保護を含めた対象者を、申請の有無にかかわらず把握しているかという趣旨で調査したという回答をもらいました。しかし委員会審査の際確認した所、釧路市は準要保護までは把握していない状況にあるそうです。このようなアンケート調査の背景には、道教委としては、「例え保護者から申請がなくても、就学援助を必要とする児童生徒の保護者を把握しなさい」と市教委に求めているからだと思います。
就学援助が必要な家庭かどうか1件1件調べることは大変かもしれませんが、道教委の調査によると税務部局からの情報提供で準要保護世帯を把握している自治体もあるようです。また道教委の調査では就学援助制度を知らなかったと答えた保護者が27%もいたそうです。
この点、釧路市でも保護者の同意を得た場合に限り、市民税課に収入状況を照会して準要保護状態かを把握しているそうです。本人の同意なく収入状況を調べることは確かに問題ですが、全ての保護者から中学校卒業までの間、教育支援課が市民税課に対して収入状況を照会することについての同意書をもらうことを原則にすれば、準要保護者の把握につながりやすくなります。
そこでお尋ねしますが、釧路市もこの通知の趣旨に則って、社会援護課のみならず市民税課とも連携するために、可能な限り全保護者から収入状況を照会するための同意書をもらって積極的に準要保護者を把握してほしいと思うのですが、何が課題となるのか、教育長の認識をお聞かせください。
(Q2 予算の確保)
この道教委の通知の3番目に「予算は確保されていますか?」という項目があります。この中で、「準要保護の児童生徒の就学援助に関わる経費については、地方交付税措置されていることから、適切に予算を確保していただくようお願いします」とこのように明記されています。更に費目ごとに最新の自治体の実施状況も記されています。中学校でのクラブ活動費、生徒会費、PTA会費、卒業アルバム代、それにオンライン学習通信費の5費目を例示して、費目を拡大するよう積極的な検討をお願いしますと明記されています。釧路市ではこの5費目のうち達成できているのは1費目しかありません。とりわけPTA会費については161自治体にまで広がっています。道内には179自治体ありますから、率にしておよそ9割になります。
以前お聞きしたことがありますが、PTA会費は教育活動ではないから、クラブ活動費は任意参加だからという理屈で認められないという考えのようですが、この理屈は道教委の立場と違っています。他都市の事例を参考するのであれば見直しを迫られている時期になっています。
そこでお尋ねしますが、この通知にある、クラブ活動費、PTA会費、卒業アルバム代、オンライン学習通信費の4費目を追加することは道教委が求めているのに、しかも交付税措置されると説明があるのに、何が課題で釧路市では達成できないのか説明を求めます。
(Q3 生活扶助基準の見直し)
この道教委の通知の4番目に「生活扶助基準の見直しに対応していますか?」という項目があります。安倍政権の時に、生活保護が引き下げられたので、その影響を受けないように適切に判断してほしいという内容です。
釧路市は確かに生活保護基準が引き下げられる前の基準を用いていることは評価しています。しかし、その基準を用いているとはいえ、1.2倍というのは道内の他市と比べると劣っていると言えます。文科省は全国の自治体ごとに、生活扶助の何倍になっているのか一覧を公表しています。それによりますと、道内の主要都市では、平成25年当時の生活扶助費の1.3倍が相場になっています。
今の物価高で市民の暮らしは大変になっています。夫婦と子ども二人のモデル世帯の場合、年収341万円以下でないと就学援助が受けられないというのは、子育て世帯にとっては厳しいものとなっています。委員会審査の際、釧路市は1.2倍であっても平成25年の生活扶助費を基準にしているから対象は狭い訳ではないとのことでした。しかし1.3倍にしている帯広市では、4人家族の場合年収370万円以下まで対象を広げています。1.5倍にしている根室市では同じ家族構成で400万円以下が対象です。
そこでお尋ねしますが、道内他都市の事例を参考にして釧路市においても生活扶助の最低でも1.3倍にして、準要保護世帯の対象を広げることが、道教委からの要請に応えることになると思うのですが、教育長の見解をお尋ねします。
(Q4 就学援助の運用改善)
道教委からの通知の5番目に「就学援助事業の運用改善の参考となる事例」という項目があります。効果的な取りくみの事例を列挙して、今後の参考にして下さいとあります。
その中に、「申請書はホームページからダウンロード可能にしている」とか、東京都世田谷区の例を出して「新入生の全保護者に対して、『就学援助費希望調書・受給申請書』を配布し、その全員に希望を確認している。また在校生は継続して審査を行い、原則、再度の申請を不要としている」とあります。委員会審査の際の答弁では、就学時検診の時にチラシを渡しその後申請書を郵送するとのことでした。しかし就学援助を希望しない人にも受給申請書を渡して提出してもらうとう世田谷区のやり方とは違っています。
道教委の考えとしては、就学援助の希望の有無にかかわらず全保護者に申請書を配布してあげて、一度支給決定したら毎年申請することは省略することが望ましいというものです。
このような改善は印刷の経費を除けば、特段の予算措置が必要なものではなく、来年度から簡単に改善できると思われます。世田谷区のようなやり方の検討を是非お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
就学援助は、生活保護と比べて、自治体の裁量で色々拡充ができるものです。今の物価高で市民の暮らしは大変になっています。物価高騰対策は、確かに総合政策部とか福祉部で行ってはいますが、教育委員会も含め全庁的に積極的に行って頂きたいと思います。就学援助事業は生活保護と比べて自治体の裁量で対象者も金額も増やすことが可能な柔軟性のある制度です。学校教育部でできる施策は準要保護者の対象者を広げることと、費目を増やして支給額を増やすことです。今の教育委員会には学力向上の施策に比べると、福祉的施策は不十分に思われるところがありますので、そのような分野も是非、必要な施策であると決断していただきますよう、強く要望して質問を終わります。
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