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BLACK ICE - MICHAEL CONNELLY

2010-09-23 21:17:52 | MICHAEL CONNELLY
要するに、二作めの読み直しです。

第一作、つまりHARRY BOSCHが初めて登場する作品を受けてのこの
第二作目ですが、べトナム戦争のトラウマを背負ったHARRYが登場す
る第一作を読んでおかないと、このBLACK ICEの内容が、時にHARRY
の過去への理解が薄くなるかもしれません。というのはこの2作目
ではHARRYの過去がもっと深く掘り下げられて行くからです。
今改めて読むと納得がいくところが多いです。

ロスアンジェルスのモーテルで麻薬捜査官の刑事が死体で発見される。
LAPDの殺人課に所属するBOSCHは自分の守備範囲の仕事なのに何
故か捜査から外されてしまい、過去の未解決の事件の担当にされてし
まいます。要するに現場から降ろされてしまうのです。

死んだ刑事は頭を吹き飛ばされており、本人以外の指紋もないこと
から、自ら銃を発射して死んだものと推定されます。結局、この事件は
ひそかに内部監査が入り自殺と処理されてしまいます。

ところが検死の結果、他殺と判明。この情報をひそかに入手したBOSCH
は秘密裏にひとりで捜査を開始します。

この二作目では、この後ずっと対立することになるBOSCHの上司 IRVIN
IRVINGが登場して来ます。BOSCHはIRVINの役人面したところが気に入
りません。情に薄く人間味な魅力に欠ける人物です。読んでいても、登場
してくる度に嫌なやつだな、という感じがしますねえ。ムシズが走るような
上役ですが実に巧く描写されています。あらためてこの作家の人物描写
力には驚かされます。

上層部は何故か今度の事件を穏便に、出来れば静かに単なる自殺として
しまいたいのです。ところが、BOSCHが殺人事件の糸を懸命にほぐして
いくとそこに見えて来たのは新しい麻薬の存在でした。

捜査が進みメキシコの麻薬の大元であるZORRILLOの存在を知ることに
なりメキシコへとクルマを飛ばすBOSCH。しかし到着と同時にBOSCHに
不利な条件の刑事の殺人事件がロスで発生。戻るべきか、それともこの
ままメキシコでの捜査を続行すべきか。やがて新しい麻薬であるBLACK
ICEをめぐる犯罪の構図が明らかになって行きますがBOSCHにも危機が
せまります。ライフルでホテルにいるところを狙われてしまうのでした。

何の関わりも無いように見えた刑事の自殺。過去のいくつかの未解決の
事件を無理矢理担当させられるBOSCH。その中から身元不明の殺人事件
を洗っていくとメキシコ人で麻薬の運び屋だったと思われるフシが出て
きます。さらに麻薬捜査官だった「自殺」した刑事に関連がでてきます。

例によってまず「動く」のが初めにありきのBOSCHです。向こう見ずなところ
は相も変わらずです。とにかく動いてから考えるのです。行き当たりバッタリ
みたいなところもあるのですが、そこは確信と自信に満ちています。この
頃のBOSCHは荒っぽいところもまだ感じられます。まだ若い設定ですからね。
当たって砕けろ、みたいなところがあります。組織には決して染まらない
一匹狼ですから。上司の命令なんか聞かないのはいつものことです。

複雑なプロットに重ねられた深い犯罪の裏側には何があるのか?脈絡の
ないあらすじがだんだんと繋がっていき意外な結末にと進展していきます。
この辺がアメリカ人読者には受けるのかも知れません。アッというドンデン
返しが最後に待ち構えます。

第一作、第二作とBOSCHを発表したCONNELY はこの後現在に至るまで
このシリーズがこんなにも長く続くと、果たしてこの時点で想像していた
のでしょうか。

いわばLAPDのはぐれ刑事のシリーズ、2010年のBOSCHはだいぶ老けて
きました、もうすこし続けて欲しいものですけど。



 

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