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豊海橋

2007-03-24 10:35:30 | 江戸由縁東京旧聞
ちょっと脱線気味でしたので、この辺でまた隅田川の橋の話題に戻り
ましょう。

深川方面から隅田川に架かる永代橋を渡ると、すぐ右側に日本橋川が
見えて来ます。そこに架かる橋が豊海橋です。茅場町の方から来れば
永代橋の直前の信号を左折します。日本橋川が隅田川へ流れ出すとこ
ろに架けられていて、日本橋川の隅田川寄り最後の橋になります。

ここから見える永代橋の夜景はどこか外国の景色のようでとても綺麗
です。ブルーに彩られた大きな永代橋と小さな豊海橋とのコントラスト
が微妙に気持ちが良く落ち着きます。隅田川の遊歩道にもすぐ出られ
ますから、ここらへんでよく映画のロケ撮影をしているのを見かけます。
水辺近くでウォーキングをしているひとや、犬の散歩をしているひとた
ちの多いところです。

また話がそれてしまいますが、ウチの母親などは、ブラブラして歩くこと
を「犬の川端」なんて言ってました。危ないことを「剣呑」なんて言ってい
るひとでしたけども。ついでに、学校の「先生」のことは「訓導」と呼ぶん
だよ、とも言ってました。耳の遠いひとのことを「あいつは向島だァ」なん
て言ったもんだ、とか、「食に卑しいやつ」のことァ、ありゃは「褌の川流
れ」だから, などとも言う。杭(食い)にかかったら離れない、からだそう
で。東京の下町生まれで、関東大震災のことを良く話してくれましたが。
いけませんね、こりゃ。書き出すと話がドンドンずれちゃいます。


こっちが昼です。

昔、ここまで通学していた頃はライトアップも隅田川テラスの遊歩道も
巨大ビルもありませんでした。変われば変わるものですなあ。

日本橋川をまたがって新川から箱崎にかけてこの橋は架けられていま
すが、大きな橋でもなく永代通りにも面してもいないので見落としがちで
す。また永代橋はその昔今の位置より上流側、豊海橋を渡った箱崎側
の方に架かっていたのでした。

豊海橋は元禄11年(1698)の架橋とされています。日本橋川は江戸
時代重要な水路でした。江戸橋、日本橋、一石橋、神田橋、俎橋、三崎
橋などが代表的な橋で江戸の中心まで物資を船で運ぶのに不可欠な水
路で、近くには今でも小網町、小舟町、堀留町など往時所縁の名のつい
た町名が残っています。いいですね、昔の名前は。

現在の豊海橋は昭和2年に架けられたもので、全体が白色で欄干部分
が青に塗られており、形状はちょうど梯子を横にしたような印象で独特な
デザインです、VIERENDEEL(フィーレンデール-設計者名)橋と言い水平
耐力に優れ全国にもちょっと例のない珍しい形の橋なのだそうです。


ね、梯子を横にしたみたい。

全長は50メートルにも満たずどちらか言えば小さい橋ですが永代橋との
光景のバランスが良く、当時の橋のデザイナーの趣味の良さが今でも十
分に覗えます

東大の福田武雄先生が設計された橋ですが、この先生は新潟の万代橋
も設計しておられ橋梁設計では当時新進気鋭のスペシャリストでした。


綺麗な写真ですね。川面が静かでないとこうは行きません。

歌舞伎の「梅雨小袖昔八丈ー髪結新三」で新三が材木屋の白子屋の手
代忠七を足蹴にする時、背景として使われるのが永代橋です。二人は京
橋の白子屋のほうから来るという設定になっているので、豊海橋を横目に
見て来たか、あるいは渡って来たかも知れません。この後芝居では閻魔
堂も登場してきますので大川を挟んでの人情噺となるのですが、この噺
は実際にあった事件の「白子屋政談」をさらに黙阿弥が作り直したものら
しく、新材木町の白子屋の亭主毒殺未遂の下手人お熊は最後はお上によ
り処刑されてしまうのですが、その時黄八丈を着ていたので、江戸の女は
これを忌み嫌い黄八丈を着なくなったとか言われています。実際のところ
は、黄八丈の人気が出るのはもっと後の時代と思われるので、黄色の縞
のものか、単に黄色の着物、ではなかったでしょうか。まあ、江戸っ子の
ことですから、そのうちすぐに忘れてしまったでしょうけど。

その時の川柳で、反物におくま一反ケチをつけ、なんていうのがあったそう
です。

豊海橋の写真はNIGHT Windows~東京の夜景からお借りしました。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
夜の橋を眺めての散歩は最高でしょうね (光ちゃん)
2007-03-25 21:14:22
私のこの“東京の夜景”を数回壁紙にお借りしたことがあり馴染みになっております。
良いですよね、ゆったりとした気分で隅田川の散歩と橋巡り。今年中には実現をしたいと・・・

丁度、北原亜以子さんの「深川澪通り木戸番小屋」を読んでました。
本の裏扉の古地図と、PCの一万分の一の地図と両方を見比べながら、お話をお聞きしている気分で読ませて頂いております。

お母様のお話は、とても愉快でした。話をドンドンずらしてでも、又お聞かせください。
私の母も生まれは東京なのですが、育った時期が短いせいか何も知らず、昔のことを話すこともありません。
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脱線ばかりで・・ (nnakazawa)
2007-03-27 00:34:30
はい。この「東京の夜景」の橋の写真はすごく
綺麗で、どういう風にしたらあんなに上手に撮れるのかと。羨ましい限りです。

「ドンドンずらせ」との仰せ、かしこまりました。
ただ、やはり年のせいか(?)急に思いだすことが
ございまして、その時に一気呵成に書かないと
機会を逸する怖れがありそうで怖いですねえ。
情けない限りで、はい。

最近は「アレ、ほら、アレアレ」と代名詞ばかりで
肝心の名前が出て参りません。困ったもんです。


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