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ラテントピック一語一絵 その18

2021-03-28 10:44:17 | ラテントピック・一語一絵
José Libertella

ホセ・リベルテーラ 1933年生まれ。
タンゴ楽団SEXTETO MAYORの第一バンドネオン奏者

イタリアで生まれたが 生後11か月で海路アルゼンチンに来る。子供時代から
バンドネオンに馴染み10代で、後にタンゴ楽団SEXTETO MAYORのバンド
ネオン奏者となるLuiz Stazoと知り合う。ラジオ出演からステージ、ステージ
からテレビ出演と少しずつ知られていくようになりタンゴで有名なビエッホア
ルマセンにも出演するに至る。

1973年頃にSEXTETO MAYORを結成したが一年もしないうちにメンバーが2名
辞める。1974年の2月頃にブエノスアイレスのエンリケ・サントス・ディセポロ
劇場で行われたタンゴのリサイタルではアルマンド・クーポ、オマール・ムルタ、
ホセ・リベルトゥーラ、ルイス・スタッソ、ウーゴ・バラーリス、マリオ・アブ
ラモビッチの6名で参加している。かなりの人気だった。このタンゴ・リサイタル
にはルーベン・フアレスやウーゴ・マルセルも出演している。
フォルクローレの若い世代代表としてかグラシエラ・スサーナも歌っていた。

このディセボロ劇場でのSEXTETO MAYORのバイオリン担当ウーゴ・バラリス
はピアソラのイタリアデビューであるROMA 1972にも参加している。ピアソラ
との友情かかなり厚かった。そもそもピアソラが将来の妻デデ・ウォルフに会っ
たのはウーゴ・バラリスの家でだった。更に遡ること1954年に、フアン・カナロ
楽団がタンゴ楽団として初めて来日した時のメンバーにも入っている。フアン・
カナロはフランシスコ・カナロの弟だ。東京や大阪や、まだ戦後の復興が遅れて
いる広島でも親善コンサートをしている。バラリスがかなり早い時期に日本に来
ていたのはちょっと意外ではある。この時のツアーは当時の在日アルゼンチン大使
がコメントを書いている。


ウーゴ・バラリス

バイオリンやピアニストなどのメンバーの離合集散はいつでもバンドの宿命だが
この時代は結構多い。掛け持ちなどは珍しくなく、2022年に7年ぶりで来日する
ラ・フアン・ダリエンソにはファビオ・ハーゲルの来日公演の際に同行したメン
バーが含まれている。先の話なのでまだ分からないが今のところそういう発表に
なっている。追記 : 2022年公演は中止になりました。

ホセ・リベルテーラ自身はキンテーログロリア楽団で1967年に来日、タンゴ
オールスターズで1974年に、また1978年にもホセ・リベルテーラ楽団で来日し
ている。世界的タンゴブームの先駆けとなった。タンゴオールスターズ来日の際は、
ブエノスアイレスのタンゲリアであるビエホ・アルマセンで事前練習をしている。
NHKの「世界の音楽」にも出演した。宿泊先は赤坂東急ホテルだったかな。

1981年パリでの演奏会が空前の大ヒットとなり、一大人気バンドとなりアルゼン
チンでのタンゴ復活ブームの起爆剤となる。特にブロードウェイでのショー「タン
ゴアルヘンティーノ」の人気はすさまじく世界中タンゴブームとなり、1987年に
は来日公演。この時ばかりは日本のメディアも連日タンゴの話題で溢れた。
その後も毎年タンゴ関係の舞踊団が来日した。この時期の名のあるバンドは海外
公演ばかりでまともにアルゼンチンにいる時間はなかったのではないだろうか。
「タンギッシモ」のネストル・マルコーニはこの一番多忙で目覚ましい活躍をし
た80年代から今日まで現役だ。また1988年にはアストル・ピアソラが3回目の来
日をしている。

2003年にはSEXTETO MAYORはタンゴ楽団では初めてのラテングラミー賞
に輝いた。



SEXTETO MAYORの結成は短期間の予想だったが、見事に外れ(?)
何とそれから30年も続いた。2004年にリベルテーラは滞在先の
パリで心臓疾患により急逝。翌年には盟友ルイス・スターソも脱退し
てしまった。その後は実力に定評のあるオラシオ・ロモが第一バンド
ネオン奏者になり後を継いだがメンバーが相次いで亡くなってしまう。

オラシオ・ロモは新規にSEXTETO MAYORを率いると同時に自分の
楽団オラシオ・ロモ・セステートも率いてもいた。アルゼンチンの
タンゴ界では演奏家が複数のグループを掛け持ちすることは珍しいこと  
ではない。タンゴに限らず日本でも良くある。オラシオ・ロモはホセ・
リベルテーラ没後に遺族からバンドネオンを譲り受けている。
2017年2月に日本公演を行った時もこのバンドネオンだったはずだ。
東京ではドラマチックタンゴ「バンドネオンの匠」と謳って中野サン
プラザで開催されている。


オラシオ・ロモも含め人気タンゴ楽団は全米やラテンアメリカ諸国に加え
ヨーロッパ諸国をツアーするものだが特にドイツ、スペイン、ポルトガルは 
タンゴフェスティバルが人気があり定期サーキットコースになっている。
アジアツアーとして日本の他に台湾や韓国に行くタンゴ楽団も多い。人気
があるのだろう。




リベルテーラのSEXTETO MAYORはアルゼンチンではいまだに人気がある。
タンゴ人気はその時代によって変わり、共有した時間の空気によっても
変わるものだがSEXTETO MAYORは不変の人気をいまだに誇る楽団のひとつだ。
アルゼンチンではタンゴ楽団は日本ほど人気の普遍性が高くなく好き嫌いがある。
個人の好みがはっきりしている。お気に入りは褒め上げ嫌いなものはけなす。
センスを尊びエレガンスを好みプライドが高い。そういう中でタンゴ楽団の人気
を守るのは並大抵のことではないが、SEXTETO MAYORの人気は安定している。
 
と言いつつ、クロニカTVが撮った2013年と思われるのSEXTETO MAYORの
演奏を見てみた。創立40年目だ。バイオリンのエドアルドにマリオがそれぞれ84
才に87才と超高齢のタンゴバンド、レジェンダ ビーバだが、これがやっぱり趣き
があるねえ。何と言うか、都会的なエレガンスがあるよ。言い方は悪いが江戸小唄
のようだ。粋があるね。ぺぺ・リベルテーラもこれなら嬉しいよ。

メンバーが変わっても変わらない人気がある。江戸時代から続く名代みたいな
ものだね。4代5代と御贔屓筋がいる佃煮の味、てところ。お爺さんが食べてた
から孫も食べる。やっぱ、この味だ! 暖簾です。

またまた、本筋より余談の方が多いや。いつもの事だから仕方ないけど。絵を上手く
描くのが優先で、文章の構成まで気が回らないよ。


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