ほぼ不定期日記

散歩ばかりしている男の嘘日記

煮込みうどんに玉子を落として雪の次の次の朝

2018年01月24日 | ほぼ嘘日記

午前7時半に起床する 

感冒薬を連用したせいで胃が重い 

うどん玉をつゆで柔らかく煮込んで玉子を落とす 

良く噛んで喰うように自分に言い聞かせる 


胃が痛む時は絶食した方が良いが 

胃が重い時には消化に良い炭水化物をしっかり噛んでゆっくり飲み込むに限る 

胃酸過多なら梅干しを喰う 

三十半ばで胃潰瘍になった時に身に付けた作法だ 

近所の東海大学に行ったら看護士に「ラッキーですね♪ 教授が担当するそうです」と言われた 

最初の検査の後で別室に呼ばれた時は「告知か?」と覚悟を決めたがそうではなくて 

まだ治験中のピロリ菌駆逐の新薬を試さないか?という申し出だった 

まだピロリ菌などというものの存在が世に知られる前の話である 

断わったら「貴方は芸術家でしょ?科学の進歩に貢献するつもりはないのか?」と言われて思い出した 

教授はその数年前に自転車に乗った私を前方不注意で轢いた運転手だったのだ 

加害者と被害者は会わせないようになっているので事故の時以来の邂逅だったが 

自転車もろとも倒れた私を心配そうに見下ろしていた顔は忘れはしない 

もっと言えば自転車にぶつかってくる自動車の動きや 

フロントスクリーンの奥で「ああ〜!」と声を出して驚く運転手の表情も 

まるで映画のスローモーションのように克明に覚えている 

怪我自体はとっさに受け身を取ったので左膝の打撲程度で済んだが 

凄く冷える冬にはときたま痛む 時に膝の関節がコキッと鳴る 

ともかく教授の言う通りに治験に2ヶ月協力し再検査したら 

内視鏡を覗きながら「貴方に出したのは偽薬だったみたですね」と教授は言った 

偽薬は小麦粉と砂糖が原料だと教えてくれて当時使える制酸剤を処方された 

つまり丸2ヶ月のあいだ効き目の無い駄菓子を喰っていたのに等しいわけで 

この教授には2度酷い目に遭ったことになる 

もう会うこともない人なのにこれほどくっきりと記憶しているのは面白い 

蛇足だが事故の後には保険会社から9800円貰い 

運転手からお詫びの気持だそうですと菓子折りを貰った 

最中だった 

どんな最中だったかはまったく思い出せない 

これも面白い 

それからまた数年経った頃にNHKの「きょうの健康」に出演する教授を観た 

私に治験を頼む時と変わらぬ表情でピロリ菌の害を説いていた 

時は移り変わり今は胃からピロリ菌を駆逐する害が報告されている 

どんな顔であの教授がそれを聞いているのか?見てみたいと思う 

教室用に膠を炊く 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いつもすみません (Blue Wing Olive)
2018-01-24 21:08:03
交通事故の加害者から、偽薬を盛られるとは、可笑しく不思議な話ですね。
私は数年前、2度目のチャレンジでピロリ菌駆除に成功しましたが、これは管理人様をはじめ被験者の方々の協力のお陰でもありますね。
返信する
不思議ですね (ほぼ不定期日記管理人)
2018-01-24 21:15:53
Blue Wing Oliveさま
コメントありがとうございます
出会いって本当に不思議ですね
ピロリ菌駆除成功おめでとうございます
私もやってみようかな?って思いました
返信する

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