ほぼ不定期日記

散歩ばかりしている男の嘘日記

新物の鳴門若布を蕎麦に乗せる朝

2018年01月18日 | ほぼ嘘日記

午前6時に起床する 

身体は重いが朝から仕事なので起きるしかない 

いただいた新物の鳴門ワカメを湯に潜らせて冷水で戻しザク切りにする 

茹でた蕎麦につゆを回しかけワカメを乗せ斜め切りにした竹輪を添えネギを散らす 

蕎麦つゆの出汁は鰹節で引いた 味付けは醤油と味醂だけ 


新物の鳴門ワカメはプリプリと歯切れ良くてほんわり春の香りがする 

三陸の肉厚なワカメも美味いが急流で揉まれた鳴門ワカメの味は格別だ 

鳴門には小学2年の春から4年の夏まで住んでいた 

社宅があった教会前駅から鳴門線に乗り池谷駅で高徳線に乗り換えて 

家族と社宅の仲間たちといっしょに徳島駅で降りたのは昭和40年の真夏だった 

阿波踊りを観に行ったのだ 

大通りには階段状の観覧席や桟敷席が設えられていたがもとより 

そんな高価な指定席を予約出来るほど豊かなわけもなくて我々は 

聳え立つ観覧席と観覧席の隙間にギュウギュウに詰った群衆に混じって阿波踊りを眺めた 

あの頃の阿波踊りは演出過剰とも言える今の阿波踊りとは違って 

ただひたすらに昔ながらの男踊りや女踊りをしながら前へ前へと進むだけだったが 

薄暗い夏の闇から少しづつ姿を現す踊りの連は華やかというよりも厳かに感じられた 

阿波踊りは阿波の國に封じられた蜂須賀公を出迎えるために始った 

元々は念仏踊りや精霊踊りであったのは間違いない 

踊る様子を仔細に観れば頭の上で手をひらひらさせているようで 

実は指を小指側から薬指中指人差し指と順に曲げているのが判るだろう 

それこそが念仏踊りであれば阿弥陀様を精霊踊りならば祖霊を招く仕草で 

ただ手をヒラヒラさせるのなら・・・それは決して阿波踊りではないのだ 

汗まみれになって踊るひとたちもそれを観る我々も汗だくになる暑い夜だった 

暑さと砂埃で喉がカラカラになった頃に父がコーラを買ってきてくれた 

生まれて初めて飲むコーラだった 

そしてそれはコカ・コーラでもペプシ・コーラでもなくてクラウン・コーラだった 

クラウン・コーラを知る人は少ないに違いない 

画像はネットの拾い物 琺瑯看板だろうか? 


まさにこの瓶だった 

初めてのコーラは「薬臭い・・・」「炭酸がキツ過ぎる」 どなたも同じだろう 

このクラウン・コーラの広告が若大将とスミちゃんを起用していたのは知っていたが 

輸入販売をしていたのが寿屋だったというのはこの画像で初めて知った 


寿屋ということは・・・開高健が広告部にいた頃? 関わったのだろうか? 

寿屋というのは今のサントリーの旧名でその名残りとしてウイスキーのオールドに寿の文字が入っている 

オールドのラベルに寿を入れたのは開高健でそれについてのエッセイもある 

そう思ってこの広告を眺めると若大将が持っている竿のリールがアブ・ガルシアのものに見えてくるが 

開高健が釣りに傾倒していくのは従軍していたベトナムから帰国してからのはずだとすると 

若大将にベイトリールを逆さに持たせた間違いにも納得する 

それともカメラマンにベイトリールの知識が無かったのかもしれないし 

それは加山雄三も知らなかったのだろうと思うと そういえば・・・ 

釣り具の若大将とか釣りキチ若大将という映画は無かったと気付いた 

あの頃に魚釣りはごくごく庶民的な趣味だったし 

どちらかといえば御老人が嗜むものという気分もあったので 

スキーにエレキギターにアメリカンフットボウルあたりが 

当時の若者の先端モデルとしての若大将にふさわしいのは間違いなくて 

たしかにまわりにいた青年たちもそういう趣味に傾いていたのは良く覚えている 

それでもあの頃の娯楽の王様は圧倒的に映画だった 

季節の変わり目になると2本立てで上映されるシリーズもので映画館は満杯になった 

切符を買ってもぎりを通りクッション素材の扉を開けると煙草の煙が吹き出してきた 

こぼしたジュースや吐き出したガムでベトベトする階段を素早く降りてイチ番前に行き 

暗い館内に目を凝らし空いた席を探し背を屈めたままの姿勢で音も無く駆けてスルリと座った 

映写機から伸びる白い光が煙草の煙が充満した館内で揺れていた 

スクリーンにはわざとらしい若大将の笑顔が大写しになっていたが私には興味が無かった 

私が観たかったのは併映の特撮ものだったからだ 

時にはゴジラだったり時には海底軍艦だったりサンダ対ガイラだったりした 

今でも忘れられないのは「フランケンシュタインと地底怪獣」だ 

この名作映画についてはまた別の機会に書くことにする 

昔の話になると爺は長くなる 気をつけねば 

そろそろ仕事に行く時間だ 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 知恵ある言葉を旅人から聞く | トップ | 数の子の粕漬けと佃煮とワカ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ほぼ嘘日記」カテゴリの最新記事