
小学生の頃、運動会で50メートル走があった。
なかなか一番になれなくて、くやしかった。
ある日、おじいちゃんと何か話していて、その話になった。
すると、おじいちゃんが
「おじいちゃんの子供の頃とびっくら(徒競走)で早くなる秘密兵器があった。それがあれば一番になるよ!」
なんて言って、二人で秘密兵器を山の中に探しに行った。
夕日に照らされて輝いているカラスウリが秘密兵器だった。
なるべく高い所にあるカラスウリを、おじいちゃんと取って帰ってきた。
秋の運動会、朝、学校に行く前にカラスウリを半分に割って足に塗った。
シューズの裏にも塗った。
運動会での競走は全部一番だった!
それから高校生までカラスウリのお陰で競走では一番だった。
大学受験のときの前日、おじいちゃんがカラスウリを何故か持ってきてくれた。
一応、足と靴に塗ってみた。
そのお陰か、第一志望の大学に合格した。
社会人一年生になってすぐの6月、おじいちゃんが胃癌で入院した。
季節外れだったから、カラスウリが探しても見つからなかった。
手術は成功したはずだったけれど、おじいちゃんは手術後4週間位で天国へ…
もしも、秋だったら…
カラスウリが手に入っていたら…
カラスウリの力は、子供の頃の思い込みだったとしても効果絶大だったのだから…
今も効果があるのか、わからない。
だけど、子供の頃の私には、おじいちゃんに言われて信じていた秘密兵器であったことは間違いない。