モロッコの旅3日目。
首都ラバトから青の街シャウエンへとバスで移動中。
車窓から眺める途中の町や村の風景に目を奪われる。
道端で無造作に並べて売られている色とりどりの果物。
その果物を運搬するらしい大きな荷台の3輪オートバイ。
いろんな柄の幌つきオート3輪車も走っていて
ふと、20年ほど前に訪れたベトナムの街並みを思い出す。
こうした露店の光景を行く先々の街で見かけた。
街を外れると広々とした田園地帯が広がり
その中を貫くように敷設されている農業用水の配管設備。
一見すると水田のように見えるが、実はこれ塩田。
そしてこの白い土手のように見えるのが精製する前の塩。
モロッコに古くから伝わる塩の製造法のようだ。
郊外の道沿いにたくさん植えてあるサボテン。
モロッコではこのサボテンを食糧や化粧品にも使うらしい。
聞くと、モロッコは食糧自給率が何と100%!
そのために計画的な作物の栽培や管理を行い
先程の農業用水路を始め、ダム建設や砂漠の地下水路の設備など
様々な農業施策を国策として取り組んでいるという。
これは意外だった。
モロッコがこうした地に足のついた国づくりを進めているとは…。
漫然と景色を眺めるだけでは知り得ない。
来て、見て、聞いて、初めてわかることだった。
バスはやがてシャウエンの街へ…。
ここシャウエンは青い街として、近年日本人に人気の観光スポットだ。
標高500mの高原地帯の山肌に、へばりつくように家並みが重なり
狭い路地に一歩足を踏み入れると、そこは不思議な青い世界。
迷路のように入り組んだ道は
どこまでも、どこまでも、くねくねと続き
上へ上へと続く階段を登った先には壁と同じような青い空が…。
メディナ(旧市街)の中にある店で見かけたカラフルな塗料。
この青い色で家々の壁や道が塗られているようだ。
青い壁の道沿いに並べられたオレンジ色や黄色の果物や野菜。
色とりどりの色彩で織られたスカーフやバッグ。
壁一面に飾られたカラフルな色合いの手提げかご。
陶器や壁飾り、置物やランプなどの雑貨品。
そして、皮製品や洋服、アクセサリーや装飾品などが
狭い路地や広場の店に所狭しと並べられている。
色鮮やかな土産物や特産品と青い壁との色彩のコントラストが
何とも言えない幻想的な風景を創り出していて
さすが、色彩の国と言われるだけある。
ところで、なぜシャウエンは青い街になったのか?
これには諸説あるようで
日差しを防ぐ暑さ対策だとか、青色がイスラムの色だからとか
もともとこの地方の石灰岩は青みがかっているだとか…。
ガイドさんによっても違うらしい。
その一方で
いや、単なる観光目当てに過ぎない。
30年前にはこれほど青くなかったと言う人もいるそうだ。
理由はともあれ
青い街のお陰で観光客が増えたのは事実だろう。
特にここ最近のインスタ映えブームだ。
幻想的な青い色彩の街に魅力を感じる人は多いはず。
実は、かく言う私もその一人なのだ。
インスタこそしないが、旅行パンフレットの青い街の写真を見て
ここに行ってみたい!…と思ったのは確かだ。
もしかすると
何でモロッコ?…の答えの一つはこれだったかも知れない(笑)
なあ~んだ、そんな単純な理由で
高いお金を支払ってわざわざ遠い北アフリカまで行く?
はい、行くんです!(ここはキッパリ!)
絵葉書にならない風景を見るためと
来て、見て、聞いて、初めてわかることを知るため。
そして単純に、絵葉書の景色を実感するため。
何を求めてモロッコへ?…の答えが今のところ3つ。
でも、他にも理由がきっとあるはず…。
では続きはまた。