NORIKO HIRANO ひらののりこ  

Composer, Arranger, Pianist
作・編曲家、ピアニスト
 

台湾 第十三話

2013-11-06 09:20:24 | 旅行
前回、布農族(ブヌン族)や賽徳克族(セデック族)の人たちと一緒に飲んだ話を書きましたが、そのことをもう少し書きます。



真ん中のTiyan(ティヤン)さんは実はお祖父ちゃんが日本人の警察官だったとのこと。
そのことを聞いた時、私は一瞬緊張したのでした。なぜなら映画「セデック・バレ」や中国の抗日ドラマに出てくる日本人警察官のほとんどは、高圧的で現地の人をバカにした態度を取っていたからです。当時の日本は、台湾統治の為に日本人男性と原住民の女性を積極的に結婚させる政策を取っていたようですが、映画の中では原住民の妻に対する態度が酷く、見ていて不快感を持ったのでした。また、中には終戦後、妻を捨てて日本に帰った人もいたようです。

だから彼のお祖父ちゃんはどうだったのだろうと心配になったのでした。
そのことをきちんと聞けばよかったのですが、この時はその勇気がありませんでした。
お祖父ちゃんや日本人のことをどう思っているのか、終戦後家族はどんなふうに暮らしたのか、今度もし行く機会があれば、きちんと聞いてみたいものです。


そうそう、もうひとつカラオケのことも書いておきます。
この日行ったカラオケにも日本語の歌があったのですが、せっかくだから台湾人も知っている歌はないものかと一生懸命考えました。
すると、ありました、ありました。テレサ・テンの「何日君再来(ホーリーチンツァイライ)」。
この曲は歌詞はわかりませんが、二胡の伴奏をしたことがあるのでメロディーならわかるのです。
それで、歌のほとんどを♪ラララ~♪で歌い、最後の♪何日君再来♪だけ中国語で歌っていると、♪ラララ~♪の部分を他の人が歌ってくれたので、これはこれで成功かなと思いました。今度行く時までには台湾の有名な歌の一つくらい覚えて行きたいものです。




9月27日(金)

Loviさんはお茶畑へ連れて行ってくれました。

途中の景色。







このお茶畑は標高1600mのところにあります。


お茶の花とLoviさんの手。


あんまり気持ちが良いので、こんなポーズを取ってしまいました。




ここには毎日2時半に霧が降りるそうです。それがお茶を美味しくするのだそうです。


春夏秋冬それぞれの季節に茶摘ができますが、美味しいのは①冬②秋③春④夏の順番だそうです。
ベトナムからの出稼ぎの女性も働きに来ています。お茶は儲かるらしく、ここの社長の年収は自分の4~5倍だとLoviさんが笑いながら言っていました。



お茶畑の後は、Loviさんの中学時代の先生の家に連れて行ってくれました。日本語ができるからとのことでした。

先生は久しぶりに日本語が使えると大歓迎して下さり、自己紹介も日本名でしてくれました。
奥さんは桃子さんというのですが、「忘れたら、♪桃太郎さん、桃太郎さん♪の歌を思い出してね。」と仰っていました。旦那さんの守二さんは昭和6年生まれで、元少年兵です。日本にも何度か行ったとのこと。その時のことを目をきらきらさせて語っていたのが印象的です。


桃子さんは、桃太郎の他にも童謡を何曲かと、映画「サヨンの鐘」の主題歌などを歌ってくれました。この映画は李香蘭主演で、撮影は霧社で行われました。

それから、「台湾、良いとこ。緑の島、宝島」のような台湾を讃える歌も歌ってくれたのですが、この歌は、終戦後、日本人が台湾から出て行く時、港で大音量で流され、台湾人は涙を流して見送ったとのことです。原住民と日本人は本当に仲が良かったのだと仰っていました。こういう話は全く知りませんでした。

帰国してから、この歌のことを調べたら、恐らくこれではないかという歌が見つかりました。


         ♪台湾楽しや♪

揺れるひかりだ 緑の風だ 南風(みなみ)そよ吹きゃ 豊かな穂波
米は二度なる 甘藷は伸びる 名さえ蓬莱 宝島
台湾楽しや 良いところ


台湾楽しや/胡美芳/カラオケ歌詞入り



ご夫妻とはいろんな話をしましたが、日本人としてはやはり311のことをお伝えせねばと思い、台湾の人からたくさんの寄付をいただいたお礼を言いました。「日本政府はきちんとお礼をしていないけど、一般の日本人は台湾人に対して本当に感謝している」と伝えたところ、桃子さんが少し涙ぐんでおられました。


ここでお昼ご飯をご馳走になりました。
彼らはクリスチャンなので、食事の前にお祈りをしていたのですが、この時は日本人の私がいるからなのか、日本語でお祈りをしていました。
「日本人のノリコとの出会いに感謝します」と仰ってくれて、ちょっと涙が出そうでした。



日本の襖を真似たというご自慢のお部屋。


最後に守二さんは私に布農族(ブヌン族)の名前を与えてくださいました。
長老から名前をいただくのは、とても良いことなのだそうです。
下さった名前はApin(アピン)。
桃子さんは、「今度来る時は、前もって電話で『Apinです』と言いなさいね。」と仰いました。



さてさて、この日はもう宿へ戻るのかなと思っていたら、またどこかへ連れて行かれました。
そこにはもう会えないと思っていたDemoさん、Tiyanさん、Iviさんがいるではありませんか。


私が行くなり、Tiyanさんが「昨夜はDemoが一晩中ノリコを待っていたそうだよ。」と言い、Iviさんが「パンツを下ろして待ってたらしいよ。」と言うので、皆で大笑い。

Demoさんは、「この男たちは皆、悪い男ね。バカヤロー、切腹!」と言って、また皆で大笑い。



その後も何かある度に皆で「バカヤロー、切腹!」と、腹を切る真似をしながら言って大笑いしていたのでした。
そんな冗談をさんざん言ったあとでLoviさんは、「山の男は冗談でエロ話はするけど、心の中は真面目で、決して好色ではないですよ。もしノリコに何かあったら必ず助けるよ」と言っていました。


この方はTiyanさんの自慢の奥さん、Saviさん。
Loviさんに写真を撮ってもらったら、なぜか動画になっていました。


皆が「Number One Wifeね。」と言うと、Tiyanさんが「No,No,My Only One Wife」と言って皆を羨ましがらせます。

彼女がNurse(看護師)だというとまた皆が「His Number One Nurseね」と言うので、今度は私が「No,No,his Only One Nurse」と言って、皆で笑いました。Saviさんは品があって素敵な女性でした。



そんな会話を楽しんで、布農族(ブヌン族)の村でのとっても濃い2日間は終わりました。





近所の子供たち。









宿のオーナー、Loviさんと奥さん。
彼女は中国出身で、看護婦長をしていたとのこと。いかにも仕事ができそうな方で、自分の畑で採れた野菜を使った料理は全て美味しくて感動でした。
Loviさんは「しまった。こんな汚いTシャツを着てた。」と言って笑っていました。



そしてこの2日間の筆談メモ。




今日はここまで。









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