(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

両手突抜

2024年12月20日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

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両手突抜は旧・科目表では3級科目の後半に出てきていた法形(SKの技)で、前半に出ていた両手寄抜や両手巻抜と同様、龍王拳(抜き技を集めた拳系=グループ)の一つです。

片手巻抜(5級技)や片手突抜(4級技)が片手寄抜の変化技であったのと同様に、両手巻抜も基本法形としては両手寄抜の変化技でした。よって同様に、両手突抜も両手寄抜の変化技という事になります。

何故、寄抜の方が基本技であって巻抜や突抜が変化技に甘んじなければならないのか(笑)、という事に関しては片手寄抜の項で述べてますので、お暇だったら読んで下さい。しかし「基本的には変化技」であっても、それを最初からチョイス出来なくは無いのです。やりたくて可能であれば最初から両手突抜を行なって下さい。しかし突抜というのは自分も前屈になるので、攻者が押込んでもいない状況で行なうのはリスクがあります。だから基本的には変化技なのです。考試(審査)では基本の理解を問いますから、攻者が変化もしていないのに巻抜や突抜を行なったら減点されます。

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攻撃は「両手を下に押込む」です。目的は鉤手守法の阻止ですが、鉤手守法に限らず、攻者は守者の両手をギューっと下方へ押さえつけることで抵抗出来ないようにさせようとしている訳です。
勿論SK拳士は「下への押込みにも強い鉤手守法」を研究しなければなりませんが、まだこれからやろうかという所で両手を下に押下げられたのでは仕方ありません。衝立手法に移行するのですが、片手突抜の項で述べた通り、鉤手守法をやろうとしていたものを衝立守法に切り替えるのは中々に訓練を要します。ただ片手突抜で片手を押し込まれて衝立守法に移行するより、両手で行なう方が却ってやり易いかも知れません。

そこから突抜を行うのですが、この法形の(衝立守法になれんのかに続く)2番目のキモは、1本目を突き抜いたら2本目は寄り抜く、という所です。
両手突抜は順手外手首x左右ですから、1本目は突抜(外)という事になります。この1本目の突抜を行なっている間に反対の手を鉤手守法に戻して2本目の寄抜を行なう、いうのが本法形の最大のキモになります。

守者であっても攻者であっても、両手を別々にコントロールするのは難しいのです。だから攻者も両手を押え込んでくるし、守者も両手を同じように衝立守法する方が楽です。その一本が抜かれてしまうと、攻者の注意は必然的に抜かれた手や、守者の反撃に集中します。それを利用して守者は反対の手を鉤手守法に戻すのですが、守者の方も別々の動きとしてやると難しいのです。なので、この「両手突抜」の法形で一連の動きとして身体に刷り込んでいる訳ですね。

この1本目の突抜は前手からでも後ろ手からでも可です。攻者の押込みによってやり易い方(前/後)が変わるので、両方修練しておいた方がいいでしょう。両方出来るようにしておいて、やり易い方からやります。それぞれで2本目の為の鉤手守法を取りやすい体捌きというものがあります。

実は教範によると、両手とも突抜いても良いようです。実際私も最初に「それも可」と習いました。ただその場合、低くなり過ぎて2本目で地面を叩いてしまう事があります。私もそれをやって笑われましたし(本人は痛い)、後年後輩が同じ事をしているのを目撃しました。最初から2本共突き抜こうとすると、前傾になり過ぎて体勢としても危険です。1本目を抜いた時に鉤手守法に戻れなかったら、2本目も衝立守法から突き抜いても良い、位の意識がいいのではないでしょうか。

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片手突抜の項でも書きましたが、反撃法は「裏手打または掌拳打」です。突抜は前腕を回内させて抜くので、抜き終わりは我の肘が攻者を向いている形になります。なので掌拳打が基本なのです。片手突抜では攻者の水月(or三枚)に掌拳打を打込む事が多いと思いますが、攻者が前傾して頭部が落ちてきていたら三日月への掌拳打が有効です。
両手の突抜の場合、我が低く入りがちですので、片手技以上に金的への裏手打が有効でしょう。

反撃法は攻守彼我の間合い・体勢で決めますが、両手突抜は特に彼我共に前傾になって近づき過ぎる事がありますから、(2本目の寄抜の為の)鉤手守法を作る際に、間合いを取るよう意識した方が良いと思います。

【宗門の行としての少林寺拳法】龍王拳 突抜(両手) 金剛禅総本山少林寺 公式YouTubeチャンネルより
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