ハツカネズミと言えば白かと思っていたが、ブルーグレイのねずみがハツカネズミというそうだ。
ある日、廊下に何か落ちていた。こんなところになんだろうと思って、じっと見てみると、腹をすかして動けなくなったねずみだった。
どうも、死んではいないようだ。
どうしよう、と思ったが、無駄な殺生はしたくないし、そのまま廊下においておくのも踏んでしまいそうだし、そこで、とりあえずみかん箱に入れてご飯粒と、鰹節と、りんごの皮を入れておいた。
寝る前に、見たが、じっとしていて動かない。
死んでしまうような気がしたが、それならそれで仕方ないと思いながら寝た。
次の朝、なんと、ねずみは、みかん箱の中で元気に走り回っていた。
箱から出ようと、飛び跳ねたり、背伸びしたり、うずくまったり、見ていてなかなか面白い。それにしても、入れておいたご飯粒や、鰹節が、減った様子がない。
少しは食べたのだろう。なんせ体が小さいから、ほんの少しでいいのだろう。
それにしても、小さいし、毛色も良いし、なかなか顔もかわいい。
これで、いたずらしないで、ばちぃところに行ったりしなければ、このまま、飼っても良いと思えるほどだった。
でも、次の日、ねずみは箱の中にいなかった。
11匹のねずみ?の、絵本を思い出した。
あのねずみは、無事兄弟のもとに帰っただろうか。
[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]
「夜の夜中に ねずみ追いかけ逃げられて くやしくやしで眠られず」