校舎と、別棟の校舎や体育館をつなぐ廊下だが、屋根と床だけで、壁はない。
床はモルタルで、その上にスノコが敷いてあった。
つまり、そこは、外でもなく、内でもない場所。
上履きを履いて別の校舎へ移動するのに使うのだが、歩くたびにカタコトカタコトと、音をたてる。
クラスのみんなが歩くと、ガタガタガタガタが、重複して響く。
そして、下履きを履いて外にいるときは、下履きのまま、スノコを踏まないように横断することができる。
また、渡り廊下には、あまり灯りというものがなかった。だから、校舎の陰や、樹木の多いところは薄暗く、今までいた教室の雰囲気とはまるで違うのである。
そして、渡り廊下の向こうには、学年の違うクラスや、職員室や、保健室といった異次空間、すなわち、頻繁には行かないような場所があった。
だから、渡り廊下は、世俗と神の領域を隔てる結界とも、一部共通する意味合いを、含んでいる・・・・ように思われる。
[啼かせてみよう 本歌鳥のコーナー]
「すれ違う影のあとに 余韻だけ陽に滲みてあり」