奇跡のオバ

86歳の叔母から電話。

このところこちらから連絡していなかったのだが

なんと圧迫骨折で半年間大変な思いをしたという。

職業柄、圧迫骨折の高齢者は嫌というほど見てきた。

ひどい言い方だが、それは高齢者あるある。

ほとんどの場合、治療法はなく

コルセットをつけて安静にしているよう

医者から言われるのがオチだ。

ところが叔母の場合よほどひどかったらしく

２箇所の病院で入退院を繰り返し

結果、「治る見込みは低い」と言われながらも

手術を受けたのだそうだ。

何も知らなかった私はとりあえず不義理を詫び

それから恐る恐る聞いてみた。

「半年間もほとんど病院生活だったら

もしかして、もしかして車椅子になっちゃったの？」

叔母はややトーンダウンした声で言った。

「車椅子どころか・・・」

えーーー？　寝たきりなのーーー！？

すると

「ほほほほほ。もう一人で歩いてるわよお！

リハビリ、頑張ったんだもの」

マ、マジか！？

90近い老婆が圧迫骨折の手術を受けて

通算半年間にわたる入院生活を余儀なくされて

で、今はもう歩いてる？

しかも、家事までこなせるようになった？

奇跡である。

同様に圧迫骨折になってしまったウチのバアさんたちは

みんなコルセットもろくにせず

辛いからとリハビリも諦めて

弱っていくばかりだというのに。

叔母は日本女子体育大学の卒業で

80近くまでソフトバレーを楽しんできた。

そのせいか、流石の体力、流石の筋力だ。

もう一つ驚くのが、電話口の声になんとハリのあることか。

やはり筋力を鍛えてきた人は声帯も違うのか？

まずい、この分では私の方が先に弱ってしまう。

電話を切ってから、にわかストレッチなんぞする私。

ローマは一日にして成らずとわかっちゃいるが

とにかくなんとかせねば！！！