コント婆

何かと言っては事務所を訪ねてくる認知症のミチコ（89歳）のことは

もう何度もここに紹介している。

「傷口にメンソレータムを塗ったらヒリヒリして痛いんです。

どうしたらいいでしょう？」

「カツラが見当たらないんです。

誰か持っていった人を知りませんか？」

「息子とケンカしました。

原因は何だったんでしょう？」

どれもこれも、知りまへんがなʅ（◞‿◟）ʃの相談事だが

個人的にはブログネタになるの有り難く思ってもいる。

そして今日の相談事。

午前中、ミチコが何度も事務所を訪ねてきていたのは知っていた。

ふふっ、また来てるわ。

今日は何の相談事だろう？

気にはなったが私はバタバタと走り回っていたので

対応はマネージャーに任せていた。

午後になってまたしてもやってきたミチコ。

その時はたまたま、私が対応せざるを得ず…

あらミチコさん、ご用はなんですか？

「あの、私、朝から何度もこちらを訪ねているんです」

ほぅ、覚えてるのか！？

「実は深刻な悩みがあって、こちらを訪ねているんです」

そのようですね。

で、深刻なお悩みとは？

するとミチコがキレた。

「それが思い出せないから困っているんです‼︎」

笑・笑・笑

ミチコ、あなたはサイコー❣️

おっさんと私の、ゆる〜い休日

二人の休みが重なった。

おっさんは早寝早起き。

私は夜更かしの寝坊助。

いつもだったら休みが重なってもすれ違い生活だ。

ところが世の中ステイホームだから

お出かけ好きのおっさんも家にいる。

コロナ離婚ってやつが増えていると聞くが

ウチの場合ともに介護職でなかなか休みが重ならないので

一日中一緒でも苦ではない。

今日は私が昼前に起きると

おっさんはソファに寝そべって本を読んでいた。

お昼、焼うどんでも食べようか？

いいね。

昼食を済ませた頃ちょうどいいタイミングで

TSUTAYA  DISCASからDVDが届いた。

映画館で見はぐった新作「フォードvsフェラーリ」だ。

コロナのせいでレンタルが早まったのだろう。

これはラッキー！

さあ、おっさんと二人で昼からビールを飲みながら

おうちロードショーだ。

いいね、こういうの。最高の贅沢だわ。

観終わってから1時間ほど近所を散歩し

夕方からはツマミをたくさん作っておうち居酒屋。

映画を楽しんだあとだからことさら、話も弾む。

おっさんと二人の、ゆる〜い休日。

コロナコロナで息苦しい毎日だからこそ

こんな一日がとっても幸せだ。

コロナ怖いと井戸端会議

食堂の利用を二部制にする。

4人掛けのテーブルに2人までとする。

濃厚接触者を明確にするため

誰がどこに座ったかを毎食ごとに確認する。

前にも書いたが

これがウチのコロナ対策の一部である。

ジイさんもバアさんも、このルールにずいぶん慣れてきた。

たまに「そこは私の席だから、どけ！」なんて

子供じみた諍いもあるけれど

それはもう、勝手にやってくれ！だ。

しかしこんな生活が2ヶ月目に突入して

放置できない事態が起きてきた。

ソーシャルディスタンスを守って

大人しく食事をしている自立組のバアさんたち

（自立＝介護サービスを受けていない方々）が

食事を終えるや否や

廊下に出てきて井戸端会議を始めるのである。

ひとグループの人数、4、5人。

それぞれの距離、3、40センチ。

パーフェクトな濃厚接触だ。

しかも話題が、コロナ感染の恐怖と不安。

おい、アンタたち馬鹿じゃないのか！？

う〜ん、どうしたものか。

注意したら「あの人は怖い」なんて陰口叩かれるんだろうなあ。

しかし黙っているわけにはいかない。

意を決して、ご注意申し上げた。

お願い、コロナ感染予防のために

もう少し距離をとっていただけます？

最初は何を言っているのかわからない

といった顔をしていたバアさんたちも

意味に気づいて大笑い。

「そうよね、こんなにくっついてオシャベリしてたらいけなかったわ」

「私たち、ダメねえ」

ああ、わかってくれてよかった。

しかし、翌日もまた同じ光景が。

おーい、忘れちまったのか！？

女は昔から、井戸端会議が好きなのだ。

歳をとって世話する相手がいなくなればますます

女たちは井戸端会議に時間をかけるようになるのだ。

そして今、コロナによる自粛生活を強いられたバアさんたちは

ますます、ますます

井戸端会議の時間を大切にするようになっているのである。

高齢者にコロナを感染させまいと頑張っているが

これじゃ無理だわ！

腹が立つだけだわ！

虚しいだけだわ！

安倍さん

高齢者の井戸端会議自粛も唱ってくれませんか？