ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ケイコ日記ーその19

2018-09-28 01:36:45 | 日記
「なんだかお尻がもぞもぞするんです」
と、ケイコ。

臭くはないが、便でも漏らしたか?

トイレに行って、リハパンを下ろしてみる。

ギャッ!!!

下ろしたリハパンから
物凄いスピードで“やもり”が逃げていった。

認知症が進んでもはや人間を超越しているケイコ。
ついに、やもりを産んだか!?


続・おっさんとの記念旅行

2018-09-23 00:15:44 | 日記
旅先で出会う人々は
なんであんなにやさしいんだろう。

いや、向こうからすれば普通の
極当たり前の対応をしているだけなんだろうが
家を離れて見知らぬ土地を旅しているこちらからすると
道を教えてくれただけで
やさしい人だわぁ!と感激してしまう。

10代の頃に一人旅をしたときも
港で空を舞う鳥の名前を尋ねたら
「あれはとんびだよ」と、教えてくれたおじさんがいた。
初めての一人旅で実はちょいと心細かった私。
おじさんについていきたいくらい
心が温かくなったのを覚えている。

そして今回の旅。

実は、甑島に渡る港のどこかでスマホを落としてしまった。

気がついたのは船が出港してまもなくのこと。
引き返すわけにはいかない。

船の中で、おっさんが港付近の駅と交番に電話してくれた。
どちらにも届出はなかったが
交番のおまわりさんは
見つかったらすぐに電話をくれるという。

あっちゃ~!と思ったが
落ち込んでいたら一緒に旅するおっさんに申し訳ない。
それに
おっちょこちょいの女房を責めることなく
冷静に駅や交番に電話してくれたおっさんが
なんとも頼もしい。
以前だったら「何やってんだよ!?」となじっただろうに
おっさん、ホントに穏やかな人になったもんだ。

その後スマホの話は一切せぬまま、昼前に島に到着。
レンタカーで島内をドライブしていたら
おまわりさんから電話があって
スマホが見つかったから預かっておいてくれるという。

なんとラッキーなことか。

心が軽くなった分、島巡りも楽しい。
度々車を止めては、二人で写真を取りまくった。
(もちろん、おっさんのスマホで)

そのときである。
建設作業員らしいおじさんから声を掛けられた。
「こんにちは~。携帯は見つかりましたか~?」

へ、なんで知ってんの?

「実は同じ船に乗ってたんですよ。
ご主人が警察に電話してるの聞いて
大変だなあ、気の毒だなあと思ってたんです。
そうですか、見つかってよかった、よかった」

その後ももう一人
やはり同じ船に乗っていて
私のスマホ紛失を心配してくれていた人と出会う。

静かな船中でおっさんが電話をしていたから
私の不始末、みんなに筒抜けだったのね。
お恥ずかしい…。

それにしても、みんな、なんてやさしい。

自分のおっちょこちょいから引き起こした事件を
田舎の人々のやさしさに摩り替えてブログを書く私。

旅をしても
温かい人に出会っても
私の身勝手さは変わらない。





おっさんとの記念旅行

2018-09-22 00:13:56 | 日記
「小さい頃に見たあの満天の星空を
オマエにも見せたいんだ」

数年前から、おっさんが口癖のように言っていた。

おっさんは鹿児島生まれ。
2歳で母親を亡くした彼は親戚をたらい回しにされながら育ったが
9歳のとき
たまに訪ねてくる父親と二人で
父親が生まれたという甑島という島へ旅をしたと言う。

そのときに見た満天の星空が忘れられず
「いつかオマエにも見せたい」と
彼はずっと、ずっと言い続けてきた。

あ、そう。はいはい。いつか、ね。

こちらの返事はいつもいい加減。
おっさんより、友だちと旅行したい。
そう思っていたから。

しかし今年は二人揃って還暦。
しかも、結婚35周年。
さらに言えば、おっさんが倒産・破産して二人で再出発してから
ちょうど10年になる。

行くか。
さすがに、そんな気持ちになった。

「オマエにあの満天の星空を見せたい」
その言葉にソッポを向けて
おっさんを見送ることになったら
私は絶対、後悔する。
何年間もずっと、目覚めの悪い朝を迎えることになる。

そんな思いもあった。
(おっさんが先に死ぬと思っているわけで)

行こうか、甑島。
私がそう言ったときのおっさんの喜びようといったら…。

そして結婚記念日にあたる18日
おっさんと私は大枚はたいて甑島へ。

甑島。
そこは漁村に毛が生えたようなところで
高校がないため中学を卒業した子供たちが鹿児島県に渡り
渡ったまま帰ってこなくなるので
毎年100人の人口が減るという
限界集落目前の島であった。

それでも
海は美しく、空も美しく
そこに生きる人々は本当に温かく…
ここが旅先ではなく故郷であったらと
滞在中どんなに思ったことか。
(HPやパンフレットではこの島の魅力が十分に伝わっていないのが
なんとも残念!)

この島に来てよかった。
しかしそれ以上に思う。

おっさんの夢に寄り添うことができてよかった。

結婚35周年。還暦。再生から10年。
夫であるおっさんの夢に寄り添い
こんなに素晴らしい旅行ができたことを
心から、心から感謝。


ザツ

2018-09-13 22:45:17 | 日記
「なんだか最近のチカさん、俺に対して雑なんだよね」

息子が、父親である“おっさん”に言った言葉である。

おっさんの誕生日を祝うために
二人で飲みに行ったときのことだ。
話題がそこにいない私のことになり
ふと、息子がそう漏らしたのだという。

どういう意味かと尋ねても
息子自身、適当な表現が見つからないらしい。

「うまく言えないけど、とにかく雑!」

冷たい、愛情が足りない
ということではないらしいのだが…。

「そうかなあ」と、おっさん。
「俺たちに対するアイツの態度は
昔から変わってないように思うけど」

すると息子が、こう言ったそうだ。

「オヤジは昔から雑に扱われてきたから
気づかないだけだよ」

え、俺って雑に扱われてきたの?(おっさん、愕然!)

息子のまさかの発言に驚きつつも大笑いしたおっさんは
帰宅後、愉快そうにその話をしてくれたのだった。

“雑”の真意はわからないが
電話やLINEであえて息子に問いただそうとも思わないが
これだけは言える。

単純なおっさんは騙せても
鋭い息子は騙せない。





みんなみんな、ともだち!

2018-09-05 23:01:27 | 日記
認知症のハナコとサワコが
食堂でそれは楽しそうに語らっていた。

なんだか盛り上がってますねえと声を掛けたら
ハナコが言った。
「私たち、昔からの知り合いなの」
ハナコも「そうそう」と相槌を打っている。

聞いたことないけど…

ここに来る前からの?と尋ねると
「そうそう、ここに来る前からの」。

じゃあ、近所に住んでいたしたの?と尋ねると
「う~ん、私は○○町だけど、あなたは?」
「私は滋賀県の出身」
「あら、じゃあ、近所じゃなかったのねえ」

やっぱ、そうよね?
二人が知り合いだったなんて、あるはずない。
そんな話なら入居時に耳に入ってるはずだ。

しかし意地悪な私はさらに質問。
じゃ、もしかして女学校時代のお友達?

すると二人とも一瞬首を傾げたが
ハナコが「そうだったかも」と言うと
サワコも「そうかもしれないわね」と反応する。

なバカな!?

しかし、まあいいか。
二人が楽しそうなんだから。

きのうはこんなこともあった。

認知症のミネを連れてエレベーターに乗ったら
後ろからやはり認知症で、毎日が新鮮なレイが声を掛けてきた。
「あなた、お元気?」
驚いて振り返る私に、レイは言った。
「私、この方(ミネ)と同級生なのよ」

ミネももちろん驚く。
しかし、それはほんの一瞬のことで
「あれ、そうやった? ごめんね、忘れっぽくなってるから」
そう、応えたのだった。

脳にも身体にも障害はないが性格に末期の障害を持つババアたちは
人の悪口を何よりの栄養とし
認知症高齢者を嘲笑うことで無駄に長生きし続けている。

彼女たちを見ていると
ハナコやサワコやミネやレイが
地上に舞い降りた天使にさえ思えてくるのである。