ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

OK Google

2019-05-28 23:46:12 | 日記
我が家にAIがやってきた。
「OK Google 今日の天気は?」
とかいったTVコマーシャルでお馴染みの
Google HOME Miniである。

この間会った息子が
面白いから使ってみたら?とプレゼントしてくれたのだ。

天気だけじゃない。
今日は何の日?
2500円+8%は?
招き猫の由来を教えて?

聞けば、いろいろなことに答えてくれる。

さらに前もって設定しておけば
「おはよう」という声掛けに反応して
その日の天気と私の予定をアナウンスしてくれたあと
ニュースまで流してくれるし
買い物に行く前に
「ショッピングリストを教えて」と尋ねれば
あらかじめ私が音声入力しておいた買い物の内容を
スラスラと答えてくれる。
(スマホと連動しているので、そのリストは
スマホ内にも文字として記録されている。
要するに、ペーパーレスなのだ)

面白い!
もっと勉強して
CMでやっているようにオーディオともつなげちゃおう!

さてしかし、ウチにはこういうことの苦手なおっさんがいる。

とりあえず、やらせてみよう。

ね、音声でweb検索もできるから
何か質問してみて。

戸惑いながらも「OK Google」と、おっさんの第一声。
しかし「・・・・・・」
次の言葉が出てこない。
肝心な質問が出てこない。
感知されてはいけないから
私はジェスチャーでおっさんを突く。
「早く何か言って!」

しどろもどろしながら聞いた「明日の天気は?」に
彼女(音声は女性)はきちんと答えてくれた。

が、答えたあとで、彼女はひと言つけくわえた。
「大丈夫ですか? 心配です」。

こんなことまで喋るのかあ!?
驚きとともに大爆笑。
おいおい、おっさん、AIが心配してくれてるよ。
頑張れ~。


おい、早く言えよ。笑

2019-05-27 01:53:48 | 日記
パーキンソンのアツシのオムツ交換に行った。

症状が進み、アツシは今
自力で歩くこともご飯を食べることもできない。
体中の筋力低下で
声を発するのも大変だ。

しかしこの方
援助中にやたら喋りかけてくる。
「かゆい」とか
「寒い」とか
「今何時?」とか。

息が漏れているとしか思えない発声だから
聞き取るのが至難の業。

アツシさぁん、お話はあとにしてくださいね。
オムツを交換してから聞きますから。

横を向いたりお尻を持ち上げたりできないアツシだから
オムツ交換も汗だく。
丁寧に耳を傾けていたら
とても時間内に終わらない。

どうにかオムツを替えた。

はい、お話聞きましょう。

でも、テレビがうるさい。
テレビの野球中継がうるさすぎて
アツシの蚊の鳴くような声を聞き取ることができない。

アツシさぁん、テレビがうるさくて声が聞こえないの。
テレビを消しますよお。

はい、アツシさん、さっきから何を仰ってたの?

すると彼はふっふっふっと息を漏らして笑いながら言った。

「テレビを消して、と言いたかったんだ」

おい、早く言えよ!!!

珍しくアツシと二人で大笑いしたのだった。


若者に鰻をねだるオバサン2人

2019-05-24 23:53:35 | 日記
昨年8月以来ここに登場していなかった33歳の同僚
ドケチ・吉田君の、久しぶりのお出まし。

一緒に仕事をするようになって6年目。
彼は私と親友ナナミの“かわいがり”にも慣れ
いやむしろ、それを喜びと感じるほどに成長した。

そしてきのう。

吉田く~ん
ナナミと話してたの。鰻が食べたいねって。
でも、高くて無理だから
吉田君にご馳走してもらおうかって。

もちろん、ほんの冗談である。
確かに、そんな話をナナミとしたが
バス代をケチって3停留所も歩く吉田君だ。
なんでボクが!?と言うに決まっている。

そう思うからこその、軽い冗談だった。

ところが彼は言った。

「いいですね。ただし、ボーナスのあとですよ。
あと、一人5000円までですよ」

うっそーーー!?

これって、パワハラ? 違うよね?
じゃ、セクハラ? それはもっと違うよね?

真面目な話。
これまで人からいじられたり
興味をもたれたりしたことのなかったらしい彼は
ナナミと私の“愛あるかわいがり”を
本当に喜んでいるらしい。

そしてナナミと私も
なんだか最近、本当に吉田君がかわいくなってきた。

3人の鰻デートについては
後日、報告させていただきます。




ノーパン・ストライキ!?

2019-05-17 22:46:27 | 日記
チズエは、この間まで特に目立つバアサンではなかった。

ところが今、チズエが熱い!!!

このところ尿失禁や便失禁が多くなったチズエを心配し
息子と娘が
リハビリパンツ(以下、リハパン)を履くように言ってきた。

しかしチズエは納得しない。

漏らしたのはたまたま。
リハパンなんて、とんでもない!

高齢者の多くが
リハパンの門をくぐるのに戸惑い、抵抗する。
「ちゃんとトイレに行けているから」
「まだそんなものを履く年ではないから」

そして、いつしか下半身から尿臭が立ち上るようになり
汚れたパンツを箪笥の奥にしまいこむようになり
粗相したウンチの跡を消そうとして
床一面に茶色い物体を広げてしまうようになり…

家族やケアマネに説得を繰り返され
やがて、観念。

受け入れるまでにはこうした葛藤の道のりがあり
チズエは今まさに、この道であがいている。

どんなに勧めてもリハパンをはかない母親に業を煮やして
息子と娘はきのう、とうとう布パンツを撤収した。
それがなければ仕方なくリハパンを履くだろう
という目論見である。

これに対し、チズエは猛然と反発した。
その反発は事務所にも向けられ
今日、彼女は事務所にやってくると
怒りを露にして言った。

「無理やりオムツを履かせるなんて、人権侵害だわ!」

夕食時、なかなか食堂に来ないチズエを心配して
職員が部屋まで迎えに行った。

そこで職員が見た衝撃の光景。
なんと、チズエは下半身むき出しのままベッドに寝そべり
「誰がなんと言おうと
私はリハパンなんか履きませんから!」
そう、言い放ったのだった。

前代未聞のノーパン・ストライキ。

チズエの頑なさには脱帽するが
じゃ、垂れ流しか!?と
職員一同、頭を抱える次第である。


100歳のモンスター

2019-05-12 00:34:52 | 日記
緊急入院した100歳テルエが
退院後に見事な復活を見せた話は
3月22日付けのブログで書いた。

そのテルエが再び入院。
今度こそ、最期である。
あとは好きなものを食べ
静かに逝かせてあげてください。
医師からそう言われて退院してきたのが
3週間ほど前のことだった。

家族も私たち職員も、看取りの準備をはじめる。

食事は摂れないようだから
ゼリーやプリンなど甘くて喉を通りやすいもので
冷蔵庫を満たし
とても起き上がれるような状態ではないから
排泄はベッド上でのパッド交換としよう。

しかしこのテルエ、やはり只者ではなかった。

だんだんと、オムツ交換の際にも
身体の向きを変えたりお尻を持ち上げたりといった
協力動作を見せ始め
そのうち、部屋を訪ねると
涼しい顔でベッドに座っていたりするようになり
ついに先週半ば
念のためトイレに隠してあった車椅子を取り出して
部屋中を車椅子歩行するようになってしまった。

「いつまでも迷惑をかけているわけには行かないから
一人でリハビリをしてたのよぉ。
だからホラ、足だってこんなに動くのよ。見て、見て!」

バーにつかまって1、2、1、2と
腿を高く上げて足踏みしてみせるテルエ。
お、お前は化け物かーーー!?

同僚のナナミは言った。

テルエは要介護4じゃない。
妖怪度5だ!!!