ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

生きたいように生きるヤツの勝ち、なのね。

2017-04-30 19:03:49 | 日記
ハツエはほとんど視力が失われている。
耳も遠く、左耳に口を近づけて喋ればようやく聴こえる程度だ。

そのハツエには、50をちょいと過ぎた独身の一人息子がいる。
その息子・コウイチは全盲だ。

さて、去年の秋にハツエが入居してきてから
毎日コウイチが訪ねてくるようになり
いつの間にやら、住みつくようになった。

ほとんど見えていないのに
朝、役所に勤務する息子をエントランスまで見送り
IH調理器を使って炒め物や煮物をつくり
ベッドからトイレまで安全に歩けるよう取り付けた
福祉用具であるバーに
息子の洗濯物をかいがいしく干すハツエ。

自分の掃除も洗濯も入浴も服薬も
すべて介護サービスの恩恵を受けているハツエが
母親としてはしっかり“自立”しているのである。

おかしくねーか?と、疑問がふつふつ…。

ハツエよ、そこまでしっかり息子の世話をできるなら
何も我が介護サービス付き高齢者住宅に
入居する必要はないんじゃないか?

そしてコウイチよ
何ゆえオマエまでがウチで暮らしてる?
老いてなおオマエの世話を焼けるくらいしっかりした母親の世話を
何ゆえ私たちが世話してる?

しかしこちらのそうした思いもどこ噴く風。
コウイチは趣味のバンド活動を思いっきり楽しみ
この間はボストンマラソンに参加してきたと
職員にお土産までまで買ってきた。

そうそう、住宅近くの通りのど真ん中を堂々と白杖で歩き
私が乗っているバスを止めたこともあったっけ。

目が不自由であろうと
白杖を左右に振りながら住宅内の廊下を歩き
他の利用者たちの歩行を妨げようと
まったく臆することないコウイチ。
“遠慮”の二文字を知らないかに見えるほど
堂々としているコウイチ。

なんか、幸せそうだ。

結局
生きたいように生きたモンが勝ちなんだなと
思ってしまうのである。

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