荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

祝重賞制覇『ブレイキングドーン』

2019-06-30 17:04:57 | 競馬
 提携する高昭牧場生産のブレイキングドーンが『ラジオNIKKEI賞(GⅢ)』を勝ちました。
 当育成場の育成馬ではありませんが、2016年のセレクトセール当歳市場でお手伝いしたこともあり、とても嬉しいです。
 その日、高昭牧場さんで上場した馬は3頭。ノヴェリスト、キングズベスト、そしてヴィクトワールピサ産駒というセレクトセール当歳市場としては目立たない種牡馬の仔たちだったので、1頭も売れないのではないかという不安もありましたが、ノヴェリスト産駒とヴィクトワールピサ産駒が売れました。そのヴィクトワールピサ産駒がブレイキングドーンです。
 正直なところ普通の馬に見えただけに、購買していただいた前田幸治様とノースヒルズ関係者様の眼力には、本当に恐れ入ります。血統もセレクトセール当歳市場では目立ったものではないだけに、どのような基準で選んでいただいたのか秘訣を教えていただきたいくらいです。
 購買、育成していただいたノースヒルズさんの関係者皆様はもちろん、完璧に仕上げていただいた調教師の中竹先生、そして完璧にエスコートしていただいた田辺騎手には心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
 今度は育成馬で重賞を勝てるよう精進していきたいと思います。


 ※下の写真はセレクトセール当歳名簿のブレイキングドーン。
  セレクトセールのサイトから拝借しました。
 

先週の注目馬『ブルトガング』

2019-06-24 18:43:04 | 競馬
 昨年の開幕週で衝撃的な勝利を飾り、今年の桜花賞を勝ったグランアレグリア。その全弟で母タピッツフライの最後の産駒となるブルトガング。早い段階から注目を浴び話題となってきましたが、土曜日の東京5レース(芝1800m)で出走となりました。
 16頭立てにもかかわらず、単勝は1.5倍の断然人気。レースではスタートで煽り後方から。やや押っ付け気味に中団にとりついていくも、手応え的には不安を覚えるレース中盤。馬なりで上がってくるわけでもなく最後の直線へ。馬場の内側から状態が良い外側に持ち出すと残り200mで先頭へ。そこから1ハロンで2着のシェクロエに4馬身差をつけて圧勝。勝ち時計1.50.1。
 完成度が高かった姉に比べると幼さが目立つレースぶりですが、スケールの大きさは疑いようがなく、かつ伸びしろもまだまだありそうです。
 父ディープインパクト、母はタピッツフライ、母の父タピット Tapit、全姉にグランアレグリア。近親にベッラレイアがいる血統。血統から見ると距離はマイルから中距離が向いてそうな感じですが、レースぶりを見ているともう少し持つのかもしれません。生産は安平町ノーザンファームさん。
 
 レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

 同業者やこの仕事に興味がある方はコメントくださいね。

先週の注目馬『ワーケア』

2019-06-11 18:51:54 | 競馬
 新馬開幕週に比べて2週目はレベルが落ちるのですが、今年も例外ではなく2週目最後の新馬戦を迎えるまではピックアップする馬がいない状態でしたが、先週最後の新馬戦である日曜日の東京5レース(芝1800m)で開幕週にひけを取らないレベルの馬が勝ち上がりました。2年前のセレクトセール当歳で1億1500万円という高額で取引されたワーケア。パドックではまだ幾らか余裕がある体つきのように見えましたが単勝は断然人気の1.9倍。
 レースでは、前半1000mが1.o4.9という稍重としても緩い流れを、先団を見る形で追走。4コーナーで前が壁になりそうだったのでルメール騎手は大外に。さすがに厳しいかと思いきや一気に突き抜け、逆に2着ウインカーネリアンに2馬身半の差をつけ快勝。勝ち時計1.51.0は平凡ですが、上り3ハロン33.2秒は非凡です。
 父はハーツクライ、母は『伊オークス』『伊1000ギニー』の勝ち馬チェリーコレクト、母の父オラトリオ Oratorio は2歳戦、春のクラシックは一流半といった感じでしたが、『エクリプスS]で当時無敗だったモチヴェーター Motivator を破り、『愛チャンピオンS』でも返り討ちにし一流馬の仲間入りをしました。当時はなんでオラトリオなんかに…と思ったものです。半姉に今年の『福島牝馬S』3着で4勝をあげているダノングレースがおり、近親には母の半妹に昨年の『凱旋門賞』2着馬で『ヨークシャーオークス(G1)』『愛オークス(G1)』などを勝っているシーオブクラス Sea of Class 、『リディアテシオ賞(G1)』の勝ち馬で今年の『チューリップ賞』3着ノーブルスコアの母であるファイナルスコアがいる、現在かなり活気がある血統で成長力もありそうなので先々が楽しみです。生産は安平町ノーザンファームさん。
 
 レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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先週の注目馬『リアアメリア』

2019-06-07 22:02:02 | 競馬
 早いもので、『日本ダービー』も終わり、新馬戦が始まりました。一昔前は開幕週の新馬戦は早熟馬の集まりのような印象が持たれ、クラシックに直結する印象はありませんでしたが、6年前のイスラボニータを皮切りに、一昨年のケイアイノーテック、ステルヴィオ、そして昨年のグランアレグリアと春のG1や古馬混合G1を取る馬が現れ、すべての新馬戦の中でも注目を集めるものとなりました。それに呼応するかのように、今年も将来性豊かな馬たちが勝ち上がりました。レイデオロの下で断然の一番人気になっていたアブソルティスモを左手前のまま(ゴール直前で変わりましたが)内に刺さりながら差し切ったサリナス、煽りながら発馬し最後方からの競馬になりながら直線あっさり交わしたモーベット、普通の週ならば間違いなく注目馬として取り上げられたであろうこの2頭を差し置いて、もう皆さんご覧になったであろう今年最初の新馬戦で勝ち名乗りを上げたリアアメリアをあげずにはいられません。
 土曜日の阪神5レース、今年最初の新馬戦(芝1600m)は7頭立てで、リアアメリアが単勝1.2倍の断然人気。しかし、こともあろうか出遅れ。道中も口を割ってかかりっぱなしで消えるのかと思いきや、4コーナーで先頭集団にとりつくと大外からまとめてかわし先頭へ。馬なりのまま後続を突き放す一方で、最後は2着ラルゲッツァに8馬身差をつける圧勝。勝ち時計は1.36.5。しかも川田騎手は後方からの競馬を教えるために意識して出遅れたというニュアンスのコメントをしており、将来を意識していること、そしてそのような競馬をしても勝てるという自信があったからこその行為であり、ここでは物が違った印象です。

 父はディープインパクト、母リアアントニアはカナダの2歳牝馬チャンピオンで『BCジュヴェナイルフィリーズ』の勝ち馬でもあります。母の父はロックポートハーバー Rockport Harbor。母系が早熟傾向なところがやや気にかかるところで、特に母の父ロックポートハーバーは自分が海外競馬に一番嵌っていたころに活躍した馬で、2歳時は4戦4勝でクラシック候補にあげられましたが、ケンタッキーダービーに向かって下降線を描き、前哨戦の『レキシントンS』で人気になりながら惨敗し、ケンタッキーダービー参戦を断念した経緯があるので、不安がないわけではありませんが、父は何といってもディープインパクトなのでその辺は補ってくれるでしょう。生産は安平町・ノーザンファームさん。

 レース未見の方はJRAのHPで見られるのでチェックしておいてくださいね。

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