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体外受精ステップアップセミナーでのご質問について:2018/1/13開催分①

みなさまこんにちは
2018年1月13日(土)に開催されました体外受精・ステップアップセミナーに多数のご参加ありがとうございました。大変多くのご質問をいただき、セミナー中にお答えすることができなかったため、このインフォメーションライブラリの場所にてお答えさせていただきます。

Q1. 体外受精後の日常生活での特に注意すべきことはありますか(ランニングやサッカーなどの運動、日々のポイントなど)
A1. 採卵は、麻酔をかけ卵巣に針を刺して行います。そのため、個人差はありますが、麻酔の影響で多少しんどくなったり少数ではありますが、安静を保たないことで卵巣出血を起こす可能性もあります。できれば採卵当日は帰宅後、ゆっくりお休みになられることおすすめしています。翌日以降の日常生活の制限は特にございません。
移植後も、特に安静にしておかなけらばならない理由もありませんので普段通りの生活を送ってください。
ストレスをためない生活を送っていただくことが一番です。

Q2. 胚移植の際、おしっこをためることはしますか?
A2. 移植は基本的に腹部からの超音波を併用して実施します。そのため、腹部からのエコーで子宮が見えやすくなるように尿溜めをお願いしています。また、尿溜めを行うことにより子宮が押され、少しまっすぐな状態に近づきます。そのため移植がよりしやすくなるというメリットもあります。
尿を溜めていただく具体的な方法は、移植時の説明でさせていただきますのでご安心ください。

Q3. 採卵当日に精子も持込みまたは採精するという事ですか。
A3. はい、基本的に採卵当日のお持ち込み、もしくは院内での採精をお願いしています。お仕事の都合などで採卵の日の精子のご用意が困難な場合は、あらかじめ精子を凍結しておくという方法もございます。ただし、その場合は当院では顕微授精が必須となります。

Q4. 採卵結果が不良ということも多いでしょうか。
A4. 個々の患者様の状態にもよりますが、採卵しても卵子が取れなかったということもあります。また、採卵できても卵子の状態が良くなく受精しないことや分割がうまくいかないこともあります。
採卵から受精、移植までの一つ一つが大事なステップになってきます。
もちろん、私たちは精一杯いい結果が出るよう援助させて頂きますが、万が一うまくいかなかった時も、その過程で得られた情報は次回以降の治療に活かせる大事な情報となります。一つ一つのステップを大事に進めていきましょう。

Q5. 妊娠に必要最低限の睡眠時間はどれ位ですか?
A5. 一般的に理想的な睡眠時間は7~8時間と言われています。しかし、よく眠れたと感じる睡眠時間は人によって様々でそれよりも短い睡眠時間でも十分な睡眠と感じる方もおられます。妊娠に必要な睡眠とは長さよりも質だと考えられます。時間的に十分な睡眠を取られたとしても昼夜逆転の睡眠では妊娠に向けて健康的とは言えません。適切な時間にご自身が十分と思える睡眠を取って頂くことが一番だと思います。

Q6. 体外受精治療を一度行うのに何回の通院が必要か(フルタイム勤務の為できるだけ通院回数をおさえたいと思っています)
A6. 下記の図をご覧下さい。



基本的に月経が始まりましたら2~3日目に一度診察を行い、卵巣の腫れなどがないか確認を行います。無事、採卵に向けての準備が開始できましたら周期7~8日目頃と10日目頃に再度診察を行います。通常であれば、この通りの3回ほどの診察で採卵の日程が決まることがほとんどですが、患者様の状態やその周期のによっては診察回数が増えることもございます。
大きな治療になりますのでなるべく治療を優先して頂くことをお勧めしますが、どうしても都合がつかない日がある場合はあらかじめお伝え下さい。

Q7. 顕微授精で元気な精子を選ぶとありますが、基準は何かあるのでしょうか?
A7. 顕微授精時に使用する精子は、簡単に言えば、“動きが速くて形がキレイなもの”を選んでいます。キレイな精子とは、当院で行っている精子形態正常率(Kruger)検査を基準として判断しています。このKruger検査はWHOラボマニュアル第5版2010年刊行(WHO laboratory manual for the Examination and processing of human semen FIFTH EDITION)に記載されている、精子正常形態の定義を参考に胚培養士が行っています。

精子の構造は頭部・頚部・尾部の3つに分類され、どれか一つでも問題があると、異常形態精子と判断されます。特に頭部は染色体が詰まっている部分のため、その大きさ・形・空砲の数やサイズに注意して観察しています。頚部は車で例えるとエンジン部分にあたり、精子が運動するためのエネルギーをつくる部分です。その部分が太過ぎないか、余分な細胞が残っていないか、最適な位置にあるかなどを確認します。尾部は短かすぎないか、2本ないかなどをみています。

当院の顕微授精はIMSI(イムジー)法を採用しており、Kruger検査と同じ1000倍の高倍率で精子を観察し、選別しています。当院の胚培養士はKruger検査で精子を観察し慣れているため、精子の動きが速くても、形がキレイな精子や悪い精子を瞬時に判断できるのです
IMSIについてはこちら
Kruger検査についてはこちら

Q8. 動画で顕微授精の際、動いていない精子を選んでいましたが、撮影のためですか?
A8. 顕微授精では精子を針先で捕まえて、培養皿に精子を擦り付けて、運動している精子の動きを止める作業を行います。これを精子不動化といいます。精子が動いている状態で卵子の中に注入すると、卵子の中で精子が泳ぎ回り、卵子が死んでしまう恐れがあります。そのため、精子不動化という作業は、顕微授精の中でもとても重要な工程のひとつになります。

セミナーで観ていただいた顕微授精の動画では、動画開始後すぐに運動精子を捕まえているため、そのように観えたのではないかと思います。動画を1コマずつ写真にしてみました。捕まえた精子に矢印を付けています。



Q9. 培養士さんはどのくらいの経験をお持ちの方なのでしょうか?何か資格を持っているのでしょうか?
A9. 当院では現在10年目、5年目、1年目(新卒)の胚培養士が3名在籍しております。いずれも生物系の4年制大学出身者で、大学で実験動物の卵子や精子を扱っていました。10,5年目の胚培養士は日本卵子学会が認定している生殖補助医療胚培養士資格を有しており、10年目の胚培養士は5年ごとに行われる資格更新審査に合格しています。当院では、一人前の胚培養士になるには2-3年かかると考えており、1年目の胚培養士は日々技術と知識を身に付けている途中です。
胚培養士についてはこちら

書ききれない程のご質問をいただきました。続きは、次回後日更新いたします

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