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人工授精(IUI)について

みなさま、こんにちは
今回は人工授精(IUIまたはAIHと略)についてお話させていただきます

不妊症に対する治療法としては、大きく3つのステップに分けることができます。
第一段階はタイミング治療、そして第2段階が今回お話する人工授精、第3段階が体外受精となります。
人工授精は、精子を確実に卵子と出会わせるため、できるだけ多くの質の良い精子を、近道して子宮に送り届けるというものです。
言葉のイメージから抵抗を持つ人も多いと思いますが、実際は子宮内に注入された精子が自力で卵管を通過し、卵子と出会い、受精→着床→妊娠という過程は、ほぼ自然妊娠と同じです。麻酔の必要も痛みもほとんどない、身体への負担が比較的軽い治療法となります。


では、少し詳しくお話ししますね

妊娠率はどのくらい?
お薬などを使用しない自然な周期の場合、約6~8%、排卵誘発剤などでホルモンを刺激した場合は約10~15%で、タイミング治療の約2~3倍となります。卵巣刺激を併用した場合の人工授精では、3~4度目実施までに約3割の方が妊娠されています(体外受精を1回受けるのと同等の成績)。


費用は?
約2~3万円となります。

どういう人が人工授精を受けるの?
・精子の数が少ない、運動率が低いなどの精液所見に異常がある
・性交障害がある
・性交後試験(フ―ナーテスト)が不良である
・タイミング治療でなかなか妊娠しなかった
・年齢・卵巣機能低下や子宮内膜症などの不妊原因があり、積極的な治療が望まれる場合 など
                     

人工授精までの流れは?
治療を希望する月の月経開始5日目ごろまでに来院していただき、治療方法の選択(人工授精をするかどうか)、いつ頃が人工授精になりそうなのか、次回の診察の時期、お薬などの手助けが必要かなどの相談を医師と行います。排卵誘発剤などを使用する場合は、この時に処方を受け、内服を開始していただきます。
その後、排卵前の時期(月経開始後11~12日目ごろ)に、来院し、超音波検査を受けていただきます。
卵胞の育ち具合や子宮内膜の厚さを確認することで、排卵日の目安が分かり、排卵検査薬(クリアプラン)の開始の指示が出ます。
基本的には、排卵検査薬で陽性が出た翌日に人工授精の実施となります。ただ、排卵検査薬での判定が困難な場合や、陽性の翌日に必ずしも来院する事ができない場合もあるため、排卵検査薬で陽性が出た当日に人工授精を実施したり、卵胞の大きさによっては陽性を待たずに排卵を促すための注射を打って人工授精をするということも可能です。

人工授精当日の流れは?
人工授精の当日、病院の採精室もしくは自宅にて専用の容器に精子を採取していただきます。精子をお預かりした後に、顕微鏡で良好運動精子の数を確認し、培養液で洗浄し、運動性の良い精子のみ回収します(約1時間)。精子の処理が完了したら、診察室で待機し、その間に、検査スタッフより精子の状態の説明を受けます。
その後、医師がやわらかいカテーテルで精子を子宮内に注入し、人工授精が行われます。
終了後は、ベッドで10分程安静にし、会計後、帰宅していただきます。
人工授精では、洗浄した精子を注入しますが、子宮内感染を起こす可能性があるため、予防的に抗生物質の内服を1日のみしていただきます。
お体の状態によっては、黄体ホルモンを補うための注射や内服を受けていただく場合もあります。

人工授精のできる時間帯は?
一番早い時間で8時半より持ち込み、もしくは採精室の予約が可能です。
午前診での人工授精をご希望の場合は、遅くても12時頃までに、午後診での人工授精をご希望の場合は、16時頃までに精子をお預かりさせていただくようお願いしています。
時間の経過とともに精子の状態も変化するため、採取してから2~3時間以内での持ち込みをお願いしていますので、その事を加味して、予約をお取りください。

人工授精の日に精子を準備できるかどうか分からない場合は?
人工授精までにあらかじめ精子を採取し、凍結保存しておくことも可能です。
当日、準備できなかった場合は、凍結しておいた精子を融解処理し、人工授精に使用することができます。

最後になりますが、
人工授精を受ける前には、ご夫婦の感染症(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV)の確認を必ず実施しております。
確認できない場合は、実施することができませんので、ご注意ください。

当院では、人工授精を受けられる方には事前に人工授精についての説明をさせていただいております。少しでも不安を取り除き、安心して治療に臨めるようにしっかりサポートさせていただきますので、ご質問やご不安な点があればお気軽にお声かけください
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