当院では移植の前などに、培養士から患者様へ受精卵の状態をご説明させていただいております。
その際に患者様から
「7細胞期って…奇数だと分割が異常ってことですか」
「受精卵の分割は偶数にならないといけないんですよね」
という質問を頂くことがあります。
受精卵の発育は1細胞(前核期)→2細胞期→4細胞期→8細胞期→…という流れで分割していくことが一般的に知られていますが、では割球の数が奇数の時とはどういう状態なのでしょうか
①正常分割
患者様にお伝えしている受精卵のグレードは、その観察を行なった時点でのグレードになります。分割とは、全ての割球が同時に割れるのではなく、割球ごとに時間差がありますので、正常分割の場合であっても、観察のタイミングによっては割球の数が奇数に見えることがあります。
たとえば割球が5個や7個に見えるときは、4細胞期→8細胞期へ進む途中段階だと考えることができます
②異常分割
受精卵が異常分割した結果、割球数が奇数になる場合があります。
1個の割球が3個以上に分割する
例…1細胞期→3細胞期、2細胞期→5細胞期(2個+3個の状態)など
割球の一部が途中で分割停止する
例…4細胞期→7細胞期(1個が途中で停止)
と、パターンは様々です。
①と②の判断や妊娠の可能性について
正常分割か異常分割かについての判断は、当院ではタイムラプスインキュベーターを用いて行なっています。
割球の数が奇数であっても、正常に分割しているものは妊娠の可能性が十分ありますので、移植や凍結保存におすすめしています。また異常分割がみられた受精卵に関しても、異常が少ないもの、形態が良好なものにつきましては、妊娠する可能性はあるとしています(割球の一部が分割をやめても残りの割球で発生を続けることができるため)。
いかがでしょうか割球数が奇数であった場合でも、一概に分割が異常ということでもありませんのでご安心ください。
ご質問や気になる点があれば、胚培養士や臨床検査技師にお気軽にお尋ねください
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