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不妊原因(男性因子)について①

みなさま、こんにちは

今回のラボ通信は、不妊原因(特に男性因子)についてお話させていただきます。

最近よく言われるようになってきましたが
『不妊原因の約半数は男性因子』であることをご存知ですか?



実は、不妊症は女性だけの問題ではありません。男性側、女性側もしくは両方に、妊娠できない理由があるのです。

男性因子とは主に以下のような、精子に関することがあげられます。

● 造精機能障害(乏精子症・精子無力症・乏精子無力症など)
 精子をつくる機能に問題があります。男性不妊のほとんどがこの造精機能障害です。この造精機能障害の多くは明らかな原因が不明です(特発性造精機能障害)。

 WHO(世界保健機構)マニュアル(2010)の基準値
  ●精液量:1.5ml以上
  ●精子濃度:1500万/ml以上
  ●総精子数:3900万以上(液量×精子濃度)
  ●精子運動率:40.0%以上
  ●正常形態精子率:4.0%以上(クルーガー検査)


この基準値は、1年間に自然妊娠したカップルの精液所見の下位5パーセンタイル(自然妊娠ができる最低ライン)を出した数値です。正常値ではありませんので、ご注意ください。そのため当院では、下限基準値と呼んでいます。

この基準値を満たしていない場合、項目によって以下に分類されます。
 ○乏精子症:精子濃度が1500万/ml以下
 ○精子無力症:精子運動率が40.0%以下
 ○乏精子無力症:精子濃度1500万/ml以下+精子運動率が40.0%以下
 ○奇形精子症:精子形態評価(クルーガー検査)4.0%以下

基準値以下の場合は、早めに人工授精や顕微授精へのステップアップをおすすめしています。また、お薬の内服や(精索静脈瘤がある方は)手術によって、精液所見が改善される場合があります。少しでも気になる場合は、専門医による男性不妊症外来のご受診をおすすめいたします。

精液所見は、体調や採取場所などによって変動します
精液検査の結果が不良だった場合は、変動の度合いを知るために、検査を複数回受けていただくこともあります。また、冬場にご自宅から精液を持込まれますと、精子運動率が急激に低下する恐れがあります。その場合は、院内採精による再検査をしていただく場合もございます。

禁欲期間は短めに
精子は毎日つくられています。禁欲期間を長めにとると、精子の質がどんどん悪くなってしまいます。禁欲期間はなるべく短めにとっていただくと(例:1週間に1回、3日に1回など)、質の良い精子が出やすくなります。

暴飲暴食は控えましょう
糖尿病や肥満による勃起障害を引き起こす恐れがあります。また、精子の状態も悪くなります。規則正しく、健康な生活を心がけましょう。

以上が、男性因子についてのお話でした
男性不妊については、すべてを語りつくせないので、つづきは次回にさせていただきます。ご意見・ご感想などございましたら、いつでも胚培養士にお声かけください

当院では、男性泌尿器科医師による男性不妊症外来を行っております。ご予約はインターネットまたはお電話でお願いいたします
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