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電子と原子

2012年06月29日 | Weblog
5月5日に
日本の原発ぜんぶ停止した
と聞いて
私はずいぶんホッとした

なのに、大飯の原発が再稼働すると言う

「エーッ」
と思い、
先週、台風の日に
福井へ行ってきた


大飯原発は
地元では大飯電原と呼ばれていて
沖縄本島の縮小形によく似た、細長い半島の先っぽにある

半島の付け根や島の東側の浜沿いの漁村や畑は
昔からそこに住む人の雰囲気があるが、

それ以外の
橋、道路、建物、看板、観光施設、トイレ…
すべて立派

関電と行政が
金に物言わせて作らせたなぁとわかる

新しくて清潔で…
でも、よそよそしい感覚も強い…


誘致された大企業と、地元の、気遣いのズレが出てる感じ



現地に着いたときはもう夜で、
半島入ってトンネル出ると車のナビがおかしな指示ばかり出すので
念のため、

入口警備の人に
「これが大飯の原発ですか?」
と尋ねたら
「はい。原発です」
と教えてくれた


へぇー
と言って見上げたけれど
その入口からまだトンネルいくつか越えなきゃ、中には入れないのだそうだ


台風が近づいていて
雨風が吹くなか、
原発がよく見える場所ないかなぁ?としばらく走ってみたが、よくわからなかった

そう言えば
高村薫の小説「神の火」で、主人公が原発に忍び込む場面でも、
原発は外部から攻撃されたらエライことやから警備が厳重やないとアカンのに、丸見えやないか…
という場面、あったよなぁと思い出す
原子炉を人質にして密出国を謀る、テロの話やったけな…


あれは90年代の小説の中の出来事だったけど
今の私らの現実は

原子エネルギーは、人間の手に負えるものではないのだ、
とフクシマで思い知らされた


発電所という箱に入っていれば平和利用と言えたのかもしれないが

そこから外に出て
放射能と呼ばれた瞬間から
生物全般の生命をおびやかす兵器になってしまうのを見たからには…

首相や電力会社がいくら
「安全です」
と言っても
「…けどなぁ」
と思うのが当たり前やと思う

なのにろくな説明も安全の根拠も示さず、再稼働とは
あんまりにもひどい
生命をバカにした、自虐行為だ…



車の窓を開けてCDをかけた

生まれても嫌われてばかりの
ウランやプルトニウムの重たい原子達が
音楽や風のような
軽い粒子に生まれ変われたらいいね
と思って、雨の中で音楽をかけた

原発を包む山は
ひっそりとしてとても静かで
なんだか棺の中にいるような気分だった



腹が減ったので
半島の付け根に戻り、駅近くの居酒屋さんに入ると
地元の会社の社長さんがしこたま酔って
「わしらががんばってきたから今の便利な生活があるんやぞ~」
と半ベソの顔で
何度も何度も叫んでいた

お店のご主人は
「今は原発のことばっかり言われますが、夏は海水浴や観光でにぎやかになる、いい所なんですよ」
とおっしゃっていた


原子力は、
生物として人間DNAにはそぐわない物質だが、

電力会社として、
この町にもたらされた労働と賃金は、ひと家族の一生を保障してくれるのにじゅうぶんにありがたいものだったんだろう

ここを訪れて
人や町のやさしさ、品のよさ、地域のつながりの強さを感じる


簡単に
原発賛成か反対か
と結論づけれることではなかったのだろう…もう何年も

けれど…
やはりあの事故を思うと
「己の一生」
よりも
「これからの百年」
のことが頭をよぎる

現在の便利
よりも
未来への望み、

経済の回復
よりも
心からの安心
のほうが大事だとわかる

今がその大事なときだと思う

起こってしまったことをなかったことにできてしまえるほど、
脳は器用ではないし、
それをすべて解決できるほどお金に力はない

(この十年、世の中や家族や町の変わりようを見ていて…そう思った)


原発はなくす方向で政策を考えてほしいし
今すぐ再稼働というのは
無理がありすぎるんじゃないか?

都会の人も
田舎の人も
原発の地元の人の中にも
そんな想いの人達が
増えてきている

たぶんこれからの主流になるだろう

私だって
そう思ったから、ここへ来てみたのだ



若狭本郷駅の近くに
大飯原発反対見守りのテント村がある

台風が去って晴れた翌日、そこに寄ってみた


全国の原発をまわって
原発反対をとなえるお坊さんの座り込み運動や
農民連?の人達のカラフルな脱原発の横断幕の話をきいたりした
熊本や静岡から来て泊まっている人もいた


政治や活動や運動のことはよくわからないが

数によって、訴求力がぜんぜん違ってくること、
今、ここで稼働停止できたら、脱原発へ大きく前進すること
このふたつの話が頭に残った


朝、
原発への通勤バスが走ってゆくのを見た
乗っている人達の顔は、能面みたいに表情がなくて
満員なのに葬列車みたいだった

1台2台…次々に
山道のカーブを曲がってはトンネルへと消えてゆく…

さまざまな板に挟まれて、あの人達が
いちばんつらいだろう…



一週間後の27日
株主総会で、電力会社が、脱原発依存提案を拒んだことが新聞記事に載っていた

翌日には関電から
「原則、実施しないが、万が一のための計画停電の予定区分け」
を知らせるハガキ一枚が届いた

(意外と原発ナシの覚悟しとるんかもしれんなぁ)


7月1日午後9時から
大飯3号機の原子炉を起動(制御棒を抜くとゆーこと)するという

それまでにもいっぺん
大飯に行こうと思う


誰が良いとか悪いとか、
何が正しいとか間違っているとか、
そういうことではなくて

人間の手に負えなかった「原子力」の底知れない怖さを知ったから、
アカンもんはアカンやろ
と伝えに行くのだ



文責 大河真弓

水無月

2012年06月15日 | Weblog

6月はじめは
日食月食日食…と食あたりしそうなほど食つづきでした

皆さんはどれか見られましたか?


私はどれも見(れ)ず★

極大きいもの達が
己の視界の中で立ち替わり入れ違いするという様を想像するだけで
鈍い神経がついて行けず…
考えてるうちに
時間と空間の把握がわかんなくなってしまい、
そのまま寝過ごし(笑)


考える前に
見るものだったんやろな~(>_<)

でも、
それらの現象が起こる前後には必ず
風が強く吹いてましたね

あれは
星々が一直線に並ぶことで宇宙からの風通しがよくなるんかなぁ
と布団の中で思ってました

日食にしても月食にしても地球上の一点に腰をすえて
そこから宇宙の方向を見た場合の視点です

ほんだら逆に

宇宙のどっかから
地上の私たちを見ている視線は
あるのだろうか?
ないかな?


自分が思ってるほど
周りはこっちを見てないもんやけど(笑)




放射線状に広がる視線は
全体を見渡すために
細部はぼやけて、

凝視するため焦点を合わせてゆくと
周りの景色は消えてなくなる…

遠くを見ること、
近くを感じること。

実際に見えなくても
大事なことごと。


昆虫の複眼は
全体を見ながら細部を確認することもできるそうやから
人間より頭ええんちゃうかなぁ

…と思ってたら

複眼は、焦点あわすレンズの精度が低く、細かいものは見えないそうです

でも
コマ割は得意で、
一秒間で見える画像の枚数は、人間よりだいぶ多いそうな…

眼がようけあるんやから
当たり前か


虫の羽ばたきがあんなにせわしないのは
一秒が濃いからかもしれんなぁ

で、自分より速いもんを見たら
「五月蝿い」
と人間はイラつくんやね
(笑)



そうこう言ってるうちに
梅雨入りしました




田んぼに水が入ると
空気の粒がいっぺんに潤って
景色が水彩画になります


11日晴れの日
甥っ子達つれて
「動物ふれあい村」に行くと
カピバラやアルパカなど
南米の原生動物がいました

なんていうか…

犬とか猫は人間と近いのか、発する感情がストレートでわかりやすい気がするのだけれど

カピバラ達は、
あまり何も要求せず、近づくと逃げ、よそをみてると後ろにいたりして、人をくったような動きをする

プールに入ってゆっくりオナラした後、続けてゲップするときの顔は
お風呂にいれてもらったときの新生児と老人にそっくりだった

時間軸が大きいんだろうな

私たちが檻を出たあと、少しのすきまを鼻で開けて外に出ようと試みていたところを見ると、臆病者ではなく、賢い。





16日から本格梅雨入りです


仕事をしないでいると
考えることが飛び飛びでちっともまとまりません
ごめんなさい



◆「スピリットの器」徳井いつこ著…アメリカプエブロインディアンの作る焼きものを辿る本。

素朴で力強いな素焼きには、その土地の粘土がかかせないのだが
その場所は冷戦時代の原爆実験で放射能の数値がずいぶん高い

だからそこに昔から住む人以外は人がおらず、警備をしているだけで、政府は何もいわない…

フクシマや、日本そのものがそうなっていくのか…



週末はよる音♪

◆6/8 output…はじめての場所で、前と後ろのスピーカーからでる音に体ごと挟まれて、ハンバーガーの具になった気分
くたくたになるのが楽しい

RYOUSEIBAI(shimiz×猿吉×KND)のライブが
凄いと言うのかなんと言うのか…
雷とか滝の前に立ってるみたいな圧倒感
マイナスイオンで卒倒☆
いつか夏野外で聴いてみたい


◆6/9 ROCKYOU…ロックの日。洋楽をぜんぜん知らない私は、8ビートにキュウキュウに詰まった魂の叫びを全身で聞くことができることが嬉しい。

それにしても90年代の音って、バッハのレクイエムみたいで、格好いいけど重層病的に暗い…その当時は気づかんかったけど、あの音で明るい曲はないんかな?

聴けてよかったDJ TAN IKEDAさん♪
レコードと一心同体
音と完全一致やねん

他のDJさんも
かけてる本人がいちばん楽しそう♪大安心


◆6/13 JUNN投げ銭ライブ…福岡の旅人ミュージシャン♪アコギ1本で男気あふれるグルーヴをはじき出す
カバーも歌ってたけど
オリジナルの曲が断トツ格好よかった


場所は
上ふたつ京都、
JUNNくんのは相生。

いろんな音楽が聴けて嬉しい

夜のくぼみと体温

2012年06月04日 | Weblog
湿り気が多くなり、
空気の粒が水を含んで膨張している

目も耳も
なんとなくぼんやりとしてくる夜のしずかな時間、
樹々がつよく匂いだす

海沿いでは
つよい灯りをつけた漁船があちこち、
魂みたいに行き来するのが見える

満月がちかいけれど
月は雲かさにかこまれて光閉ざされ、
星々の姿も
飛行機の気配もわからない

ときおり海面を
パシャン
と跳ねるボラのジャンプが水面に黒い輪の影を描いて広がってゆく




6月1日からアナゴ漁がはじまりました

長い魚は夜の魚。
夕方に網をはめて、夜に引き揚げます

去年くらいから
ウナギの稚魚の超高値の話題を聞きますが
同じような性質のアナゴの稚魚も、今年の春はずいぶん少なかったのです


海辺で犬を散歩させてるオジサンが
「今年はアナゴ、高い値で売れるやろ~」
と言ってました

タシカニソウかもネ

けれど

今あるものを全部使えば
次につながるものがなくなるのは
魚でも金でも資源でも同じことで(^_^;)

解禁の日や時間や籠網の数など、漁協で細かく決まったなかでの、アナゴ出漁です


大きな漁船ではなく
小さな手舟で沿岸を滑るように移動するので、エンジン音も低く、波と風の音がよく聴こえます


昨日は岸から、
父が座って指示を出し、弟がカッパを着て立ち上がって網を上げる様子がよく見えました


ついでに海沿いを歩いたら、はだしで靴を履いていたので、靴擦れになってしまいました


暑くもなく
冷たくもなく
いい季節やなぁ
と思っていたら雨が降ってきました



私個人の感覚ですが…
この季節の時間の進みかたは緩急が激しくて
河の流れに身を任せているのと同じような気分になります


目的がないと
辿り着く先もないので
ただひたすら流れゆくのみ

半目を閉じて
浮き沈みしている自分の体は
いつにもまして水分を多く含み、重い

先月、
黄河で漂流しかけたとき
このまま波にのまれてもええかな~
と思った瞬間があった

重力にしたがってそのままズルズルと沈む泥沼のような感覚も
いつか河とつながるのならそれでいいかも♪
と思ったりする



先週日曜の姫路の映画祭では
関西インディーズ監督特集をやっていた会場で
ずっと映画を見ていた


二十代前半の男の子達の作る画面は
どれも必ず血が流れていて、
なにか共通のタブーがあるのか?と思う


私は女だから月に一度は血をみるし、
魚をさばくときも血がはねる

しかし
イカとタコ、
それと牡蠣にも
一滴も赤い血はなく、
だけど常にヌルヌルしているので

血が赤くなくても
生きているんだ

とゆーことを私は知っている



母は白血病で死んだのだが
血を流して死ぬのは痛そうやけど
血がなくなって死ぬのは
ただひたすらダルいのだ

と言っていたと聞いて
涙も出なかったけな


私の内には
水で薄めたくらいの血しか流れていない
だから
目にみえない音や風がよく響くのだろう

と身内に言うたら
笑われた


◆「正義の人」谷口恒平監督…ホントの嘘は細かいリアルの積み重ねの上に成立する、と確認した
私はそーいうややこしのが嫌いでないので、のめり込んで観た


◆「死にたすぎるハダカ」アベラヒデノブ監督…海を撮るのがとても好きな人らしい
最初の場面の温度感のない海が、とてもやさしい感じがした


音楽や映画や…作る人の近くで話を聞くのはとても楽しい
それは、
熱いお湯を冷たい水に混ぜて温度差をなくそうとする行為と似ているかもしれない




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