4月22日(水) 「イエローバード」(ケヴィン・パワーズ著)
その春、戦争は自分らを殺そうとした。イラク、アル‐タファル。21歳の三年兵バートルは、18歳の初年兵マーフィーを無事に故郷に連れ帰ると約束していた。しかし、凄惨を極める戦闘を次々と経験していくうちに、二人は予期せぬ運命をたどることになる。
イラクで戦うとはどういうことだったのか。元兵士が戦争に直面した若者たちの感情を、痛切に、瑞々しく描いたデビュー作。
兵士の鮮烈な成長譚でもあり、イラクの戦場で生き残ろうとする二人の青年の友情の物語でもあり、無垢の喪失と記憶の意味を語る哲学的な寓話でもある。並外れた作品だ。――ミチコ・カクタニ(《ニューヨーク・タイムズ》紙)
必読の書だ。イラク戦争をリアルに描いているからというだけではない。その不名誉と理解しがたい暴力から、弱々しくはあるが確かに生きている人間性の証を紡ぎだしているからだ。《ガーディアン》紙
パオロ・ジョルダーノの「兵士たちの肉体」を読んでから関連する作品としてマークしてました。
4月25日(土) 「手のひらの音符」(藤岡 陽子著)
不器用でもいい、間違いでもいい。ひたむきな全力が、私を強くした。
服飾デザイナーの水樹は、45歳・独身にして転職を余儀なくされる。人生の岐路で思い出すのは、貧しい子ども時代を共に過ごした、幼なじみの信也の存在だった。バブルから現在へ、時を経ても消えない本物の愛情とは何かを問いかける、瑞々しい長編小説。いま大注目の新鋭による、まっすぐに生きるすべての人への応援歌。
雑誌「オレンジページ」の書店さんイチオシで紹介されていた。「人生における挫折や喪失の悲しみとしっかり向き合い、それでも凛として前を向く主人公の生き方に元気をもらおう!」とあったので読んでみた。女性向な作品かも。
5月6日(水) 「悲嘆の門」(宮部 みゆき著)
怖いよ。怪物がくる!
日本を縦断し、死体を切り取る戦慄の殺人事件発生。ネット上の噂を追う大学一年生・孝太郎と、退職した刑事・都築の前に、“それ"が姿を現した! ミステリーを超え、ファンタジーを超えた、宮部みゆきの新世界、開幕。大ベストセラー『英雄の書』に続く待望の新刊!
<ファンタジーを超えた、宮部みゆきの新世界>は、私にはちょっと苦手でした。「英雄の書」もパスかな!?
5月16日(金) 「窓から逃げた100歳老人」(ヨナス・ヨナソン著)
100歳の誕生日パーティーを目前に、おしっこ履きのまま老人ホームを逃げ出した主人公アラン。お酒(とくにウオッカ!)が大好き、宗教と政治が大嫌い。ひょんなことから手にした大金入りスーツケースをめぐってギャングや警察に追われることとなり、途中で知り合ったひと癖もふた癖もあるおかしな仲間とともに珍道中を繰り広げる。
一方、過去のアランはというと、爆発物専門家としてフランコ将軍やトルーマン、スターリンと日夜酒を酌み交わしては、エポックメイキングな人物として世界史の重大シーンにひょこひょこ顔を出す。アランの逃避行と100年の世界史が交差していく、二重構造ならぬ「百重構造」のドタバタコメディ!全世界で800万部を突破した驚異のベストセラー、待望の日本語版。2014年、日本での映画公開予定
なかなか面白い作品でした。過去のアランの様子が凄い。映画も気になります。
5月17日(土) 「あなたの明かりが消えること」(柴崎 竜人著)
寂しいなら寂しいと言っていい
家族の物語である。というか「家族」というものに対して、どこか違和感とか、あるいは憎しみさえ抱いてしまう人たちの物語である。
4人の語り手が登場する。彼らの思い出話の軸となるのは「来栖現」と「佳世」という夫婦だ。佳世は温かで圧倒的な愛を全方位的に振りまいて、45歳で亡くなる。ひそかに現を愛しながら、彼女の吸引力により来栖家と日々を共にすることになる旅館の元仲居。重病の佳世を置いて放蕩する現を憎みながら育った娘。娘婿として来栖家の一員となり、ふと自らの親を思い返す男。そして、現、本人。それぞれが、それぞれの言葉で「家族」を語る。
登場人物がそれぞれ一人称で語られるので説得力がある。強烈な印象を与えられた本になった。他の作品も気になる。
5月19日(火) 「パーク・ライフ」(吉田 修一著)
公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。なんとなく見えていた景色がせつないほどリアルに動きはじめる。日比谷公園を舞台に、男と女の微妙な距離感を描き、芥川賞を受賞した傑作小説。
朝日新聞の再読<こんな時こんな本>で薫風を感じる本が4冊紹介されていた。春風が吹く頃、若いサラリーマンの「ぼく」は、地下鉄で間違えて女性に話しかけてしまう。その女性と、都心の憩いの場である日比谷公園で不思議な交流をする物語。女性が「よし。……私ね、決めた」とつぶやき、去っていく場面で小説は終わる。新しい季節の訪れと2人の人生の展開を予感させ、後味がすがすがしい。と書かれてました。読んで頷けました。
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