7月25日(月) 「僕の違和感」 (オルハン・パムク著)
我らが主人公メヴルト・カラタシュは、12歳のときに故郷の村からイスタンブルに移り住む。昼間は学校に通い、夜は父とともにトルコの伝統的飲料ボザを売り歩く日々を重ねて、彼は次第に大都会になじんでいく。そしてある日、彼はいとこの結婚披露宴で運命の恋をした――
ノーベル文学賞作家が描く、ある男の半生と恋と夢、そして変わりゆく時代。新たな代表作となる傑作長篇。
8月17日(水) 「バラカ」 (桐野 夏生著)
「震災の暗黒郷を描き 時代を照らし出す」 朝日新聞(3/27)
私の「震災履歴」は、この小説と共にありました。重力に逆らい、伸びやかに書いたつもりです。
まだ苦難の中にいる人のために、ぜひ読んでください。 桐野夏生
震災のため原発4基がすべて爆発した! 警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。彼女がその後の世界を変えていく存在だったとは――。
ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪そして勇気。想像を遥かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!
8月20日(土) 「イサの氾濫」 (木村 友祐著)
* 「東北人の重い口から叫びが届く」 朝日新聞(4/3) *1
40代になりいよいよ東京での生活に行き詰まりを感じていた将司は、近ごろ頻繁に夢に出てくるようになった叔父の勇雄(イサ)について調べるため、地元八戸にむかった。どこにも居場所のなかった「荒くれ者」イサの孤独と悔しさに自身を重ね、さらに震災後の東北の悔しさをも身に乗り移らせた彼は、ついにイサとなって怒りを爆発させるのだった。──上々颱風の人気ヴォーカリスト、白崎映美を震撼させ、新たなバンド「東北6県ろ~るショー!!」をつくるきっかけとなった幻の作品、待望の書籍化!
*1 震災や原発事故を取材した作品はその後たくさん書かれたし、木村友祐も『聖地Cs』という佳編を出してはいる。 でも震災直後の割り切れない感情を『イサの氾濫』ほど刺激する作品はなかった。
8月28日(日) 「長いお別れ」 (中島 京子著)
図書館でたまたま見つけた1冊!
帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。
東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。
“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。
8月31日(水) 「天使の歩廊」 (中村 弦著)
建築家・笠井泉二は、一風変わった建物をつくりだす。それは、足を踏み入れた者が、異様な空気に酔いしれる……。老子爵夫人には、亡き夫と永遠に過ごせる部屋を、偏屈な探偵作家には、異次元に通じる家を。そして嫉妬に狂う男には、怒りを静める別荘を。その悪魔的とも言える天才の産物が、不思議世界へと誘う6話。──選考委員絶賛! 第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
さすがファンタジーノベル大賞受賞作! 引き込まれてしまった作品で凄いの一言。
8月28日(日) 「コンビニ人間」 (村田 沙耶香著)
36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。
9月7日(水) 「オルガニスト」 (山之口 洋著)
ドイツの音楽大学で教鞭をとるぼくに、一枚のディスクが持ち込まれた。ブエノスアイレスで活動するというそのオルガニストの演奏は、超絶的な技巧に溢れ、天才の出現を予感させたのだが…。最上の音楽を奏でつづけるために神に叛いた青年、そして哀切な終焉。バッハのオルガン曲の旋律とともに、音楽に魅入られし者の悦びと悲しみを描出する第10回ファンタジーノベル大賞受賞作。
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