今回は映画『花のあと』を紹介します。
女でありながら男顔負けの剣術の腕を持つ以登(北川景子)は、一度だけ竹刀を交えた江口孫四郎(宮尾俊太郎)に一瞬にして恋心を抱く。しかし、以登、孫四郎ともに決まったいいなずけがおり、以登はひそかな思いを断ち切って江戸に留学中のいいなずけの帰りを待ち続ける。数か月後、藩命で江戸に向かった孫四郎が自ら命を絶ったという知らせが入る・・・
『蝉しぐれ』『武士の一分(いちぶん)』など数々の時代劇作品の原作者として知られる藤沢周平の同名短編小説を、
『青い鳥』の中西健二監督が映画化。
江戸時代の東北を舞台に、ひそかに思いを寄せていた武士が自害したことを知り、その原因となった相手に敵討ちを果たそうとする女性の姿を描く。
剣の達人であるヒロインを時代劇初挑戦となる北川景子が熱演し、見事な殺陣を披露。
彼女が恋心を抱く剣士にバレエダンサーの宮尾俊太郎がふんするほか、甲本雅裕、市川亀治郎、國村隼ら実力派が脇を固める。
はじめはキャラクターの表情ま乏しく淡々と話が進んでいくが孫四郎と以登が竹刀を交えるシーンでは
BGMや派手なカメラワークがされているわけでもないのだが
その迫力に思わず息をのんでしまうほど。
以登の許嫁の才助も体たらくに見せておいて終盤でのかなりのキレ者ぶりにいい意味で予想を裏切られた。
そしてこの物語の最大の特徴は何と言っても後味の良さであろう。とても清々しい。
桜のシーンに始まり、同じ桜のシーンで終わることによって
以登のこの一年間での成長、物語の余韻を引き立たせている。
公開が3月だったのでもうほとんどの映画館で上映が終わってしまったが
皆さんにも今すぐ映画館でこの余韻を味わっていただきたい。
参考までに
・スタッフ
監督: 中西健二
製作: 川城和実、尾越浩文、亀山慶二、遠藤義明
企画: 小滝祥平、梅澤道彦
原作: 藤沢周平
脚本: 長谷川康夫、飯田健三郎
撮影: 喜久村徳章
美術: 金田克美
編集: 奥原好幸
音楽: 武部聡志
主題歌: 一青窈
製作国: 2010年日本映画
上映時間: 107分
配給: 東映
・キャスト
以登:北川景子
片桐才助:甲本雅裕
江口孫四郎:宮尾俊太郎
郁:相築あきこ
津勢:佐藤めぐみ
藤井勘解由:市川亀治郎
加世:伊藤歩
永井宗庵:柄本明
寺井甚左衛門:國村隼
語り:藤村志保