夢を見た
夢を見た おれが死んだ夢を 夢を見た おれが生きていた夢を 夢を見た 朝が堕落した夢を 夢を見た やわらかな哀愁...
科学と恩寵
病気の所為で 痛みに耐えながら歩く老人の前を 原子爆弾をつんだスポーツ・カーが煙を上げて過ぎ去る ...
明日の歴史
希望の爪にまで 毒が流し込まれた鳩 もう翔び立てない うなだれた平和見て おれはもはや 悲しみから それとも 憐れみか...
詩的な散歩、超現実的なモデル
青いカラスの夢を見て プロパンガスの爆発で目が覚める 太陽は月に急かされて 「まだ眠い」なんて喚いてるって言うのに ...
誰れも愛さないと決めた日の午後
公園のベンチに坐りながら 詩を書いてた 足下からのびる影の うっとうしさを見詰めながら ...
青年と婦女
いま 誰を愛しさけぶ 季節のゆらめき 教えてくれた 神々の愚痴に消された おれの時間 あの頃はまだ 愛だと思えた全てが 怪しく思えるおれさ ...
今になって
胸の熱さ忘れた おまえの眼の色 海辺の春に捨ててきた 小鳥はささやくって云うのに 舌の奥での...
煽動者
古びた路線の 隧道に喰われた鉄道の 横の俺のときめきの 横の横たわる煙突の 排ガスのエントロピーに犯された 処女の...
人間はいない
きみたちが人間だと云うのなら 僕は人間でなくてもよい きみたちに頭脳があると云うのなら 僕に頭脳なんかなくてもよい ...
あおくなった歯ぐき
退屈で憂う 妊婦をかわいがってやりたい おいらの膝のうえで そしたらおいら 男になれる ...