あれが警官だったかどうかは定かではない。

土鍋で玄米炊きながらカレーを作る。

同時に酒の肴に餃子も焼いて。

音楽に合わせ尻を振り振りレモンサワーと餃子。

雨で気圧とかの関係だろうか、頭が重い。

やらなきゃいけないこといっぱいあるのにイマイチやる気が起きずただただ日が暮れる。

結局尻に火が点かないとやらないたち。

初めてその場所を訪れたのはいつだろうか？

当時やっていたポスティングのバイトでその地区担当になった俺は霧が立ちこめる雨の公園に入ると奥に家があった。

公園の中に家があるなんて変わってるな…

と思ったが雨だし早く仕事を終わらせたくて近づいてチラシをポストに入れようとすると

ヌッと建物の影から1人の警察官が出てきて

「あぁそこ入れないで。というか入れても無駄だよ」と言ってきた。

「え？なんで？」と聞き返すと

「この家アレだから。あの事件の」と警官。

見上げると家の窓にはぬいぐるみや生活感が残ったままの静まり返った家が。

あ…もしかして世田谷一家殺人事件の…

と気づきその場を去った。

バイト先に戻り同僚にその話をすると

ねぇ…それってホントに警官だった…？

と…

たまたま数年ぶりに通りかかったがまだ家はそのままだった。