うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 日本はなぜ世界で一番人気があるのか

2012年01月15日 | 書評
久々の書評です。
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「日本はなぜ世界で一番人気があるのか」 ~ 竹田恒奏 著


円高である。

しかも今から17年前の円高の時とは少々趣が異なる。
(あの時は世界中から【イジメ】を受けていたようなものだったが)

今はユーロやドルの人気がない中、本当に円という通貨の評価が高いうえでの円高だと思う。
震災で苦しい状況にある我が国だが、国としての評価が見直されてきている結果なのかもしれない。



震災前の本なので現在のデータは不明だが、なんと今、世界は猛烈な「日本ブーム」に沸いているのだという。

イギリスBBCが33ヶ国で行った調査によると、2006年から5年連続で
【世界に良い影響を与えている国】として最も高く評価されているのである!

知ってました?
私もびっくりしました。


本書は「今、日本がどれだけ世界中から高く評価されているか!」紹介している。


・世界中が愛するモノづくり

 文房具からクルマ、高速道路までメイドイン・ジャパンのクオリティの高さが見直されている。
 「手抜き」をしない日本人の作るモノづくり精神が世界中で高く評価されている。


・美食文化

 ミシュランガイドでパリより多くの星をつける東京。
 
 日本食だけでも寿司から鰻、すっぽん、ふぐ専門店まで、専門化され、それぞれが高いレベルを誇る。
 フランス料理にしてももはや「パリよりおいしい」と言われる。

 日常食のラーメン、カレーなどのレベルの高さは言わずもがな・・・。

 長い歴史の中で季節の食材を楽しむ文化をはぐくんできた日本食文化。
 「世界中の羨望の的」なのだという。


・「謙虚さ」「なごみ」「もったいない」といった、日本人独特の価値観、文化。

 実体を伴わない行き過ぎた経済の破たん、環境破壊、イラン、イラクでの不安。
 個人主義中心の欧米的価値観が行き詰る中、日本人の価値観が見直されている。


・ 長く続く国家

 日本は世界で唯一、二千年以上も国家が存続している「奇跡のような国」。
 大きな「宗教戦争」や国が破綻するような「大規模な内戦」を経験していないのは日本だけなのだという。

 基本的には「話し合い」で解決する文化。
 また世界で最も長く続く「皇室」の存在が大きい。


モノづくり、食文化、日本人の精神、エコ、ポップカルチャー・・・
あらゆる日本文化に世界中から好意が寄せられている。


実は日本ってすごい国なのですね。

それなのに、私たちはそれほど「自分の国を愛していない」。
それは実はとても悲しいことだと思います。
 

電車がちゃんとくる。
ほとんどの人が約束を守る。
注文したものがちゃんと届く。

当たり前と思っていること、実は当たり前でないのです。

先人たちが築き上げてきた素晴らしい日本という国。
我々もちゃんと引き継いでいかなくてはならない。


日本人が「日本人としての誇り」を取り戻す最後のチャンスが来ているのだと思います。
頑張らなくてはいけません。

まずは【自分の住んでいる国の素晴らしさ】を認識するところから・・・


書評 ~ 「ぼくらの頭脳の鍛え方」

2011年12月19日 | 書評


一週サボって 今週の書評です。
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「ぼくらの頭脳の鍛え方」  立花 隆、佐藤 優   対談


二人のノンフィクション作家が、過去に読んできた膨大な書籍の中から「必読の教養書400冊」をピックアップ。
自らの読書体験とともに、教養論を対談形式で議論していくというもの。

今回は「ミスチョイス」な1冊。
自分には難解すぎる内容でした。

ただしジャンルが非常に幅広いのには驚きました。
これほどの書籍をよく読んできたものだなぁ、と感心。

自分の教養レベルの遥か上の議論を眺めている、というのも少々新鮮でした。


読書というのは自身の日常を離れた部分での「疑似体験」が出来る、とても貴重なもの。
そう言った意味では、たまにはこんな難解なものを読んでみるのもよいのかもしれないなぁ。


・対談の中で立花氏が「教養」の意味を

「その人の精神的自己形成に役立つすべてのもの」 と定義していました。

なるほど、なんとなく解る気もします。
自分の幅を広げていく意味でも、読書は続けなくてはなぁ・・・。

そんな感想を持った一冊でした。
こんな難しい本でも、何かしら得るものはあるものです。


以上、かなり短めの今週の書評。
来週はもう少し「まともなもの」を書きます。


書評 ~ 運命を造る

2011年12月04日 | 書評
今週の書評です。

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「運命を造る」~ 安岡正篤 著



大正・昭和と多くの政治家、財界人に影響を与え続けた「思想家」であり「教育者」であり「哲学者」。
日本を実際に動かしてきたひとり、と言われる超大物である。

・昭和天皇の「玉音放送」の草案に加筆し、原稿を完成。

・佐藤栄作の首相就任前の訪米時に応対辞令の極意を授け、
 このときのケネディ大統領との会談がケネディに沖縄返還交渉開始を決断させたと言われる。

・「平和が成り立つのいう意味だ」と平成の元号を考案したと言われている。

などなど、数えきれないほどの歴史的な出来事にかかわってきた。



この本は「口述」を文章化した本である。
少々難解な話が多いが、実に教養に溢れた内容となっている。

その内容をいくつか紹介しましょう・・・

・ 人間には【本質的要素】と、【付属的要素】があり、本質的要素は(道徳性)、付属的要素は(知性や技能)
  知識や技能は無くても何とか生きていけるが、道徳性が無ければ人間として生きられない。

  
~道徳性の大切さを説いています。

  氏は 日本が日中戦争や太平洋戦争へ突き進んでいった時代というのは、
  つねに「道徳教育」の大切さがないがしろにされてきた時代とリンクする。

  道徳性が失われると、国が進む方向が必ずおかしくなると言っている。

  これは日本のみならず、中国の長い歴史をみても同じことが言えるのだそうだ。



・ 万物の創造変化に即して、そこに不変の法則を発見して、それによって造化の一部である人間が
  その増加に参画して、これをどこまで造化していくことが出来るか、創造変化していくことが出来るか。

・ 我々の存在、我々の人生というものはひとつの命(めい)である。
  その命は、宇宙の本質たる限りなき創造変化、すなわち動いてやまざるものであるがゆえに「運命」という。
  
  (運)という文字は「うごく」ということを意味する。ダイナミックを意味します。

・ 運命は運命であって、どこまでもダイナミックなものであって、決して宿命ではない、メカニカルなものではない。


  ~ 【運命】というのは「生き方」「考え方」次第でどんどん変化していくものだと説いています。
    逆に最初から決まっているのが【宿命】
    
    自分の運命をどんどん切り開いていくダイナミックさが必要なのでしょう。


一番 心に残った言葉

・ 私どもに一番必要なことは、我々がいかに無力であるように見えても・・・

  (中略)
  いわんや人間にはどんな素質があり、どんな才能があって、我々の学問、教養のいかんによっては
  「どんなに自己を変化させ、どんなに世の中の役に立ち、世界をも変えることが出来るのである」
  ということを確信して、決して自分の生活というものを【軽々しくしない】ということであります。 


初めに述べましたが少々難解な本でした。
私の教養レベルでは読むのになかなか体力を使う本でした。

ただし非常に教養にあふれ、勇気が出る内容だと思います。
5年後、10年後 また読み返した時には、もっと内容が理解できるようになっていたい、と思った次第あります。

書評 ~ 自分の中に毒を持て

2011年11月28日 | 書評
今日は寒かった。

目黒川の桜並木も 赤く美しく色づいております。

  うー、寒っ・・



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「自分の中に毒を持て」    岡本太郎 著


「芸術はバクハツだぁー」の岡本太郎氏の著書です。

以前、知人から「この人の言ってることは強烈だけど、なかなか興味深いよ・・・。」
と教えてもらってましたので、今回手に取ってみました。



【今までの自分なんか、蹴飛ばしてやる。そのつもりでちょうどいい。】

~自分らしくある必要なんかない。むしろ人間らしく生きる道を考えてほしい。
 人生というのはそういう厳しさを持って生きるからこそ面白いんだ。


冒頭の文章から強烈な言葉が始まります。


【今までの 幸せ常識から全く外れた視点を持ってみよう。その時から縦横無尽に自分を生かす明日が見えてくる。】


岡本太郎氏は彼が生きてきた時代では「超前衛派」と言われた芸術家。
著書の中でも振り返っているが、とても苦しくつらい時代だったようだ。

でも彼は自分の書きたい画、自分の表現したいモノを作りつづけた。
その作品にはタダナラヌ思いが詰まっていたのであろう、その後時代が彼についてくるようになる。

その言葉は「聞いたこともないような言葉ばかり」、でもその凄みにはただ圧倒されるばかりである。


 ~「淡々とした道を滑っていく」むなしさに流されてしまわないで、傷つき、血の吹き出すからだを引きずっていく。
  言いようのない重たさを、ともども経験し、噛みしめることだ。
 
  それが人生の極意なのだ。


    スゴイ・・・


 ~最も人間的な表情を、激しく、深く、豊かに打ち出す。その激しさが美しいのである。
  美は人間の生き方の最も緊張した瞬間に、旋律的に立ち現れる。



 ~今日の社会では、進歩だとか福祉だとか言って、誰もがその状況に甘えてしまっている。
  システムの中で、安全に生活することを考え、危険に体当たりして「生きがい」を貫こうなどとすることはまれである。
  
  自分を大切にしようとするから、逆に生きがいを失ってしまうのである。

 
 ~「今はまだ駄目だけれど、いずれ。」と絶対に言わないこと。

  「いずれ」なんて言うやつに限って、現在の自分に責任を持っていないからだ。
  「生きる」ということは、瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充足することだ。


 
 ~過去にこだわり、未来でごまかすなんて根性では、現在を本当に生きることはできない。
  回顧主義というのは現実逃避だ。
  
  だから、過去だってその時はつらく逃避したんだろうけど、
  現在が終わって過去になってしますと安心だから懐かしくなるんだ。



ソルボンヌで哲学、民族学を学んだだけあって、その言葉は単なる「奇人」のものではない。
エネルギッシュに芸術、社会と真剣に向き合ってきた氏の言葉は、なかなかの迫力をともなって頭に響く。


そして「爆発論」・・・

 【全身全霊が宇宙に向かってっパーッと開くこと。それが爆発だ。】
 
  ~人生は本来、瞬間瞬間に無目的に爆発し続けるべきだ。命の本当の在り方だ。



思っていたよりもスマートな「爆発」です。
美しいものの誕生を想像させる、そんな「爆発」です。



最後に「芸術論」・・・

 【言い換えれば 人生、即、芸術。】
 
 ~誰でもが好奇心を大いに発揮して、真剣に、無条件に、人生を切り開いてほしい。



氏が唱えることに対して「良い」「悪い」を評論することはあまり意味がないと思いました。

疑うことなき「孤高の天才」。

氏の真剣な言葉はどんな考えの持ち主にも「訴えかける力がある」。
そのように感じました。

文句なしに面白いです。
もちろん、オススメ。


書評 ~ 「強いだけじゃ勝てない ~関東学院大学 春口廣」

2011年11月21日 | 書評
ずいぶんサボってしまいました。
いろんな行事などで良い習慣と生活のリズムが崩れてしまった。

習慣というものはとても大切です。

習慣が崩れると・・・
→ 当たり前にできていたことが出来なくなる。
→ 何故か体調がイマイチになる。
→ 仕事や生活面でのパフォーマンスが落ちてくる・・・。
→ 残業が増え、どんどん疲れがたまる・・・。

このような負のスパイラルにハマってしまいます。

まずは生活のリズムを取り戻さねば・・・。


本日は久しぶりの「書評」です。
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「強いだけじゃ勝てない ~関東学院大学 春口廣」 松瀬学 著


日本の学生スポーツで古くから根強い人気を誇るのが「大学ラグビー」である。

世界から見ると決して高いレベルとは言えない日本のラグビーだが、特に関東の大学ラグビーは
【大学同士の誇りをかけた戦い】といった様相で、なかなかの盛り上がりを見せる。

神宮の大学野球よりも、隣にある秩父宮ラグビー場での大学ラグビーの方が盛り上がっていると思う。


そんな大学ラグビー界でこの15年間、常に優勝争いを演じているのが関東学院大学。

30年前にわずか8人でスタートしたラグビー部を、わずか10年で一部リーグに昇格。
90年代の終わりごろから8年連続大学選手権決勝進出、5回の優勝と「超強豪校」に成長した。

その立役者が監督の春口廣氏である。

大学ラグビーというのは伝統校と言われる「早稲田、慶応、明治」の独壇場の世界である。
高校時代の有名選手はほとんどが、いづれかに進学していく。

春口氏は独特なチーム作りで、そんな世界に割って入り、不動の地位を確立した。



その指導方法はとにかく「情熱的」。

選手と一緒に走る、訴える、教える、考える。

素質のある無名選手を集める。
長所を見抜き、伸ばす。日本代表選手への道筋をつける。

時には大学を説得し、環境整備を行う。
大学側も熱い説得に根負けし、大学一ともいわれる全面芝のグラウンドまで用意。

そして勝ち続ける。


一人の熱い思いは、訴え続け、行動し続けることで、多くの人間を動かす。

テレビで見たことがある人もいると思うが、春口氏はとても小柄な人である。
その小柄な体から発せられるエネルギー。

願って、行動し続ければ理想に近づき続ける。
マザーハウスの山口氏の著書と同じ感想を持ちました。

keep walking!