第7話-1

　清掃作業を終えて帰ってきた青山が、村崎に雑誌を投げてよこした。駅のベンチに置いてあったらしい。
　原色の文字が踊る表紙には、パチ・パラと書かれている。「青ちゃん、パチンコやるの？」と村崎が聞くと、「２０代の初めにちょっと。並の男がやる程度にはやりました」と青山が答えた。
　「俺はガキの頃に連れて行かれたきり、行ってないな」と村崎がパチ・パラを手に取った。ビキニの女の子が笑って指さしているパチンコ台を見ていると、パチンコ店の息苦しい喧騒が聞こえてくるようだ。お袋が機嫌よく帰る決意をするまで、３時間は待たされたものだ。「で、なんでこんなの拾ってきたの？」

　「村崎さんに見せたくて。シックスレンジャーズって台があるから」青山は笑って答えた。「なんか、俺達のパクリみたいで、笑えるって言うか笑えないって言うか」
　角を折ってあるページを青山が開いた。レンジャーズのユニフォームに似たコスチュームのキャラが並んでいる。紫、青、緑、赤の４人は男性で、藍色と黄色の２人は女性らしい。
　「やっぱり、我らがシャオロン君は女の子だったの？冗談きついよ」声を出して笑いながら、確かにそのへんのアイドルより色っぽく見えることもあるなと、村崎は思った。