On The Road

小説『On The Road』と、作者と、読者のページです。はじめての方は、「小説の先頭へGO!」からどうぞ。

第7話-16

2011-01-19 20:16:00 | OnTheRoadSSS
 大盛りのカレーライスとチョコレートパフェとが運ばれてくるまで、斉藤は得意そうに攻略法を語った。ネット上で知り合ったプロ級のパチンコ名人に、土下座までして、やっと手に入れたのだと言う。
 「土下座ったって絵文字なんだけど、名人は得意そうに教えてくれちゃって。でも、それまで100回ぐらいチャットしたんです。もう、すっかり師匠気取りですよ」と斉藤は今日の戦果をさっそく名人にメールした。斉藤の携帯にはすぐに「免許皆伝だ。おめでとう」と返信が来た。

 台に向かったら目的の2人が出てくる角度を見つけるまでひたすら打つ。斉藤はすぐにヒットしたようだ。

 「台とか店によって違うみたいだけど、俺ぐらいの腕があれば、会社をクビになっても十分稼げますね」

 斉藤がこんなに調子に乗りやすい奴だったとは知らなかった高槻は、「あの店ではもう出ないと思った方がいいよ」と言って、コーヒーを飲んだ。

 斉藤が大損をするぐらいは何てことはないが、いま斉藤に辞められたら、情報部返り咲き作戦は中断されることになる。
俺もお前も会社にとっては、パチンコ玉みたいなものだ。代わりの玉はいくらでもある。
 メタボを気にして砂糖を1袋しか入れなかったコーヒーは、ちょっと苦かった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。