「願興寺」悠久の1200年

最澄縁の願興寺ブログ。2015年には開基1200年祭を予定。本堂、24体の仏像が国指定の重要文化財。

2体の阿弥陀如来

2012-05-30 07:13:49 | 仏教

願興寺には、立像と座像の2体の阿弥陀如来像を所蔵している。座像は運慶作と伝承されており、寺宝ともいえる釈迦如来とともに須弥壇から外れた位置にあり、これを願興寺の仏像を拝観された人の中には「無造作に置かれている」と表現される方もいらっしゃる。願興寺の本尊は伝教大師(最澄上人)自刻の薬師如来であり、須弥壇はあくまでも薬師如来が盟主である東宝瑠璃光浄土を形成する仏さまで構成されているからである。

また、阿弥陀如来には観音・勢至菩薩を脇侍とする例が多いが、願興寺の2体の阿弥陀如来には一見この観音・勢至の脇侍がないようにもみえる。願興寺は1572年に武田軍により2度目の焼失の憂き目を経験している。伝えられているところでは、この立像・座像の阿弥陀さまに脇侍があったそうである。

1572年の兵火による焼失時には、西北にある禅寺「愚渓寺」より多くの僧が駆け付け、24体の仏像や大般若経600巻等を運び出したという。242㎝といわれる巨大な四天王も一部欠損している個所があるが、こうした個所はその時についたのであろう。阿弥陀如来の脇侍もその時に残念ながら焼失してしまったであろう。

もし、その2組の脇侍が現存するならば、願興寺の国重文の仏像が28体となっていたであろう… とこれはこれで、残念ともいえるが須弥壇に2組の他の仏像よりは小さ目であるが2体の姿美しき仏像がある。中尊とは別の場所に安置されている。この2組が立像、座像の阿弥陀さまの脇侍であり、江戸時代に奉納安置されたものであろう。

だが、この2組の観音・勢至菩薩さま… 観れば観るほど美しいお姿であり、お顔である。細身の流れるような体型であり、観るものを魅了する魔力のようなものが備わっている力作である。このブログにもこの阿弥陀さまの脇侍についてのコメントをお寄せいただいているので、ご参考にしていただきたいと思います。

願興寺阿弥陀如来脇侍についてのコメント

願興寺公式サイト

質素な如来さまと豪華な菩薩さま

2012-05-29 07:47:42 | 仏教

願興寺には本堂の他、24体の国重文の仏像がある。仏像には如来と名のつくもの、菩薩と名のつくものの他、明王、天部に分類される説が有力である。願興寺の24体の重文は、如来が本尊薬師如来座像、釈迦如来座像、阿弥陀如来立像と座像の4体あり、菩薩は薬師如来の脇侍の日光・月光両菩薩、釈迦如来の脇侍である普賢・文殊の両菩薩の4体がある。天部は四天王の4体に十二神将の合計16体である。

如来とは、真理に達した人、つまり、悟りを開いた人という意味であり、お釈迦さまが悟りを開き如来の境地に達した姿を表している。真理に達したお釈迦さまには32相80種好といい、大きな身体的特徴が32、小さな特徴が80あるとされている。例えば、如来さまの髪の毛は螺髪といって、日向で長時間修行された結果、髪の毛が一本一本縮れて丸まったとされる。

32相80種好についての詳細は、次回に譲るとして、今回は如来と菩薩についてお話を進めていくと思う。どうも如来さまも菩薩さまもどちらもお釈迦さまのようである。悟りを開こうと修行中なのが菩薩さまで、修行を終えて悟りの境地に達したのが如来さまのようである。もともとお釈迦さまは王族であったので、菩薩のときには、王族としての衣装をまとい、如来に達せられてからは俗欲が消え去り、衣装へのこだわりもなくなり、衲衣といわれる一枚の布を肩から掛けているだけとされている。また、薬師如来さまの左手に持つ薬壺(やっこ)以外には如来さまが持物を持ったり、装飾品を身につけるということもない。

それに比べると、菩薩さまの衣装は絢爛であり、持物や装飾品も豪華といえる。天衣(てんね)と呼ばれる衣装をまとい、肩からは条帛(じょうはく)を掛け、腰には裙(くん)と呼ばれる巻きスカートのようなものを身につけられ、宝冠(ほうかん)と呼ばれる冠をかぶり、胸飾(きょうしょく)という首飾りや耳環(じかん)というイヤリングなどの装飾品を身につけているものもある。

願興寺の仏像は、前にもご紹介したように薬師如来の曼荼羅(薬師如来の世界)そのままに配置してある。その表情も含めて、それぞれに役割があっての配置でもある。仏像の造形美もさることながら、そんなところにも注意して拝顔していただきたくとより興味深いと思います。

願興寺公式サイト

土岐市にて陶器まつりを開催

2012-05-03 07:14:20 | Weblog

今日から3日間、お隣の土岐市にて恒例の陶器まつりが開催されます。例年、全国から多くの方々が訪れる盛大な市になっています。以前は安かろう悪かろうの製品が多かったように思われましたが、今では「お!これはちょっとほしいな?」と思われるような品物が多くなっています。中央道の時インターからも東海環状道の可児御嵩インターからも近い位置にあり、人気は衰えを知りません。

願興寺へは、国道21号経由でも会場から裏道があり、それを通れば直接、願興寺に着きます。もし、陶器まつりに出かけられ、お時間がれば願興寺にもよっていただきたいですね。お電話を頂ければ住職が対応いたします。仏像拝観は電話で予約しておかれると住職に時間あれば、拝観可能です。

近くには中山道の面影を残す建造物や施設が隣接しておりますから、見どころにも事欠かないと思いますので、連休の楽しみの一つに加えて頂きたいと思います。

願興寺公式サイト

織部ヒルズfacebook

願興寺勉強会

2012-05-01 13:38:43 | 願興寺

29日(日)に御嵩町郷土文化を学ぶ会として、2回目の願興寺勉強会を催した。総勢9名の参加で、午前中に仏像についての解説をさせていただき、午後からは住職に法話と案内をしていただいて、仏像を拝観させてもらった。

もう何度目の拝観か分からないほどだが、観るたびに感動を覚える仏像群である。願興寺の仏像群の拝観は他では味わえないものがある。一つは仏像を間近で拝顔することができ、今回は釈迦如来と阿弥陀如来座像の玉眼をしっかりと確認させていただいた。もう一つ、仏像が薬師如来の世界のまま配置されており、本尊「薬師如来」と両脇侍「日光・月光両菩薩、眷属「十二神将」の関係がしっかりと理解できる。また、中央に配置されているので、仏像を背後から観ることができる点である。

背後から観ると、四天王像は像高が242㎝であり、その背中の威容は目を見張るものがある。自分の頼りない背中がみすぼらしく感じられるほどである。じゅっくり拝顔していると、厳しき状況に晒された仏像たちの傷あとにも気付かされる。四天王の多聞天はあちこちが欠けており、阿弥陀如来の脇侍「観音菩薩」と「勢至菩薩」は救い出すことができず戦火の犠牲になってしまったそうである。現在の像は江戸時代に作成されたもので、他の像のような威容は感じられないが、近世らしい肌理細やかさを感じさせられるものとはいえるが…

それにつけても、如来さま菩薩さまの柔和で親しみ深いお顔、天部の厳しき表情… 訪れるものにいろんな感激をもたらす仏像群である。

願興寺公式サイト


願興寺(蟹薬師)祭礼迫る

2012-03-09 15:41:44 | 願興寺

いよいよ4月1日(日)に迫った願興寺祭礼(岐阜県重要文化財指定)。寺伝「大寺記」によれば、長徳4年に一条天皇の勅願を受けて七堂伽藍が完成した翌年の長保元年(999)2月に土地の人々によって行われたことを起源とされている。

この祭りの見どころの一つは、蠅追(はえおい)であるが、樒(しきみ)の枝で参詣者を叩いて回る。これによって悪疫が取り除かれるという。この蠅追は蒼白な女装の面で朱唇である。初めて見られる方には、不気味ともいえる形相であろうが、この面は一条天皇の皇女とされる行智尼の親作と伝えられている。余談ではあるが、年少の頃はこれを地元民は「はあおう」とこの土地特有の訛りある名で呼んでいた。

もう一つは、曳山内での笛大夫はじめ大拍子、小拍子及び鼓役者による奏楽である。この奏楽は「シイガク」といい禁裏(宮中)より伝わるところで優雅にて壮重、幽遠でまさに雅楽の粋といえる。

午後からが本祭りともいえ、午後2時から3時頃が最大の盛り上がりをみせる。当日は例年、霊宝殿も開放されており、秘仏である本尊以外は拝顔も可能である。例年、この祭りを待ちかねたように桜も満開になる。こうしたことにも1000年以上の霊気が感じられ、以前は4月1日に行われ、毎年晴れの日が続いていた。

今年もきっと晴れてくれると思う。この歴史ある祭礼は多くの方々に観て頂きたいと思う。写真は蠅追である。

願興寺祭礼の曳山の動画

願興寺公式サイト

御嵩駅での取り組み

2012-02-29 06:24:11 | 御嵩町

御嵩町観光協会が母体のようですが、観光案内所を兼ねている御嵩駅には電動自転車6台を含むレンタサイクルが用意されています。また、健康・観光ウォーキングも3月中に4回開催されるそうです。

今年は例年になく寒い日が続きますが、4月1日(日)には1000年以上の歴史を刻む、蟹薬師(願興寺)祭礼も行われますし、上記のウォーキングもいい日和になるといいですね。

写真は一条天皇の皇女「行智比丘尼」が作成したとされる面をかぶる蠅追いという役者

御嵩町観光協会

大寺山願興寺(蟹薬師)

2012-02-28 18:27:15 | 仏教

願興寺とその周辺の写真をまとめました。とくとご覧ください。


願興寺薬師如来の世界

2012-02-25 18:07:25 | 仏教
願興寺薬師如来の世界

本尊薬師如来座像と日光・月光の両脇侍、四天王立像・十二神将立像と余すことなくご覧になれます。

ミタケクエスト始まる

2012-02-25 12:49:40 | 御嵩町

名鉄広見線活性化を兼ねて、ミタケクエストが開催されました。御嶽宿や伏見宿を有する御嵩町の探検をしたり、宿内を散策したりで、子どもたちも楽しそうにあちこちを見て回っていたようです。

親子参加が原則のようですが、この機会に願興寺の24体の仏像拝顔や本堂の参詣も計画されたらどうでしょう。どちらも国指定の重文です。ミタケクエストについては、下記URLをご覧ください。

ミタケクエスト
願興寺公式サイト

また、御嵩町の散策マップも徐々に充実してきています。マップのダウンロードには下記URLからお取りください。

乗って残そう広見線


スタンプラリー

2012-02-05 17:04:37 | 御嵩町

御嵩町観光協会では、スタンプラリーを行っています。名鉄広見線の活性化の一環で行われていますが、御嵩町観光協会案内所や御嶽宿わいわい館は願興寺のすぐ近くです。願興寺参拝の折にでも参加されては如何でしょうか。