願興寺には、立像と座像の2体の阿弥陀如来像を所蔵している。座像は運慶作と伝承されており、寺宝ともいえる釈迦如来とともに須弥壇から外れた位置にあり、これを願興寺の仏像を拝観された人の中には「無造作に置かれている」と表現される方もいらっしゃる。願興寺の本尊は伝教大師(最澄上人)自刻の薬師如来であり、須弥壇はあくまでも薬師如来が盟主である東宝瑠璃光浄土を形成する仏さまで構成されているからである。
また、阿弥陀如来には観音・勢至菩薩を脇侍とする例が多いが、願興寺の2体の阿弥陀如来には一見この観音・勢至の脇侍がないようにもみえる。願興寺は1572年に武田軍により2度目の焼失の憂き目を経験している。伝えられているところでは、この立像・座像の阿弥陀さまに脇侍があったそうである。
1572年の兵火による焼失時には、西北にある禅寺「愚渓寺」より多くの僧が駆け付け、24体の仏像や大般若経600巻等を運び出したという。242㎝といわれる巨大な四天王も一部欠損している個所があるが、こうした個所はその時についたのであろう。阿弥陀如来の脇侍もその時に残念ながら焼失してしまったであろう。
もし、その2組の脇侍が現存するならば、願興寺の国重文の仏像が28体となっていたであろう… とこれはこれで、残念ともいえるが須弥壇に2組の他の仏像よりは小さ目であるが2体の姿美しき仏像がある。中尊とは別の場所に安置されている。この2組が立像、座像の阿弥陀さまの脇侍であり、江戸時代に奉納安置されたものであろう。
だが、この2組の観音・勢至菩薩さま… 観れば観るほど美しいお姿であり、お顔である。細身の流れるような体型であり、観るものを魅了する魔力のようなものが備わっている力作である。このブログにもこの阿弥陀さまの脇侍についてのコメントをお寄せいただいているので、ご参考にしていただきたいと思います。
願興寺阿弥陀如来脇侍についてのコメント
願興寺公式サイト